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(No3) さらば!憂鬱 〜認知療法入門〜(3) 第一部 理論と研究 第二章 どうやって気分を診断するか:治療の第一歩  

 『いやな気分よ さようなら』(著:デビッド・D・バーンズ。星和書店)の紹介。

 第一部の第二章から。なお、小見出しは、本書にはなく理解を助けるため石野がつけたもの。



1 ベックうつ調査表(BDI)とは

P12 BDI とはベック博士が開発した、うつ状態のレベルを判定する調査表である。

 21項目の質問に対し、それぞれ選択肢が4つある。最近2〜3日の気分に一番あてはまるものの番号(0、1、2、3という番号が振ってある)をチェックしていく。
 
 例えば、第1問目は、
1−0 憂うつではない。
1−1 憂うつである。
1−2 いつも憂うつから逃れることができない。
1−3 耐えがたいほど、憂うつで不幸である。・・・・・・・・・の4つに分かれている。

 あとは、
第2問 将来について悲観していない。
第3問 それほど失敗するようには感じない。
第4問 以前と同じように満足している。
第5問 罪の意識など感じない。
第6問 罰を受けるとは思わない。
第7問 自分自身に失望してはいない。
第8問 他の人より自分が劣っているとは思わない。
第9問 自殺しようとは全く思わない。
第10問 いつも以上に泣くことはない。
第11問 イライラしていない。
第12問 他の人に対する感心を失っていない。
第13問 いつもと同じように決断することができる。
第14問 以前より醜いとは思わない。
第15問 いつもどおりに働ける。
第16問 いつもどおりよく眠れる。
第17問 いつもより疲れた感じはない。
第18問 いつもどおり食欲はある。
第19問 最近それほどやせたということはない。
第20問 自分の健康のことをいつも以上に心配することはない。
第21問 性欲はいつもとかわりない。

・・・・・・と続く。

 冒頭でも書いたように、私は、選択肢まで含めまるまる転載することは避けておこうと思うのだが、きっと著作権の問題もクリアされてるのだろうが、ネットで実際に全部やれるサイトがあるので紹介しておく。
 たとえばこことか、ここである。

 

 


2 BDI の活用方法

P16 21項目すべてに答え終わったら、選択した番号の合計を求める。

 点数の合計が低いほど気分がいい状態。高ければその逆である。
 10点以下ならほぼ正常。5点以下なら特に気分がいいと言ってよい。

 ボーダーラインは17点である。
P17 「もし17点以上なら、少し重いうつ状態です。その状態が2週間以上続くようなら専門医にかかるべきです」。

 特にチェックすべきは第9問である。

P17 「もしここで2点以上つけたなら、自殺の危険性があることになりますから、ただちに専門医にかかるようにしてください」。 

(石野注)
 大事なんで、この設問は選択肢も入れて再掲する。

第9問 
9−0 自殺しようと全く思わない。
9−1 死にたいと思うことはあるが、自殺を実行しようとは思わない。
9−2 自殺したいと思う。
9−3 チャンスがあれば自殺するつもりである。

 何度でも書く。ともかく、うつ病は自殺の予防が何より大事だ。しかし当事者は、いっそ楽になれるなら・・・・と、そう考えてしまいがちなのだ。
 死んだらおしまいやないか。死ぬくらいやったら、何でも我慢できるやないか。それが正常な判断である。でも、その正常な判断が、冷静に後で振り返ったら当然できる筈の判断ができなくなるのが病気である所以なのだ。

 当たり前だが、死んだら取り返しがつかん。逆に言えば、死にさえしなければ、たいがいのことは何とか埋め合わせがつく

 だから、大げさではなく、とにかく自殺しないこと(周りの者は「自殺させないこと」)を最大の目標にすべきだと私は思う。

 



3 BDI の頻度

P17 「この本にしたがって訓練を進めながら、定期的にBDI を用いて進歩の度合いを評価するようにしてください。少なくとも
1週間に1回はやってみることを勧めます」。

(石野注) 筆者も「ちょうどダイエットしている時に、定期的に体重を計るようなものです」としているが、ほんと、そんな感じ。

 こうした抑うつ状態を数値化し、それを定期的にチェックせよというのが、いかにもアメリカ的な感じ(←どんな感じやねん?)がするが、いいんじゃないか。
 ダイエットも計量ダイエットという方法があったように思う。これは、ともかく細かい数値が量れる体重計で日に数回、体重を量るだけというダイエット方法。

 これにより体重に対する関心が増す。こういう生活をすると増える、こうなら減るということが実感として分かる。わずかでも減るとそれが励みになって、その傾向を続けようと自然と努力できる・・・というものだが、全くそれと同じような効果が期待できるのではないだろうか。



4 BDI の結果判定のまとめ

P19 「あなたのBDI の点数が17点以下で、強い自殺衝動や幻覚、躁病の症状もなければ、心配には及びません。この本でお示しする
認知療法の方法を試みれば、必ず良い方向に向かいます」。 

(石野注)
 私は、ここまで断言はできないが、駄目でもともと。まあ、本代(4000円弱)と、多少の時間は無駄になるかも知れないが、もし効果があればめっけもんである。それはそれは、でかい儲けものだ。試してみる値打ちはあるのではないだろうか。
 


 それでは、次章へ。
   
  

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