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(No10) 「トルコ三大文明展」鑑賞記

  「トルコ三大文明展 〜ヒッタイト帝国 ビザンツ帝国 オスマン帝国〜」(2003年12月20日〜2004年2月16日 大阪歴史博物館)を観てきました。

 


 会場に着いてびっくり。
 なんと長蛇の列ができております
 列の最後尾には立て札を持った係員が。札には「待ち時間 約40分」とあります。

 ともすれば文化不毛の地と言われがちな大阪のど真ん中で、展覧会を観に、これだけの人間が集まってきているのです。
 嬉しいじゃありませんか。
 私は、おとなしく列の後ろに並んだのでした。

 時間表示はおおむね正確でした。

 7階フロアの半分を使ってヒッタイト帝国、そして6階をフルに使ってビザンツ帝国とオスマン帝国という構成です。



 それでは、まずはヒッタイト帝国のコーナーから始まりです。

 ヒッタイトというと「鉄」の帝国というイメージがあります。
 確か、そのようなタイトルの新書があったような。今度見つけたら買っておこう。

 ま、それはそれとして、まず私たちを迎えてくれたのは「鉄」じゃなくて「土」でした。 

 ヒッタイトの遺品で古いやつは紀元前20世紀くらい。
 いくら光沢研磨されてるとは言っても、4000年から前のやきものが赤くぴかぴか光ってるんですよ。こいつはまいりましたね。

 特に気に入ったのは鷹形儀礼容器と題されたもの。前20〜19世紀、高さ20.7cm、幅12cmです。

 子どもの頃、怪獣特撮映画で老舗が東宝のゴジラ。対抗が大映のガメラ。で、その両巨頭に対抗しようとしたのが日活の「大巨獣ガッパ」
 わたしゃ、この鷹形〜を見て、思わず「あ、ガッパだ」と思っちゃった。ソフビの写真と並べときます。
鷹形儀礼容器 「大巨獣ガッパ」ソフビ人形

 あと、おもしろいなと思ったのは、葡萄房形容器。前18世紀の作品で、高さ26cm、幅24cm。

 解説には、「中央の大きな葡萄房の回りに5房ずつで一つのグループを形成した二つの葡萄房グループが組み合わされている」とありますが、皆さんはどう思われましたか?

 ま、何もくどくどは申し上げますまい。私が感じたとおりのものを並べて、皆さんのご判断を待ちましょう。
蛸 葡萄房形容器

 けっこう何やかやで、ヒッタイトのコーナーは楽しめました。



 さて、続いてはビザンツ帝国
 前4世紀のいわゆる「アレクサンドロス大王の東征」でヘレニズム美術が生まれ、6世紀にビザンツ帝国へと発展する。

 と、いうことで会場は、アレクサンドロス大王像頭部(ヘレニズム時代=前2世紀前半。大理石。高さ41cm)がお出迎え。

 しかし、私は「アジア」な人間なので、ここの大理石像の数々はもひとつピン!と来ませんでした。

 それと、腕や顔のない像が多く、会場の若い女性も「あ〜、次のんも顔あれへん。もう!気になる〜!!」とわめいておいででした。これは偶像崇拝の禁止とか、聖像の破壊とかと関係があるのでしょうか?

 それと、アルテミス・エフェシア像(ローマ時代=2世紀。大理石。高さ103cm、幅35cm)とか、ローマ人像(アウグストゥス?ローマ時代=1世紀。大理石。高さ213cm)、ケンタウロス像(ローマ時代=2世紀。大理石。高さ70.5cm、幅40.5cm)などがそうだったのですが、腕や足のつなぎめ(?)の所に穴が開いていて、これも会場の、とある若い女性が「あれ?この像って、差し込みで組み立てるようになってるん?」と、連れに聞いていました。

ローマ人像 佐々木小次郎

 確かに、私も食玩の歴史フィギュアなんかを連想しちゃいましたね。



 で、いよいよ1453年にビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルを陥落させちゃったオスマン帝国
 とにかく、金ぴか、宝石の雨あられ

