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(No11) 仏像鑑賞のご案内その11 薬師如来その1 望月信成・佐和隆研・梅原猛共著の『仏像 心とかたち』(NHKブックス)では、古来日本人が仏像を鑑賞するにあたっては、いわば仏像を対象に自らの抒情詩を語る方法と、専ら様式に拘泥する二つの方法があったとしている。
私が目指すのは、後者、すなわち様式論に限定するものである。
(1) 薬師如来の意味
くわしくは薬師瑠璃光如来という。
東方の瑠璃光世界におられる。
(2) 薬師如来の形
種別 |
名称 |
特徴 |
持物 |
薬壷(やっこ) |
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衣 |
偏袒右肩 |
偏袒右肩が多い。 |
姿勢 |
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印相 |
三界印 |
施無畏・与願印 |
古いものに多い。新薬師寺のように左手は上をむけ、ゆるやかに膝の上に乗せたものもある。 |
三界印(さんがいいん) |
左手は指をひらいてへその下あたりにおき、手のひらに薬壷をのせる。
右手は、いわゆる「薬師の三界印」(親指と人差し指を曲げて人差し指は何かを弾くような形)をとる。 |
(3) 薬師如来の脇侍
薬師如来も脇侍として二体の菩薩を従え、三尊像(さんぞんぞう)につくられることが多い。
脇侍 |
説明 |
日光菩薩 |
くわしくは日光遍照菩薩(にっこうへんじょうぼさつ)。またの名は日耀。
円形の日輪(金色)をもつものが多い。 |
月光菩薩 |
くわしくは月光遍照菩薩。またの名は月浄。
三日月形の月輪(銀色)をもつものが多い。 |
(4) 薬師如来の眷属
眷属(けんぞく。仏・菩薩に仕えて仏教を守護する者)
眷属 |
説明 |
十二神将 |
『薬師瑠璃光如来本願功徳経』に、薬師如来と十二神将との関係が述べられている。 |
参考文献(基本的に略称の50音順)
『案内』→『仏像案内』(編:佐和隆研。吉川弘文館)
『イコノ』→『仏像 イコノグラフィ』(岩波書店)
『鑑賞』→『仏像鑑賞の基本』(著:久野健。里文出版)
『興福寺』→図録『興福寺国宝展』
『弘法』→図録『弘法大師と密教美術』
『最澄』→図録『最澄と天台の国宝』
『釈尊』→図録『ブッダ釈尊』
『日本』→『日本美術史』(美術出版社)
『入門』→『仏教美術入門』(著:佐和隆研。現代教養文庫)
『秘仏』→『日本の秘仏』(平凡社)
『百態』→『仏像百態』(著:渡辺照宏。淡交新社)
『平泉』→『平泉 鎌倉』(太陽仏像仏画シリーズIII 平凡社)
『仏像』→『仏像』(著:久野健。学生社)
『仏像 心』→『仏像 心とかたち』(著:梅原猛ほか。NHKブックス)
『続 仏像』→『続 仏像 心とかたち』(同上)
『ぶつぞう』→『ぶつぞう入門』(作:柴門ふみ。文春文庫)
『ブッダ』→図録『ブッダ展』
『密教』→『日本密教』(著:佐和隆研。NHKブックス)
『わかる』→『仏像がよくわかる本』(著:瓜生中。PHP文庫)
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