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青銅器(13)平成16年度美術史ゼミナール「中国の青銅器」第4回その3

1 はじめに

 平成16年度美術史ゼミナール「中国の青銅器」という講座の、備忘録程度の受
講録。で、第4回ゼミの受講録その3。


2 本日のテーマ

 今日のテーマは「戦国〜漢時代の金工について」。
 内容は、
1.礼器と明器
2.日常の器具
3.文様
4.技法
5.製作工房
6.地域産業
7.地方文化・・・・・の7項目。うち、「7.地方文化」については、時間の関係もあってほとんど説明はなかった。

 今回は、「4.技法」から。



3 講座内容の概要

.技法

  O先生からいただいた資料には、こうあった。

4.技法  
(1) 鋳造・・・陶範・蝋型/鍛造/鎚銚/溶接
(2) 象嵌(金・銀・銅・玻璃(ガラス)・緑松石(トルコ石)・青石(ラピスラズリ)など)、鍍金、鍍銀、彩画、塗漆、刻文(華南・・・広東中心)、包金、金糸金粒など


5. 製作工房 

 続いて、O先生よりいただいた資料より。

5.製作工房
(1) 官営
ア 中央   考工、尚方、内官、寺工
イ 地方   ”工官”  南陽工官、蜀工官、広漢工官

「斉三服官作工各数千人、一歳費数鉅万。蜀広漢主金銀器、歳各用五百万。三工官官費五千万、東西織室亦然」(『漢書』貢禹伝)

青銅鍍金斛銘(北京:故宮博物院)
「建武廿一年、蜀郡西工造乗輿一斛承旋、雕蹲熊足、青碧閔瑰飾、銅承盤旋径二尺二寸。銅塗工崇、雕工業、凍(煉)工康、造工業造。護工卒史ツ、長氾、丞蔭、掾巡、令史鄖主」

(訳)
「建武21年(AD45)蜀郡西工で、皇帝用の承盤付きの斛一つを造る。蹲った熊の足を彫り、青と碧の石を飾り、承盤の径は二尺二寸。鍍金工は崇、彫刻工は業、鋳造は康、造作は業。監督した役人は護工卒吏のツ(うん)、氾(はん)、蔭、巡、鄖(うん)」


(2) 民間工房

青銅ミ銘(河北省満城漢墓出土)
「中山内府銅ミ一 容三斗 重十斤五両 第四五 三四年四月 郎中定市河東 賈八百四十」

(訳)
「中山国内府の銅製ミが一つ。容量は三斗。重さは十斤五両。45番目の器。(中山国王劉勝即位後34年4月。郎中職にある定が、河東(山東省)にて市(買)った。価格は840銭」

「・・・・・中郎柳賈雒(洛)陽」

(訳)
「中郎の柳が、洛陽で買った」


<参考>

1.重さ
銖(しゅ)
1石 4鈞      
  1鈞 30斤    
    1斤 16両  
      1両 24銖

※ 1斤=220〜250g

2.容積
1斛 10斗    
  1斗 10升  
    1升 10合

※ (漢代の)1斗≒現在の1升(1.8〜2ℓ)
 

 

 


6.地域産業

商人

青銅洗・・・四川省朱「木+是」・堂狼 蜀郡
      「蜀郡董氏」、「武氏」、「楊氏」、「厳氏」他

※ 朱「木+是」・堂狼という銘が多出する。→ブランド名?

青銅鍾・・・「元和四年、江陵黄陽君作、宜子孫及酒食。吏人得之、致二千石、?人得之、致二千万、田家得之、千厨万倉」

「〜官吏の人がこの鍾を得れば二千石取りに出世し、?の人がこの鍾を得れば二千万(銭?金?)を得?、農家の人がこの鍾を得れば、穀物は千の厨房、万の倉に満つ」

※ これは完全な宣伝文句であり、完全に商業ベースに乗っていることを示す。




 それでは、皆さんごきげんよう♪ 


 

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