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(No17) 仏像鑑賞のご案内その17 菩薩部 総論  

 望月信成・佐和隆研・梅原猛共著の『仏像 心とかたち』(NHKブックス)では、古来日本人が仏像を鑑賞するにあたっては、いわば仏像を対象に自らの抒情詩を語る方法と、専ら様式に拘泥する二つの方法があったとしている。
 私が目指すのは、後者、すなわち様式論に限定するものである。






(1)  菩薩の意味

 
菩提薩埵(ぼだいさった):サンスクリット語で「ボーディ・サットヴァ」。

 「ボーディ」(菩提)は、「覚」(かく)などと訳され、「悟り」という意味。
 「サットヴァ」(薩埵)は、「衆生」(衆生)と訳され、人間を含むすべての生き物という意味。
 合わせて、「悟りを求める者」という意味となる。

 如来は既に悟りをひらいた存在だが、菩薩は、悟りを求めて修行中の身である。

 初期の仏教では、仏は基本的に釈迦だけであった。よって、釈迦が悟りをひらくまでに修行している時代が菩薩であった。

 のちに釈迦以外に様々な如来が考えられるようになると、釈迦菩薩以外にも様々な菩薩が考えられるようになった。

 



(2) 様々な菩薩

 初期の仏教では、釈迦だけが仏であった。
 しかし、大乗仏教の時代では釈迦以外にも仏(如来)が考えられるようになったので、誰でも如来となる可能性が開かれた。言い換えれば、釈迦以外でも悟りを求めて修行するものは誰でも菩薩と考えられるようになった。

 また、大乗仏教では「利他」を重視したので、菩薩は単に自分が悟りをひらくために修行しているという立場だけでなく、あえて悟りの世界に入らずに人々を救済するため菩薩の地位にとどまることが尊ばれ、「上求菩提、下化衆生」(じょうげぐぼだい、げけしゅじょう。理想としては悟りを求めるが、現実としてはすべての人々を救おうとする)ということがいわれた。

 そのため、大乗仏教は菩薩と関係が深く、「菩薩乗」といわれることもある。




 
 整備中ですが、データベースは下から↓
如来部 菩薩部 明王部 天部 垂迹部

参考文献(基本的に略称の50音順)
『案内』→『仏像案内』(編:佐和隆研。吉川弘文館)
『イコノ』→『仏像 イコノグラフィ』(岩波書店)
『鑑賞』→『仏像鑑賞の基本』(著:久野健。里文出版)
『興福寺』→図録『興福寺国宝展』
『弘法』→図録『弘法大師と密教美術』
『最澄』→図録『最澄と天台の国宝』
『釈尊』→図録『ブッダ釈尊』
『日本』→『日本美術史』(美術出版社)
『入門』→『仏教美術入門』(著:佐和隆研。現代教養文庫)
『秘仏』→『日本の秘仏』(平凡社)
『百態』→『仏像百態』(著:渡辺照宏。淡交新社)
『平泉』→『平泉 鎌倉』(太陽仏像仏画シリーズIII 平凡社)
『仏像』→『仏像』(著:久野健。学生社)
『仏像 心』→『仏像 心とかたち』(著:梅原猛ほか。NHKブックス)
『続 仏像』→『続 仏像 心とかたち』(同上)
『ぶつぞう』→『ぶつぞう入門』(作:柴門ふみ。文春文庫)
『ブッダ』→図録『ブッダ展』
『密教』→『日本密教』(著:佐和隆研。NHKブックス)
『わかる』→『仏像がよくわかる本』(著:瓜生中。PHP文庫)
参考文献 『鑑賞』→『仏像鑑賞の基本』(著:久野健。里文出版)ほか。
  

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