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(No11) 「大英博物館の至宝展」鑑賞記
「大英博物館の至宝展 〜世界一周1万年の旅〜」(2004年1月17日〜2004年3月28日 神戸市立博物館)を観てきました。
何となく食指が動かぬ私でしたが、会期終了を間近に控え、「なかなか本場イギリスに行く機会もないし、この機会に見ておくか」と思い、神戸まで足を運びました。
朝からあいにくの雨模様。こんな日は客も少ないかと思いましたが、入るまで30分ほどの待ち時間。
1階に入ってすぐ、博物館のミニチュアモデルや、でっかい木像(神殿の彫像 1790〜1810年頃。ハワイ諸島。高さ267.0。 チラシ裏面参照)が並んでいたが、係員の指示に従い、3階へあがる。
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(以下、実際に観た日からだいぶたっているので、記憶もだいぶあいまいになっております。展示物の順番などに誤りがあった場合にはお許しください)
最初は、大英博物館の歴史みたいなコーナー。
ハンプティダンプティか橋本真也みたいな変な人間の絵があったが、門番の絵らしい。
続いては古代オリエント世界のコーナー。
人が集まっているのは、牛頭のある女王のリラ(イラク、ウル出土。紀元前2600〜2400年頃。高さ112.0)。
チケットやチラシでもおなじみである。しかし、チラシ表面では牛が大写しになっていたが、全体像(チラシ裏面参照)では、小竪琴の一部分なんで意外に小さいことがわかる。
あと、人気なのが石製浮彫:瀕死のライオン(新アッシリア時代、紀元前645年頃。イラク北部、ニネヴェ、アッシュールバニバルの北宮殿。高さ16.5、幅30.0)。
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チラシ表面をご参照いただきたいが、「古来名作として名高い」作品で、「ライオンは王の矢に射られて口から血を吐」いているそうだ。
二日酔いでオエ〜っとなっているのかと思った。
雄羊の頭を持つ神の像(末期王朝時代、紀元前664〜前332年。エジプト。高さ22.7)と、猫の姿をとるバステト女神像(末期王朝時代、紀元前664〜前332年。エジプト。高さ17.0)はたしか並んで展示されていた。いずれも青銅製。
猫の像については、食玩(5)もご参照ください。
ミイラのコーナーも人が集まっていた。
テーベの女性神官のミイラボード(第3中間期、第22王朝初期、紀元前945年頃。エジプト、テーベ。高さ162.0)は、エジプトからこれを運び出した4人のイギリス人がすべて不幸に見舞われたとか、タイタニックが沈んだのもこのミイラボードの呪いだとかいわれ、「不幸のミイラ」とあだ名がついているそうだ。
画像は、チラシの表面参照。
黄金のミイラマスク(ギリシャローマ時代、紀元前305年以降。エジプト。高さ44.0、幅28.0)は、眼がやたら大きい。眉毛がさがっていて、泣いてるような、笑ってるような複雑な表情である。
画像は、チラシ裏面参照。
ミイラにする遺体から取り出した内臓を保管しておく壷はカノポス壷という。展示されていたのは、第21王朝末期の大司祭ピネジェム2世の妻ネスコンスのために作られたもので、高さは36.5〜40.0cm。
石造りの壷で、木造彩色の蓋がつく。蓋はヒトの頭をしたイムセティ、ヒヒの頭のハピ、ハヤブサの頭のケベフセヌエフ、ジャッカルの頭のドゥアムトエフという守護神をかたどっているらしい。
雰囲気をつかむには食玩(5)を参照。
オシリスの子ホルスは、混沌の神セトに片目を奪われるが、後に取り戻す。ハヤブサをかたどった神ホルスの眼を表した聖眼ウジャト(第3中間期、第26王朝、紀元前1069〜前664年。エジプト。高さ5.1、幅6.3)は最も広く用いられた護符のひとつであるそうだ。
チラシ表面参照。また、オシリスだのホルス、セトなんかは、食玩(6)参照。
さて、続いてはヨーロッパのコーナー。
彫刻関係は、あんまり興味がないので説明はパスする。
ただ、一人だけ。ホメロスの胸像(ローマ時代、紀元2世紀。イタリア、バイア。全長58.0)、何でおめえは鼻の先だけ赤いんだ?詩人は酔っ払いだったのか?
