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上海旅遊記(10) 周荘編Part2
周荘といえば、何といっても、舟による水郷めぐりが名物と言われている。
私たち一家が乗り込んだ舟の船頭さんは、年配の女性であった。(左下写真)
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日に焼けて赤銅色というか、柿渋のような顔色をしている。
呉さんが「舟唄」はどうだ、と言う。タダではなく、10元らしい。
嫁さんは目でさかんに「いらん!いらん!」とサインを送ってきたが、私は、まあどんなものかわからないが、10元ほどで何か珍しいものが聞けるならいいか、と思って「お願いします」と言った。 |
櫓を操りながら、船頭さんが低い声で歌い始めた。
なかなか風情があると言えば、そう言えなくもない。
歌詞はさっぱりわからないが。で、耳を傾けつつ、そのうち声を張り上げる「山場」みたいなのが来るのかなあ、と思っていると、さして盛り上がりを見せぬまま終わってしまった。ありゃ、ありゃ。
周荘で特に有名な美古橋は、前回紹介した双橋のほかに、富安橋というのがあるようだ。
残念ながら、これが富安橋だ!という自信のある写真はない。
右写真の橋は、なかなか風情があるし、地図で見た位置関係(船着き場の北)でも、有力な「富安橋」候補だとは思うが、何せ確信がないので、ご存知の方がいらっしゃったら、ご教示いただけると幸いです。
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コースはだいたい決まっているようで、船着き場からまっすぐ進み、町はずれの橋(左下写真)をくぐって、Uターンする。
この橋をくぐった先に見える、大きな道路(全功路)にかかっている近代的な大きな橋は蜆江橋。
そして、上写真の橋は全功橋というようである。
(いずれも『歩き方』地図からの推測で、呉さんに聞いたものではない)
水路はめちゃくちゃ広くもないので、他の舟とけっこう近くですれ違う。
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観察していると、船頭さんの唄の上手下手、声量の大小などはもちろんあるだろうが、唄自体も一つではないようだ。
ずいぶん長いこと延々と、かつ朗々と歌い上げている舟もあるし、やたらアップテンポでリズミカル、半分踊りながら歌っているような舟もあった。
岸の枝垂れ柳や、椅子に座ってお茶を楽しむ人々などを眺めながら、舟はゆらりゆらりと進む。
ついでに、舟の上でリラックスしてる呉さんの写真を公開する。(左写真)
「らくだ」という単語を連想するのは私だけだろうか。
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と、雨がぽつぽつと降り出してきた。
テントの支柱の要領で舟べりの穴のところにU字型の鉄棒を何本か差し、青いビニールシートを張っていく。
先ほど、船着き場で舟に乗り込む時、屋根付きの舟とそうでないのがあるのを不思議に思っていたのだが、どうやら雨を見越して早手回しにシートを張っていたのが「屋根付き」であったらしい。
右写真は、雨が降り出してあわてている各舟の様子。
雨は激しくなってきた。
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テント張りの屋根をたたく音もだんだん大きくなってくる。
川面(かわも)は、すきまなく、つぎつぎに丸くあわ立つ。
屋根のビニールシートのあちこちが雨でたわみ、やがて耐えかねたようにバサーっと水が垂れてくる。腰掛けているすぐ後ろに「滝」が落ちてきて、ひや〜っと叫んで立ち上がりかける長男。
舟の中で乾いたスペースはなくなってきた。
はっきり言って悲惨な状況なのだが、なぜだか楽しい気分になってきた。
わざわざ中国まで行って、選りにも選ってこんな土砂降りの中で舟に乗っているということが、こんな経験もなかなかできないよな、という思いとともに(別にやけくそではなく)妙に心を浮きたてたのである。
さて、車に戻り身体をタオルで拭きつつ、一路蘇州を目指す。
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