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(No63) 京都・らくご博物館【秋】〜栗名月の会〜 鑑賞記その1  

 平成19年10月26日(金)、午後6時30分から京都国立博物館で開催された京都・らくご博物館【秋】〜栗名月の会〜の鑑賞記。

 


(1) 桂さん都 「みかん屋」

 
目が大きいなあ、と登場すぐに感じた。
   「本日はあいにくの空模様。こない出にくい日ぃにわざわざお越しいただくとは・・・・・・・・・・よほど家におられん事情でもおありになるかと・・・・」というマクラで、あっさりと本題へ。

 「みかん屋」は、これまで雀五郎しん吉で聴いた。特にネタ的に付け加えることはないし、特筆すべき特徴も別にないが、いやみな所もない。前座としては、よろしいのでは。




(2) 桂宗助 「始末の極意」

 出囃子は「芸者ワルツ」だった。色っぽい感じ。 
 ケチに関するギャグの連発の噺。

 マクラでは、
(1) 金づちを隣家に借りようとしたら鉄の釘を打ったらチビると断られた。「なんちゅうケチくさいやっちゃ。ほな、うちのん使お」

(2) 両目使うのはもったいないと、ずっと片目をつぶっていた男。使っていた目が病気になって見えなくなった。そこで、これまで使っていなかった目を開けて見たところ、知らん人ばっかりだった。

(3) カナヅチの親父が川にはまった。息子もカナヅチなので、助けを呼んだが「なんぼ出す?」と聞かれた。礼金交渉でチビチビ上げていく息子。それを聞いた親父、溺れかけながらも、それ以上出すなと命じる。

 本題に入ってからは、いわばケチ道の師匠が初心者に教えを説くみたいな感じになる。

(1) 書き損じの紙をいきなりほかす(捨てる)なんて、もったいないことしたらあかん。書き損じの紙は、揉んで柔らかくして鼻をかむ。その後、天日に干して乾かして、手水場で使う(トイレットペーパーにする)。そしたら1枚の紙が3通りに使える。
  なお、これを聞いたアホが、書き損じの紙の再使用で2番目と3番目を逆にしてえらい目にあうというギャグもあり)

(2) 鉛筆の削りカスも焚きつけになる。ちびた鼻緒も羽織の紐になる。(そら、なりまへんやろというツッコミも入る)

(3) 初心者が「扇子を半分だけ開いて大事に5年くらい使い、後で残りの半分を開いて使えば10年保(も)つ」と自慢げに言うと「わいなら、10年はおろか、孫子(まごこ。兵法の”そんし”ではない)の代まで使えるで。第一、半分しか開かへんやて、そんなケチなことはせんと、こぉぜぇ〜んぶパッ!と開く。」
「そんなことしたら、傷みまへんか?」
「せやさかい、扇子は動かさんと、顔の方を動かす」

(4) おかずは何をやってる?という会話になり、初心者が「最近はもっぱら塩です。あれほど安いもんはない」と言うが「塩なぁ・・・・・。塩もええけど、あら、減るやろ?でや、梅干はやったか?」
「朝に皮、昼に実ぃ。晩に種しゃぶって、最後に中の天神さん食べても一日に一個はいりまっしゃろ?」
「そんな、大名みたいなぜいたく、したらあかんがな。梅干てなもん、食べるもんやない。あら、眺めるもんや。これ食べたら酢ぃつばがわくよって、それをおかずに飯を食べるねんがな」

・・・というのと、うなぎの煙のにおいをおかずにしていたら、うなぎ屋から「煙の嗅ぎ賃」の請求が来た。バラ銭をちゃらちゃらちゃら・・・・と小僧さんの前で出し、受け取ろうとしたところ「嗅ぎ賃やさかい、音だけでよかろぉ」とひっこめたというのはお馴染みのギャグ。

「一銭玉2枚で神信心も全部すませ、ちょっとした買いもんもして、お茶とお菓子をよばれて、煙草入れも一杯になって、腹いっぱい飯を食うたうえに、帰りには土産までもらえる方法があんねやで。

 まず住吉っさん
(住吉大社)に行って、下の社にお参りして賽銭箱の角に一銭玉を乗せる。決してほりこんだらあかんで。お参りが終ったら、その一銭玉を持って次のお社へ。順々にお参りして、最後に本殿にお参りしたら、『ご一統さんで、どうぞ』ゆうて、景気良ぉほうりこんだら、神信心も全部済むやろ。

 駄菓子屋行って、残った一銭玉で大きな飴玉を買
(こ)うてくる。
 そこらの悪ガキでは、あかんで。あいつら、やってもすぐ食うてしまいよるからな。
 できるだけ、行儀の良さそうな子ぉ選んで、あげるんや。そうゆう子は、すぐに食べんと家に帰って『こんなんもろた』とちゃんと親に言いよるさかいな。その子の後、つけていって、さも偶然通りかかったように家の前に行ったら、『あっ、このおっちゃんにもうたんや』てなもんやな。

