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(No89) 京都国立博物館「京都御所障壁画」鑑賞記 その2
2007年1月6日(土)から2月18日にかけて、京都国立博物館にて新春特別博覧会「京都御所障壁画」が開催された・・・・・・の続き。
今回展示されるのは、京都御所のうち、御常御殿と御学問所の障壁画である。
とりあえず、京博での展示順序にはかかわらず、展示場所順に紹介していくことにしたい。御常御殿(本体部分)については、前回ご紹介したので、御三間などについて。
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【 御常御殿 】
左図は、図録に載っていた平面図を私が再現したもの。
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それでは、各作品を。なお、京博のHPはここ。
まず、御三間(おみま。「アメマ」ではない)。
番号 |
名 称 |
作 者 |
備 考 |
18 |
朝賀図 |
住吉弘貫(すみよしひろつら) |
後で再記述するが、遠近感がおかしい感じがする。
チラシのページ参照。 |
19 |
賀茂祭群参図 |
駒井孝礼 |
行列の人物の顔の描写がややマンガチックな感じがする。
それと、御所車の御簾の緑色が(「緑青」なのか?)青カビみたいな感じに見えた。
チラシのページ参照。
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駒引図 |
岸誠 |
冷泉先生の資料にのみ記載。『図録』では特に紹介なし。 |
続いて御献(おこん)の間。
番号 |
名 称 |
作 者 |
備 考 |
20 |
嵐山春ノ景図 |
横山清暉(よこやませいき) |
会場での説明文にも『図録』の解説にもおかしいと書いてないのだが、私はやはり奇異感を覚えずにはいられない。
こんな四角く区切られた「春霞」ってないと思うのだが。松の木や桜の花がまっ四角に霞で隠されている点が変。
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21 |
高尾秋ノ景図 |
横山華渓 |
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最後に、杉戸絵を。
番号 |
名 称 |
作 者 |
備 考 |
29 |
柳ニ鷺図 |
大口義卿(おおぐちぎきょう) |
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30 |
王質囲碁図 |
山田龍淵(やまだりゅうえん) |
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31 |
雪中小鳥図(せっちゅうことりず) |
近藤梁渓(こんどうりょうけい) |
この絵、大好き。杉戸は焼いてあるのか、濃い茶色を呈し、そこへこんもりと描かれた雪模様が実に美しい。 |
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【 御学問所(おがくもんじょ) 】
上段の間
中段の間
下段の間
菊の間
山吹の間
雁の間
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番号 |
名 称 |
作 者 |
備 考 |
22 |
十八学士登瀛州図(じゅうはちがくしとうえいしゅうず) |
狩野永岳
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上段の間 |
23 |
和歌ノ意図 |
土佐光清 |
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24 |
蘭亭の図 |
岸岱(がんたい) |
中段の間
杯を流している上流の小僧さんたちは忙しそうだなとか、ああ、川の中央の杯(と盆)は、あんな孫の手みたいなので引き寄せるのか、とか、途中にちっちゃな滝というか段があるから、絶対あっこでお盆ひっくり返るで、とか思った。 |
25 |
岳陽楼図 |
原在照 |
下段の間 |
26 |
菊図 |
岡本亮彦(おかもとすけひこ) |
講演にもあったが、細かく見ると20種以上の菊が描き分けられているそうである。 |
27 |
錦花鳥図 |
土佐光文 |
桐竹鳳凰図のように大ぶりではないが、実にていねいで美しい瑞鳥の絵。 |
28 |
芦に雁図 |
岸連山 |
大作。たくさん群がりガアガアと騒いでいるところや、羽音が聞こえんばかりに大挙飛来してきているシーン。水面に浮かび、魚か何かをついばもうとしている場面などは、これまた水音が聞こえそう。
動きや音を感じさせ観ていて楽しい。 |
32 |
松鷹図 |
吉田公均 |
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33 |
春夏花車図 |
〃 |
御所車の上に置かれた花籠からあふれんばかりの牡丹などを描いた、非常に華麗な絵。
32と本作は杉戸絵。絵というか戸の側面に「松鷹」、「花車」と書いてあったのが印象的。いつ書かれた字なんだろう? |
(特別コラム) 障壁画における遠近法について
これは、ひょっとして美術に詳しい方にとっては常識で、私はとんだ無知をさらけ出すことになるかもしれない。しかも、私は最近特に乱視がひどいんで、私の単なる見間違いという可能性も否定しきれない。
しかし、腹の中にかかえていても仕方ないんで、あえて書く。
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左図は「尭任賢図治図」である。
西洋的遠近法では、手前が大きく、遠くが小さい。つまり、視点というか、手前が広く、向うへ離れて行くにつれ狭くなっていく・・・・・というのが私にとって常識となっている。
しかし、左図では階段を見ると手前から上に離れていくにつれ、逆に広がっている。
階段中央の龍の彫刻があるとこも、上の方が広いように見える。
あと、壇上のタイルのような模様。皇帝の座の前、中央部分の「四角」と、端っこの方の「四角」では端の方が広いように見える。
つまり、極端にいうと、私の常識とは逆に、手前中央から放射状に広がっていくように描かれているように思える。 |
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左図は「朝賀図」。
これも回廊への石段みたいなのが3列描いてある。web上ではわかりにくいと思うが、どうも手前の階段より、奥の方が大きいように私には見える。
これも、どうも視点が手前右端にあって、そこから放射状に広がるように描かれているように見えてならず、会場でどうも違和感を感じた。
天皇間近の絵であるから「先細り」は縁起が悪い。あくまで絵も「末広がり」で描く・・・・という約束事でもあるのだろうか? |
どうもお疲れ様でした。
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