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(No16) 仏像鑑賞のご案内その16 その他の如来その2 仏頂尊・金剛薩埵  

 望月信成・佐和隆研・梅原猛共著の『仏像 心とかたち』(NHKブックス)では、古来日本人が仏像を鑑賞するにあたっては、いわば仏像を対象に自らの抒情詩を語る方法と、専ら様式に拘泥する二つの方法があったとしている。
 私が目指すのは、後者、すなわち様式論に限定するものである。





(1)  金剛薩埵

 
密教においては、難解な大日如来の教えをかみくだいて衆生に伝える重要な位置を占める。

 菩提薩埵(ぼだいさった)と同じ「薩埵」(衆生。人間を含むすべての生き物一般をさす)という字句がつくため、菩薩に分類されることもある。

 すがたは大日如来と同じ菩薩形で、手に金剛杵(こんごうしょ)と鈴を持つ。

 



(2) 仏頂尊その他

 
 仏の三十二相などを神格化することがある。

 
名称 特徴 その他
仏頂尊(ぶっちょうそん) 最高の智恵がつまった如来の頭の頂がもつ最高の功徳を神格化 頭頂だけをあらわすことは難しいので、菩薩形であらわされる。
日本では仏頂尊の信仰が盛んで、本尊として様々な祈祷が行われた。
如来舌 仏は長広舌(ちょうこうぜつ。非常に長い舌)を持つといわれるが、それを神格化 菩薩形につくられ蓮台などに座り、功徳を象徴する持物をもつ。
単独の像として描かれたり造像されることはなく、胎蔵界曼荼羅の中にのみ描かれる。
如来毫相 白毫(びゃくごう)を神格化 同上
如来笑 如来の微笑を神格化 同上
如来牙(にょらいが) 如来の歯は「仏歯」(ぶっし)として礼拝の対象となるが、この功徳を神格化 同上
如来語 如来の言葉を神格化 同上
如来慈 如来の慈悲を神格化 同上
仏眼仏母(ぶつげんぶつも) 仏の眼を神格化 単独の画像としても描かれる。
息災延命の祈祷の本尊とされる。


 



 整備中ですが、データベースは下から↓
如来部 菩薩部 明王部 天部 垂迹・羅漢部

参考文献(基本的に略称の50音順)
『案内』→『仏像案内』(編:佐和隆研。吉川弘文館)
『イコノ』→『仏像 イコノグラフィ』(岩波書店)
『鑑賞』→『仏像鑑賞の基本』(著:久野健。里文出版)
『興福寺』→図録『興福寺国宝展』
『弘法』→図録『弘法大師と密教美術』
『最澄』→図録『最澄と天台の国宝』
『釈尊』→図録『ブッダ釈尊』
『日本』→『日本美術史』(美術出版社)
『入門』→『仏教美術入門』(著:佐和隆研。現代教養文庫)
『秘仏』→『日本の秘仏』(平凡社)
『百態』→『仏像百態』(著:渡辺照宏。淡交新社)
『平泉』→『平泉 鎌倉』(太陽仏像仏画シリーズIII 平凡社)
『仏像』→『仏像』(著:久野健。学生社)
『仏像 心』→『仏像 心とかたち』(著:梅原猛ほか。NHKブックス)
『続 仏像』→『続 仏像 心とかたち』(同上)
『ぶつぞう』→『ぶつぞう入門』(作:柴門ふみ。文春文庫)
『ブッダ』→図録『ブッダ展』
『密教』→『日本密教』(著:佐和隆研。NHKブックス)
『わかる』→『仏像がよくわかる本』(著:瓜生中。PHP文庫)


  

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