 そしたら、母親は、わいのことほっとくかいな。こら結構なもんをいただきまして。どうぞ上って、お茶でも・・・・てなことゆうさかい、最初は、『ああ、こちらのお坊ちゃんでしたんか。あんまり利口そうな坊んやさかい。いえいえ、大したもんをあげたわけやないのに、そない礼をゆうてもらうほどでは・・・・・。ええ?そうでっかぁ?ほな、住吉っさんにお参りして、ちぃ〜と足がくたびれたさかい、ちょっと玄関先で休ましてもろてよろしおまっか?』と、ここはちょっと遠慮して、上がり口のとこに腰だけおろす。

 向こうの母親は、『いや、そんなとこやのうて、どうぞお上がりを・・・・』とか言いながら、茶ぁと茶菓子、煙草盆でも出してくるわな。
 そしたら、最初から煙草入れは空
(から)やねんで。空やねんけど、さも、今気ぃついたぁてな風で、
『ああ、しもたぁ!煙草切れたぁる。奥さん、すんませんけど、どっか近所に煙草屋はおますやろか?』て聞いたら、まあ『お口に合うかどうかわかりまへんけど、うちのんで良ければどうぞ』てゆうさかい、とりあえず一服して、『すんまへん、お茶、もう一杯もらえますやろか?』とおかみさんを奥にやっておいて、そのすきに自分の煙草入れにせんど
(いやほど)、向こうの煙草を詰め込むんやな。
 これも、最初からがばぁ〜と取ったらあかんで。上はそのままにしといて、底の方からごそ〜っとすくうてくるんや。

 そうこうしてるうちに、亭主の方が帰ってくる。知らん男が玄関先に座ってるさかい何かいな思てたら、嫁さんが『あんさんからもお礼ゆうておくれやす。うちの子ぉが結構なもんいただいて』てなことゆうたら、まさか飴玉二個ばかりや思わんわな。
『ああ、こらうちの坊主が、結構なもんいただいて』
『いえいえ、ここらの子供でお宅とこの坊ちゃんほど利口そうな子はいてまへんなぁ。あんまり可愛いもんやさかい、わたいも、つまらんもんでっけど、思わずあげたてなわけで。
 それに、躾が行き届いてまんがな。うちの子ぉなんかやったら、人にモノもろても、その場で食うてまいよるけど、お宅とこの坊ちゃんゆうたら、ちゃんと親に見せて帰るやなんて。ほんまに賢いぼんぼんでんなぁ』言いながら頭でもなぜたってみぃ?ベンチャラ食わん親はおらんてゆうで。

『おい、お前、何してんねん!もう昼時分やないかい。お昼のご膳お出しせんかい』てなもんや。

 そしたら、『え?そうでっか?そら、えらい厚かましいけど遠慮のぉいただきますわ』と、上がりこんでどっかと座る」

「ここは、遠慮しまへんねんな?」

「せや。ここっゆうとこは、押し強ぉ行かなあかん。で、晩飯食わんでええぐらいに十分にいただいてやな。最後、漬物を二切れ、三切れ残しとくのが肝心なとこや。それで、その漬けもんを紙で包もうとする。これも、あまりおおっぴらでもあかんが、気付かれんでもあかん。
 そしたら、おかみさんは『あ、汚いなんて思いまへんさかい、どうぞそのまま残しといておくれやす』ゆうわな。そこで『いえ、そうゆう意味で残してるんと違いますねん。この漬物、奥さんが自分で漬けはったんでっっか?せやろなぁ。うちのかかにいつも漬物上手に漬けぇゆうてまんねけど、あきまへんねや。
 せやさかい、今日はこの漬物持って帰らせてもろて、おい!漬物ゆうのは、こうゆう具合に漬けるんや!ゆうたろ思て』とでもゆうてみい。

 『え?こないもんがお口に合いましたか?せやったら、そんな残りもんやなしに、よろしかったら女中にゆうて五、六本持って帰ってもろたら・・・・・』。

 でや、一銭玉2枚で、神信心をして、ちょっとした買いもんをして、お茶とお菓子をよばれて、煙草入れもいっぱいになって、飯も腹いっぱい食うて、土産まで持って帰ることがでけたやろ?」  


 
で、いよいよ「始末の極意」の伝授に移る。詳しくはここここで。


 



 

 どうも、お退屈さまでした。いつものことですが、録音などをしてませんので、聞き違い、記憶違いはご容赦ください。

  
 



 

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