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(No2) さらば!憂鬱 〜認知療法入門〜(2) 第一部 理論と研究 第一章 うつ病治療の画期的進歩 『いやな気分よ さようなら』(著:デビッド・D・バーンズ。星和書店)の紹介。
まず第一部の第一章から。なお、「1 うつ病と風邪」といった小見出しは、本書にはなく理解を助けるため石野がつけたもの。
1 うつ病と風邪
P3 「実際のところ、うつ病はあまりにもありふれた病気なので、精神疾患の中ではいわば風邪のようなものと考えられることもある」が「決定的な違い」としては「風邪で死ぬことはまずありませんが、うつ病はあなたを殺すかもしれない、ということです」。
(石野注) 確かに「うつ病は心の風邪」といった表現も目にするが、安易な理解はいかんな、と思う。
2 認知療法の効果
P3 「ペンシルバニア大学医学部」が開発した「これまでの精神療法や薬物療法よりもずっと早く、うつ病の症状を和らげてくれる〜革命的な治療、それが『認知療法』なのです」。
P4 認知療法の効果
(1) 速やかな症状の改善:軽いうつ病の場合、1〜2週ぐらいの短期間で症状が良くなります。
(2) 症状の理解:なぜあなたが憂うつなのか、どうしたらその気分が変えられるか、はっきりした説明を与えてくれます。
(3) 自己コントロール:あなたが混乱した時の安全で有効な対処法を学べます。
(4) 予防、そして成長:うつに傾きがちな、あなたの性格をもう一度見直してみることにより、感情の動揺を予防できます。
3 認知療法の原理
第一の原理 P6 「あなたの感情はすべてあなたの『認知』(ものごとの受けとめ方)あるいは考えにより作られる」
第二の原理 P6 「憂うつな時には悪い方向ばかりでものごとを考える」
第三の原理 P7 「感情の混乱を引き起こすマイナスの考え方は、ほとんど常に認知の歪みを含んでいます。
〜 あなたのうつ病は現実の正確な把握によるものではなく、歪んだ理解によるもの」
(石野注) この原理は各章を読んでいけばおいおいわかるので、あまりここでこだわらなくても良い。
4 認知療法と薬物療法との効果の比較
ペンシルバニア大学医学部で、40例以上の重症うつ病患者を2グループに分け、一方は薬物療法(最も一般的な抗うつ薬イミプラミン)のみで治療し、もう一方は認知療法のみで治療した。(P7〜)
比較項目 |
認知療法 |
薬物療法 |
完全に治癒した者 |
19患者中15名 |
25患者中5名 |
かなり改善したが、なお軽度のうつ状態にある者 |
同2名 |
同7名 |
十分に改善していない者 |
同1名 |
同5名 |
治療を中断(脱落)した者 |
同1名 |
同8名 |
※ 効果の発現時期 |
良くなった患者の多くは、薬物療法による改善例より治療効果の出現が早かった。 |
効果の出現は遅かった。 |
治療効果の永続性 |
改善した患者は治療修理後1年を経過しても効果を維持していた。
心理テストや患者自身の陳述によると、薬物療法による例よりも気分の改善は勝っていた。 |
1年を経過しても効果は維持していたが、気分の改善は劣っていた。 |
1年以内の再発率 |
薬物療法の半分以下 |
認知療法の倍以上 |
P9 「あなたが今どんなに悲しく、憂うつで悲観的だったとしても、この本に書いてある方法を根気よく試せば、必ずや良い効果が得られると私は確信します」
それでは、次章へ。
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