 大阪でまず、大きな人気を呼んでいたのは、何といっても宝石付あぶみ(オスマン朝時代=18世紀後半。高さ14cm、幅23.5cm)でしょう。
 構成は金、銀、エナメル七宝、ダイヤモンド、エメラルド、ルビー、トルマリンだそうで、ともかく派手。

 私は、できれば展示ケース最前列で観たいなあと思って、壁沿いに進む「牛歩」の列に加わっておったのですが、この「あぶみ」んとこじゃ、おばちゃんたちがわらわらと群がってくるんで列なんざ進みやしない

 宝石のいっぱい付いた火打石銃の数々もど派手でしたねえ。
 あれは、実用品なのでしょうか。あれで撃ったら、引き金を引くたびに宝石が飛び散ったりして。

 さて、メインはやはり、トプカプのエメラルド入り短剣。オスマン朝時代(1746年頃)のもので、長さは35cm。

 ま、チケット(右写真)でも参考にしてください。

 柄と鞘は黄金造り。鞘の先端のエメラルドは7カラットだそうです。じゃあ、柄の片面に並んでいる3個の巨大な緑の飴玉は何カラットなんでしょうねえ。

 では、会場での皆さんの会話を拾ってみましょう。

「う〜ん。思ってたより小さいな」「まあ、短剣やしな」

←これは、ポスター、ビデオなどでイメージを膨らませすぎたせいか、実物を見ると想像してたより小さいという印象を受けたのでしょう。
 こういう声はけっこう多かったです。
「トルコ三大文明展」チケット

やっぱ、すごいな」「うん、堪能したわ」

←まあ、素直に観ると、やっぱすごいですよね、理屈抜きに。

開けてほしいわ」「ほんまやな」

←誰かが質問したのか、会場のお姉さんが、柄の先端には蓋がついていて、それを開けると時計が出てくるということを話したのです。
 そうすると会場では、それやったら開けて展示してよ、という声があがったのでした。

 あと、ケースの中で、アクリル板みたいなのにはさむようにして展示してありました。
 柄の両面を見せたい。鞘の先端のエメラルドも見せたいということで浮かせて立たせた状態での展示だったのでしょうが、アクリル板が曇ったようになっていたのが気になりました。

 さて、最後の方では中国の陶磁器が展示されておりました。
 これは見逃すわけにはいきません。

 観ると、一つは青磁環耳付瓶。高さ31.5cmで、13世紀末から14世紀初頭、元代の龍泉窯の作とのこと。ああ、なかなかええ色合いしとるやないの。

 その隣りの展示ケースでは青花の磁器が。染付花唐草文瓢形瓶です。14世紀、元代の景徳鎮窯で高さ70cm。
 ああ、素晴らしい、きりっとした藍色。さすがは元染(げんそめ。元代の染付)だ。

・・・・・・・・なのに、なのに!「オスマン的美意識」か「壊れやすい部分の修理ないし保護をかねて」か何か知らんが、何でもかんでも、金の蓋だの、台座を付けるのは、やめ〜い!!
染付花唐草文瓢形瓶 青磁環耳付瓶

 これは、私の心の叫びでございました。


 リンク切れになっていなければ、NHKプロモーションのHPや、大阪歴史博物館HPで、
ヒッタイト帝国の(1)牡牛形儀礼容器
(2)カトゥワ王とヒエログリフ文字による長文付き石碑
(3)オーソスタット「ライオン狩り」

ビザンツ帝国の(1)アレクサンドロス大王像頭部、
(2)アルテミス・エフェシア像、
(3)メダリオン

そしてオスマン帝国の
(1)トプカプのエメラルド入り短剣(時計の蓋を開けたところ)、
(2)ターバンの飾り
(3)宝石付きあぶみ
(4)色絵藍地金彩菊文字門蓋付鉢などの画像が見られます。



 
まことに、お疲れさまでございました。

 

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