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(No9) 「煌きのダイヤモンド」鑑賞記

  大阪市立美術館で2004年1月9日から2月27日まで開催されている「ヨーロッパの宝飾400年展 煌(きらめ)きのダイヤモンド」を観てきました。

 



 例によって、ポスター、チラシで取り上げている作品を中心にご紹介していきます。

 チラシの表(おもて)面ここからご覧ください。

 チラシの表やチケットに、ピン(単独)で取り上げられているのが、「マウントバッテン」ティアラです。1910年頃の作品で、個人蔵。サザビーズの協力で展示されてるそうです。

 確かに満面にダイヤが散りばめられていて、実に豪奢で美しい。
 ただ、少し疑問に思ったことがあります。会場で音声ガイドのプレーヤーがレンタルされていました。どうやら、この作品、その解説対象になっていないようなのです。
 会場の全作品が解説対象になっているわけではなく、逆に、対象になっている作品には番号札が掲示してある。
 で、プレーヤーでその番号を押すと、該当作品の解説がイヤホンから流れてくる仕組み。

 ということは当然、解説の価値がある精選された主要作品が対象なんだろう。
 私はレンタルしてないので確かなことは言えないのですが、あれだけもてはやして、便利使いしておきながら、解説を加えるほどの中味はねえって言うのかよ!ってこと?


 チラシの裏面ここからご覧ください。

 左側に三つ縦に並んでいる写真の一番上は、「ハプスブルグ家皇女マリア・クリスティーネ(1742〜1798)の肖像」です。
 マルタン・ヴァン・メイテンス2世(1696〜1770)による1765年の作品とのこと。ウィーンのシェーンブルン宮殿蔵です。
 会場には、この他にもいくつか肖像画が展示されていました。いずれもダイヤなどの宝飾品を身につけた貴婦人方の肖像画。まあ、芸術価値よりは「ざあます」夫人の宝石自慢って感じですが。

 左中は、リースのティアラ/ネックレス。1835年頃の作で、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館蔵。

 左下は「フリンジ」ネックレスマドモアゼルシャネル1932年のデザインを、1993年に復刻したもの。フランスのシャネルジュエリー蔵。

 続いて、真ん中の4枚の写真です。

 中上の横長の写真は、シクラメンのティアラ。ファベルジェのアルベルト・フルトシュトルムが1903年頃に製作したものだそうです。ウェストミンスター公爵夫人蔵。

 ところで、ファベルジェって何なのでしょう?ネットでちょっと調べると、有名なのがカール・ファベルジェ(1846〜1920)で、ロマノフ王朝に仕えた宝石商&工芸者。「名探偵コナン」の映画でも出てきたイースターエッグ(卵型の宝飾品)で有名・・・らしいのですが、「ファベルジェのアルベルト・フルトシュトルム」って意味がわからん。ファベルジェ家の、って意味なんだろうか。

 中左の縦長の写真は、ストマッカーを伴うバリュール。19世紀半ばのもので、ベルギーの個人蔵。
 ストマッカーというのは、ストマック(胃)というくらいですから、たしかお腹のあたりに飾る装飾品・・・だったかな?

 中右上の丸っぽいのは、サーキュラー・ペンダント付きネックレス。1905〜1910年頃の作品で、アントワープ州立ダイヤモンドミュージアム蔵。

 中右下の稲穂を思わせるデザインの一品は、1780年頃のエイグレットで、所蔵は上と同じ。

 最後に右側の2枚の写真。

 右上は聖遺物入れクロスペンダント。16世紀末の作品で、一部は1620年頃、とチラシの説明書きにあるので、一部、後で手を加えたのでしょうか。ベルギーの個人蔵。

 右下は、フルコ・ヴェルデューラ作のブレスレット。デザインは1945年頃で、製作は2000年。ニューヨークのヴェルデューラ・コレクション蔵で、その下は、このブレスレットをつけたダイアナ元皇太子妃

 この展示会を紹介しているページがありました。ここをクリックしたら、飛べます。リンク切れしてなければ、主要作品の画像が見ることができます。

 東博のサイトでは、展示作品のリストを掲載してました。ここからどうぞ。



 さて、その他感じたことを少し。
 トカゲやヤモリ、サソリ、ヘビといったデザインがけっこう多かったですね。

 それと、会場内で「カブト虫形のアクセサリー」と表示されていたのがあったけど、あれは明らかに「クワガタ虫」だぞ。
 カブト虫を「甲虫」と言う意味で使っているなら、「ごめんなさい」するけど。

 あと、カットの重要性は少しわかった気がします。
 ダイヤというと、ブリリアントカットしか知らなかったけど、それはカット技術の進化の歴史の上に立ったものだったんですねえ。

 会場で、イエスのモノグラムつきペンダントというのがありました。26個のテーブルカットのダイヤモンドで「IHS」(IESUS HOMENIS SALVATOR=イエス、人間の救済者)という文字を表しているそうなんですが、平べったいカットじゃ、ガラスや水晶とどれほどの違いが出せるのか、と。

 ブリリアントカットの前に主流だったローズカットというのは、底面は平らで、ドーム球場みたいに上の方だけ細かくカットするもの。
 これなんか、トルコ三大文明展で多用されていたみたいに、何かの上にダイヤを貼り付けて、という手法なら有効なんでしょうけど。

 ブリリアントカットに至って初めてパヴィリオン(ダイヤの頂点の平面部分をテーブルという。テーブルから、最大径の部分であるガードルまで広がっていく部分がクラウン。逆に、ガードルから、底面の頂点であるキューレットまですぼまっていく部分がパヴィリオン)を活かす立て爪の指輪ができたのかなあ?なんて勝手に想像しております。


  招待券をいただいたので、無駄にするのもなあ、という気持ちでした。
 私自身は特に宝石とかには興味がないので、正直言って切符がなければ足をはこんでいなかったでしょう。
 そう考えると、逆に貴重な体験をしたともいえそうです。

 まことに、お疲れさまでございました。

 

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