クピドとライオンのモザイク(ローマ時代、紀元前70〜前10年頃。イタリア、ナポリ。高さ37.7、幅37.2)は非常に繊細、緻密なモザイク画。
画像はチラシ裏面参照。なお、クピドとはキューピッドのこと。
フランスで出土した線刻のある石板(後期旧石器時代、約12500年前。幅16.3)には4頭の動物が刻まれているそうなのだが、重なり合ってて、よくわからない。
ああ、これこれって感じで人が集まっていたのがルイス島のチェス駒(1150〜1200年頃。スコットランド、ルイス島。高さ8.5〜10.0)。
映画ハリーポッターで出てきたチェス駒のモデルだとか、そうでないとか。
駒の種類はキング、クイーン、ビショップ、ナイト、ウォーダーの5種類。みんな目が変。
ウォーダーってのはカッコ書きでルークとあるから、いわゆる「飛車」ですな。図録には「ウォーダーは、北欧神話に登場するベルセルカーのような歩兵の姿をとる。恐ろしい形相で、逆上して自分の盾に噛みついている」とある。イッチャッてますね。
ベルセルカーって、よくRPGに出てくるバーサーカーか。信じられないけど(←それは、「まさか」)。オスのにわとり・・・(それは「とさ ・・・」)
製作はノルウェーあたりと考えられているらしい。チラシ裏面参照。
聖エウスタキウスの聖遺物容器(1200〜1220年。スイス、バーゼル大聖堂宝庫。高さ33.5)を1955年に開封してみたら、頭骨の断片などが入っていたらしい。まあ、仏舎利みたいなものか。
画像は、チラシ表面参照。あまりセンスのいいデザインとは思えない。
「ルネサンスと以降の時代」と題されたコーナーでは、デューラーが1514年に描いたメランコリア(23.7×18.7。チラシ裏面)があった。ほんと、憂鬱そうな表情。
ダ・ヴィンチの戦闘車両の習作(1480年代。17.3×24.5)は、鎌のついた馬車だの、UFOみたいな装甲車の絵。
「他の発明と同様に、この恐ろしい機械も実用性に乏しく、実際に作られることはなかった」とあるが、そりゃそうだろうな。
一方、ミケランジェロの聖母子と洗礼者ヨハネの素描(1530〜1535年頃。31.4×19.9)は、母の膝のあたりでからんでる二人の赤ん坊がキリストと、そのいとこのヨハネだそうだ。
「幼児キリストは大人の身体を縮小した形で描写され、緊張感のある姿勢で筋肉質の肉体が強調されている」とのことで、とってもキモい赤ん坊です。
チラシ表面にも載せられているルチアの肖像の絵皿(1524年の記名あり。径42.2)は、「理想化された女性の横顔」、「きっちりと結い上げた髪、広い額、毛を抜いた眉は当時の流行」とあるが、へえ、そんなものかと言うしかない。
錫釉陶器で、いわゆるマジョリカ。色彩は強烈、鮮明。
次に、アフリカ・アメリカ・オセアニアのコーナー。
ナイジェリア、ベニン王国の王の頭像(15世紀。高さ21.0、幅16.0)は顔立ちがなかなかユニーク。
眉毛が縦線だしなあ。チラシ表面参照。
ユニークな顔立ちといえば、やっぱこの地域だろうか。パプアニューギニアの女性の像(20世紀初頭。高さ25.0)は顔の上下左右を持ってびよ〜んと引き伸ばしたような顔も、しゃがんだ格好もともにユニーク。
ジャマイカの男性像(16世紀以前。高さ104.0)は、両腕を身体の後ろに回し、上体を右に傾けてるところが涙を流しながらスピードスケートをしている人を思わせる。
なお、眼から大量に涙を流してるのは雨の神様(正確には雨雲の神ボイナの息子)であるかららしい。
意外とハマったのが、海図(19世紀頃。マーシャル諸島。100.0×約70.0)。
縦と横の棒はただの支柱で、斜めや曲線の棒が「うねりを示す。小さな貝は島」だそうだ。
しかし、「うねり」って何だ、「うねり」って。波か?会場の説明じゃ、ベテランの漁師には波のうねりや種類、強さが何より大事な情報だったとか書いてあった気がするが。「海流」ってのとは微妙に違うのだろうか。
いよいよ最後にアジアのコーナー。
双羊尊(商時代、紀元前1500〜前1050年頃。高さ43.2)は、羊の鱗(?)の彫りも浅く、デザインも単調、平板。
いわゆる「殷の青銅器」っぽくないなあと思って図録を見ると、「中国南部、おそらく湖南省のものと考えられている」そうだ。
日本の慈恩大師像(鎌倉時代、14世紀。167.5×85.5)などをエジプトだ、ローマだ、アフリカだって後で観ると、何だか変な気分がした。
チラシ裏面にある絹の守護神像(紀元6世紀。新疆ウィグル自治区。33.0×20.2)は、容貌といい、衣装といいイランの影響が濃いそうだ。スタインが持ち去ったやつですな。
女神立像(10世紀。インド。高さ69.0)は、頭や足先、腕などの欠損が惜しまれる。
くねらせた上体、かわいいおへそ。実に豊満、セクシーで胸なんぞバレーボールを二つ抱えてんのか?って感じ。スイカップ女神とでも申しましょうか。
同じくチラシ裏面の文具箱(13世紀前半。イラク北部。長さ36.8)は、いかにもイスラムって感じの金きらきんで、こんなので字を書けといわれても落ち着かないだろうなあ。
さて、観終わって2階の廊下に出てくると特設のミュージアムショップが。
そこで海洋堂製作のフィギュアをお土産に買ったのですが、その様子は、食玩(5)で。
全体的に感想を一言で言っちゃうと、何か、もひとつだったかな?ってとこ。
まことに、お疲れさまでございました。
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