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(No88) 京都国立博物館「京都御所障壁画」鑑賞記 その1 

 2007年1月6日(土)から2月18日にかけて、京都国立博物館にて新春特別博覧会「京都御所障壁画」が開催された。
 


 今回展示されるのは、京都御所のうち、御常御殿と御学問所の障壁画である。

 とりあえず、京博での展示順序にはかかわらず、展示場所順に紹介していくことにしたい。

【 御常御殿 】

 左図は、図録に載っていた平面図を私が再現したもの。

 まず部屋名称から。

 「上段」:上段の間
 「中段」:中段の間
 「下段」:下段の間


 続いて、
 「剣」:剣璽の間   

 「小上」:御小座敷上の間
 「小下」:同 下の間 

 「寝」:御寝の間

 「清」:御清の間

※ 「仕」:中仕切の間

 「一」:一の間、
 「二」:二の間、
 「三」:三の間、
 「次」:次の間

 「申北」:申口の間(北)、
 「申南」:申口の間(南)

※ 「落」:落長押の間

 御三間
 「上」:上段の間、
 「中」:中段の間、
 下:下段の間

 御献の間
 「上」:上の間、
 「下」:下の間 



 それでは、各作品を。なお、京博のHPはここ

番号 名  称 作  者 備  考
01 桐竹鳳凰図(きりたけほうおうず) 狩野永岳  本展示会のメインと言ってもよいだろう。引き戸の「綱」も立派で美しい。
 画像はチラシのページで。
02 尭任賢図治図(ぎょうにんけんとちず) 狩野永岳  が賢人を臣下に任じ国を治めることを図ったところを描いた絵。
 画像はチラシのページで。
03 大禹戒酒防微図 鶴沢探真  これも伝説的な賢帝儀狄という人物から「酒」を献上されたところを描いた絵。
04 高宗夢賚良弼図(こうそうむらいりょうひつず) 座田重就(さいだしげなり)  殷の高宗が夢に出てきた賢人を探すところを描く。その賢人が傅説(ふえつ)。
 高宗とは、文字を創造したとの伝説がある武丁
05 春夏秋冬花鳥図 土佐光清  全八面(四面一組)の絵で季節が循環する。
 右より鶯と福寿草、次に燕と薊(アザミ)、次に昼顔と鷭(バン)、翡翠(カワセミ)と菱で春から夏。このカワセミが美しい。
 次に、右から鶉(ウズラ)と紫色の野菊。その横が水鶏(くいな)でこの辺が秋。その横に千鳥、最後が石蕗(ツワブキ)で冬の訪れ。
06 花ニ鳴鶯図 中島来章
07 水ニ住蛙図  
08 和耕作図 塩川文麟  先生は、これも大作、力作と賞しておられた。私個人としてはそれほど評価していない。
09 竹ニ虎図 土佐光文  こんな虎に囲まれたら、かえって寝にくいように思う。
10 花卉図遊魚図水草ニ蛍図水草ニ蟹図  蛍だか、トンボだか、何かその辺の羽虫かわかりにくい。 
11 春野雲雀図(しゅんやひばりず)、秋野鶉図(しゅうやうずらず) 吉田元鎮  
12 奈良八景図 狩野永岳  南円堂がムキミで描かれていたり、東大寺の鐘搗き堂など、興味深い写生。
13 朗詠ノ意(桃柳図) 狩野永岳  京博展示のトップを飾る。
 桃と柳とのことだが、どれが柳なんだかよくわからない。
14 四季花鳥図 鶴沢探真  藤の花房の間でホバリングしている燕が、嘴に小虫をくわえているのを観ると、御所で公開されてもこんな近くでは見られず詳細は確認できなかったろうな、と今回の公開をあらためてありがたく感じた。
15 和歌ノ意(地引網図) 円山応立
宇治川ノ景 永沢芦鳳
16 常盤木ニ猿図 中島華陽
17  谷川ニ熊図 岸連山  
谷川ニ熊図 岸竹堂
山水図 国井応文

 鳳凰というのは桐の樹に住むらしい。それで花札で桐の20点札には鳳凰が描かれていたのか。(←ほんとにそう?)
 鳳には青が使われている。高い群青という岩絵具であろう。普通、少しの絵具で「青」の色が強く出るよう、下地には濃い目の色を塗るのだが、本作は下地に胡粉(白)を使っているそうだ。立っている鳳凰の方は、だいぶ「青」が落ちて白地が目立っている。
 




 どうもお疲れ様でした。

 
  

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