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(No159) 「聴いてみよう雅楽 見てみよう雅楽 知ろうよ雅楽」鑑賞記 その2

 



 さて、管弦の続き。

 この催しを紹介していたHPの解説文では、

「五常楽(ごしょうらく)」は序・詠・破・急からなる壮大な組曲ですが、今回は「急」の部分を略式演奏します。
 福岡県の民謡「黒田節」の原曲となった「越殿楽(えてんらく)」は、絃楽器を楽しむ「残楽(のこりがく)」という特殊奏法で演出します。
 「催馬楽(さいばら)」は平安時代に大流行した男声歌曲ですが、現在6曲しか伝わっていません。
 「陪臚(ばいろ)」は勢いのあるリズミカルな曲です。

 管楽器と絃楽器が織りなす平安の調べをじっくりご堪能下さい。

 冒頭の「平調音取」に引き続いては、「五常楽」(ごしょうらく)。

 解説資料によると「雅楽の楽曲の中で「越殿楽」と並んでポピュラーな曲。唐の太宗が貞観(627〜649)末期に作ったと伝えられる。
 曲名は、「五常」といわれる仁義礼知信を宮・商・角・微・羽の五音に配したことに由来する。

 序・詠・破・急の四楽章から為る、一具(いちぐ:一揃い)が整った数少ない楽曲だが、本日は急の部分のみ略式演奏する」
というようなことが書いてあった。

 詳しいことは何も分からない。

 最後、筝の奏者は、弦に爪を沿わせ、ごくごく小さく弾かれた。

 マイクを持った太田さんが「拍手をしていいのか、どうかさえも分からないですよね。今、琴が小さく「ちょん」と弾きましたね。あれが、ラストの合図です。あの「ちょん!」を目安に拍手をしていただけたら結構です」とのこと。

 いやあ、勉強になった。

 続いては「越殿楽残楽三返」(えてんらくのこりがくさんべん)。

 これも解説資料によると「雅楽の中でも最も有名な楽曲で、誰でも一度は耳にしたことがあるのでは?小学校の音楽の教科書にも載っている。

 民謡「黒田節」は、このメロディに歌詞をつけたもの。
 また、「えてんらく」という名称は、シルクロードのオアシス都市于闐(うてん。現ホータン)に由来するのでは?という説がある。

 「残楽」とは、楽器編成を徐々に減らしていく奏法で、1回目は通常通り、2回目は打楽器、管楽器の助奏者を外し、最後の3回目は篳篥の主奏者と弦楽器のみで演奏する。
 その際、篳篥は通常のメロディを断片的に演奏し、筝は「輪説(りんぜつ)」という残楽だけの特殊な手を演奏する」
とのこと。

 最初に述べたように、今回の管弦では打楽器はない。

 解説に2回目は助奏者が抜ける、とあったので、前回の名簿のような主奏者、助奏者の区別がついたのである。

 今度は事前に教えてもらっていたので、筝の「ちょん!」で会場、盛大な拍手。

 太田さんが再びマイクを持つ。
「段々演奏者を減らすという変わった演奏方法です。

 ハイドン
の曲に似たようなものがあるそうです。
 何でもハイドンは、ストライキのために、段々演奏者が退場していくようにしたそうですが、雅楽の残楽は、奏者が、演奏しているばかりじゃなく、人の演奏も聴いてみたいということで、途中から演奏をやめて聴く側に移る・・・という意味があります」



(石野註) 

 ハイドン「告別」は、演奏旅行が長引いて楽団員がホームシックになった時に、パトロンの貴族に不躾に「もう帰らせてくれ」とも言えないので作った曲。

 順々に奏者が退場していき、最後は指揮のハイドンも退場し、場内はロウソクの灯りのみ。
 やがて、それも消え、ステージは真っ暗に。粋な貴族が、ハイドンの意図を察して楽団員に休暇を与えた・・・という逸話がある。

 一方、雅楽の「残楽」は、いかにも雅楽は、演奏を職業とするのではなく、貴族自身の趣味として始まったという優雅さが表れていると思う。



 続いて催馬楽(さいばら)の「更衣」(ころもがえ)。

 資料では「歌物には、平安時代の民謡を雅楽風に歌う「催馬楽」と、漢詩にメロディをつけて歌う「朗詠(ろうえい)」の2種がある。

 歌詞:「更衣センヤ シャ公達 我ガ衣ハ 野原篠原萩ノ花 摺リヤ シャ公達
 意味:衣替えをしましょうよ、公達よ。私の衣は、野原、篠原、萩の花の草木で染めたものです。さあ、公達よ」
といった内容が載っていた。

 催馬楽の演奏は「笏拍子」という楽器で拍子を取りながら進められる。客演の笙の主奏者である豊氏が拍子を取られた。笏拍子の画像は、このHPにて。

 管弦の最後は「陪臚」(ばいろ)。

 これも資料によると「戦勝祈願の曲目とされ、聖徳太子物部守屋を討つ時にも演奏されたと伝えられる。
 曲名は、戦いの神、「ヴィロチカナ(阿修羅王)」を音訳したという説がある。

 752年の東大寺の大仏建立の式典時に演奏されたという記録が残っている。

 天平8(736)年に、インド僧婆羅門(バラモン)僧正と林邑(南ベトナム)僧仏哲によってもたらされた八曲のうちの一曲と伝えられる」とある。

 今までの曲に比べると軽快な感じのする曲です
・・・・ということだったが、明確な違いが分からない。

 リズムも「只調子」(ただちょうし)という6拍子のリズムであり、かつ、単純な6拍子ではなく、2拍子と4拍子の組み合わせで・・・・・ということなのだが、これまた、私にはよく分からない。



 後半の舞楽に向けて、若干の休憩がはさまれることになった。


 先ほど、客演の豊氏のことを少し書いたので、紹介HPにあった豊氏の資料を載せておきたい。

《客演》

豊剛秋(ぶんのたけあき)

1974年生まれ、宮内庁式部職楽部楽師。笙を岩波滋、多忠麿、歌を豊英秋、右舞を安倍季昌、琵琶を山田清彦各氏に師事。ピアノ、ヴァイオリンも学ぶ。

宮内庁楽部楽師養成課程(7年間)修了。早稲田大学社会科学部卒業。

2000年NHKハイビジョンときめきワイド「素敵にこの人と」、2001年NHK京都「イブニングミュージックライン」、2007年NHK大阪「ぐるっと関西plus」に出演。古典演奏の他バロック音楽やポップス、ジャズとの融合等、雅楽の可能性を追求する活動にも意欲的に取り組んでいる。



 


 

 お疲れ様でした。

 
 
  

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