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青銅器(19)平成16年度美術史ゼミナール「中国の青銅器」第5回その6

1 はじめに

 平成16年度美術史ゼミナール「中国の青銅器」という講座の、備忘録程度の受
講録。で、第5回ゼミの受講録その6。


2 本日のテーマ

 今日のテーマは「鏡について」。

 内容は、
1.部分名称と形体
2.鏡の使用形態
3.戦国時代の鏡
4.漢時代の鏡
5.唐時代の鏡
6.鏡に表れた精神
7.製作技法
8.日本への影響・・・・・の8項目。

 ただし、実際の講義は、このレジュメの順番ではなく、アトランダムにあっち飛び、こっち飛びした。

 講義の順番にこだわらず、レジュメの順番に再構成しようと思うのだが、今回は、続いて「6.鏡に表れた精神」から。


6.鏡に表れた精神

  O先生からいただいたレジュメには、こうあった。

6.鏡に表れた精神

(1) 神仙界の表出、昇天  

(2) 辟邪 「七星明□□三界 一道霊光伏萬魔」

(3) 吉祥 「君宜高官」、「大吉慶」

(4) 男女の絆 「清沮銅華以為鏡 昭察衣服観容貌 糸組雑環以為信 清光宜佳人」

(5) 破鏡

(1) 神仙界の表出、昇天

 男性の墓からも多数出土する

(2) 辟邪

 魔除けに用いられる

(3) 吉祥

 出世、昇進などを願う言葉が刻まれる

(4) 男女の絆

 「清沮銅華以為鏡 昭察衣服観容貌 糸組雑環以為信 清光宜佳人」

 ※ 「糸組雑環」は鏡の鈕につく吊り紐

(5) 破鏡

 鏡が男女の絆の象徴であるから、「破鏡」は男女の破局を表わす


 続く項目に関するレジュメの記載内容について

7.製作技法     :踏み返し

8.日本への影響  :古墳時代〜平安・鎌倉時代←漢・三国鏡、唐鏡、宋鏡

              舶載鏡、倣製鏡、踏み返しなど

 時間の関係があって、ほとんど説明はなかった。

 


9.その他

(1) TLV鏡について

 いわゆるTLV鏡といわれる様式の鏡がある。

 鏡の中央に鈕がある。これを「方格」と呼ばれる正方形の線が取り囲む。
 方格の四辺の中央部に「T」の字型の文様が付く。辺の中央部に「T」の縦棒が付く感じ。そして、「T」の横棒をそのまま外縁部に延長したところに「L」字型の文様が付く。

 そして、「L」と「L」の中間部分に「V」の字型の文様が付いている。だから「TLV」鏡である。
 もちろん古代の中国にアルファベットが伝わっていた筈はないので、いわば俗称である。 

 論より証拠・・・ということで、以前も紹介させていただいた「中国古鏡展」というHPで方格規矩四神鏡方格規矩四神鏡方格規矩雲気文鏡を見ていただきたい。特に、拡大すると「T」、「L」、「V」が確認しやすいことと思う。

 上記の名称でもわかるように、最近ではTLV鏡というよりは、方格規矩鏡と呼ばれることが多い。
 「方格」とは、前述の通り、鈕の周りの正方形の区画のこと。
 「規」とは、L字型の曲尺(かねじゃく)のこと。
 「矩」とはコンパス、「ぶん回し」のことで、コンパスの脚を開いてVの字になっている状態をさす。
 なお、最近売り出された『週刊中国悠遊紀行』(第1巻:万里の長城。小学館)のP30に大きく載せられている「伏羲女媧図」の二人は「規」と「矩」を手にしている。

 ここまでは私も知っていたのだが、さらに最近中国では専ら「博局文」と呼ばれているそうだ。

 『故宮』第1巻(NHK出版)から引用する。
「『六博(りくはく)』は、漢代に流行した、将棋に似た古代中国の遊びだ。方形の台に将棋の駒のような木片と細長い棒が二組ついている。十八面体のサイコロもある。遊び方は定かではないが、漢代には相当流行ったらしく、画像石や銅鏡のモチーフになっている」

 この文章は、馬王堆一号漢墓の副葬品の解説文の一つである。そして、この将棋とか双六に似た六博というゲームの盤の上には、中央に正方形、その周りに「T」と「L」、そして四隅には直角形(いわば「V」)が描かれているのである。
 博局文とは、六博で対局する時の盤上の文様というような意味なのだろうか。



 それでは、皆さんごきげんよう♪ 


 

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