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(No84) 2006年 新春とっておき米朝一座 TV鑑賞記  

 2006年、平成18年の正月番組の記録・・・・というのは間違いではない。平成20年の正月番組「米朝一座」のメモもそのうちアップする予定なのだが、先にひょっこり昔のビデオが出てきたんでこっちの感想を。
 


(1) 桂南光 「ちりとてちん」

 
マクラで、別のところでも書いたことがあるが、「つっかい!エッブリデ〜」(痛快エブリディ)という番組をやっていて、いろいろな物を食べるが、美味しいものばかりではない。私が「こら、うまい!」とゆうた時はほんまに美味いんですが、そうでない時は「しゃれてますな」、「しゃれた味ですな」と言いますんで、そん時は不味いんや思てください・・・・というもの。
   本編の「ちりとてちん」については、これまで何度も紹介しているネタだし、びっくりするような新しい演出もなかったので詳細は省略する。

 


(2) 桂ざこば 「よもやま噺」

 
高座にあがるなり羽織を脱ぎ、「こないすぐ脱ぐんやったら・・・」というお馴染みのギャグ。
   去年の夏に左足首を折りましてな。
 夜中の2時やったんですが、まあ、酒にも酔うてたんです。

 嫁さんがねえ、「ええ?夜中の2時やでぇ?お医者さんも開いてへん。しゃあけど、まあ、ひょっとして骨、折れてたらあかんから救急車呼んで、レントゲンだけでも撮ってもらいまひょかぁ?」・・・・・・・・って、普通、そうゆいまへんか?

 うちの嫁さん、ちゃいまっせ。「罰
(ばち)、当たったんや!」
 ・・・・・・・そんだけですわ。

(と、会場から拍手) 何でんねん、その拍手?意味、わからんわ。

 ・・・・・・・・・昔、千日劇場ゆうとこ出てましてねえ。千日デパートの7階にあったんでっけど。わたい、その頃、南海電車の粉浜(こはま)ゆうとこ、住んでまして。12時と4時に始まりますねん。
 わたい、前座ですから12時に出んならんのでっけど、目ぇ覚めたら昼の12時でしてん。
 劇場行ったら、お囃子
(はやし)さん、今の染丸さんの先々代の奥さんで林家トミさんゆうて、無形文化財みたいな人でしてんけど、その人にえらい怒られましてね。
「あんた!12時に出んならんのに、今頃来てどないすんねんな!」ゆうてね。
 わたい、根性なしやから、もう涙、ぼろぼろ出てねえ。
(腕で目をごしごし、こすりながら)「すんまへ〜ん」
「すんまへんで、すむかいな!」

 そん時、浮世亭可楽ゆう師匠が出てはりましてねぇ。
「ちょ〜まぁ
(朝丸。ざこば襲名前の名前)君、どないしたぁん?えらい泣いて」
(うぐ、うぐ・・と嗚咽)寝過ごしてしもたんですぅ」
「そら、あけへんがな。おトミはん、怒ったりないな。若いうちは、つい寝すぎてまうもんや。
 ちょ〜まぁ君も、今度から気ぃつけや」
「すんまへ〜ん」

 ほんで、昼席は休ましてもろて、4時からの高座出してもろて、その日は帰ったんですが、次の日、目ぇ覚ましたら昼の1時なんです。

 当然、おトミさん、カンカンですねん。

「昨日しくじったのに、何考えてんねん!米朝さんの顔に、あんた、泥塗るつもりか!」
「すんまへ〜ん」
「あんたは、泣いたらええ思てんのか!」

 そこへ来はったんが可楽師匠です。
「ちょ〜まぁ君、えらい泣いてるけど、どないしたぁん?」ゆうて、まあその日も仲裁してくれはって。

 ひな子師匠
(女漫談の吾妻ひな子)が、家、電話したろか?ゆうてくれはったんでっけど、今やったら誰でも携帯(電話)とか持ってまっけど、その頃、電話なんか家にありませんねん。

 二へんも続けてしくじって、もう寝過ごすわけいかん。寝るから起きられへんねや。もう、夜通し起きとこぉ!思いまして。
 1時・・・3時・・・6時。今から行ったろか思たんですが、まだ千日劇場開いてへん。ほんで8時。寝てへんからクタクタや。うかっと横になったとたん、熟睡や。起きたら3時・・・・・。

 もう劇場行かれへん。
 腕、折ろう思いました。どこぞにぶつけて腕折ろう。そしたら、腕折って病院行ってましてん、ゆうたら許してもらえる・・・・・思たんでっけど、そんな痛いことでけへん。

 で、蒸発や。どっか行ってしまお、思たんでっけど、せっかく弟子入りしたのに・・・・。タクシー、ぶつかろか、思たけど、それもできんで・・・・・。

 劇場行ったら、おトミはんに「よぉ、のこのこ出てこれたな!」ゆわれて。
 そこへ出てきはったんが可楽師匠。
「ちょ〜まぁ君、どないしたぁん?え?また寝過ごして、しくじった?・・・・・顔も見たないわ


 新幹線の中でディック・ミネ先生と一緒になったことがありましてね。♪ しみぃいず〜
(清水)みぃなとぉおのぉ〜(港の) めぇいぶぅうつううわぁ〜〜(名物は) ♪とかね、♪ ダイナ〜 ♪とかね。えらい人気でした。

 ちょっとお話、さしてもらえるような仲、なってまして。
「先生、大阪ではどちらにお泊りですか?」
「ぼかぁ、ずっとロイヤル
(リーガ・ロイヤルホテル。大阪では最高級にランクされるホテル)だ」
「劇場からホテルへは、どないなされます?」
「タクシーで行こうかなって」
「どうでしょう。失礼やなかったら、私、弟子の都丸ゆうのに運転させて、お送りさせてもらいまっけど。ただ、ホンダのアコードで、ちっちゃい車でんねんけど、よかったら」
「ああ、そうかい。車なんか動けばいいんだ。じゃあ頼むよ」

 で、劇場の帰りに先生、案内しよう思たら、都丸が来て「師匠、すんまへん。今日、師匠の車、修理出してまして、私の車で来てますねん」

 見たら、シビックですわ。アコードより、まだひと回り小さい。それも派手なまっ黄っ黄ぃ。
「先生、すんません。ちょっと手違いで、またちっちゃい車でんねん。それもまっ黄っ黄ぃで」ってゆうたら、「いいんだよ、車なんて動いたら」。

 この車、2ドアでんねん。助手席側のドア開けて、座席、ばた〜っと前に倒して先生に座っていただいて、わたし、その後に助手席、乗ったんでっけど、座席、戻しまへん。
 フロントグラス付くぐらい、べちゃ〜っと前に倒した状態で、私、助手席座ってました。
 そら、そうでんがな。ちょっとでもディック・ミネ先生に広ぉに座ってもらわんならん。

 先生、中でタバコ吸おうて思いはってんけど、ドアんとこの灰皿、以前に取れてしもて、ないんです。
 で、先生が「ん?あれ?この車、灰皿がないねぇ」
 私、都丸に「おい!灰皿、ないんか!」て聞いたら、都丸、飲み終えてた缶コーヒー出してきて、これで良かったら、ゆうて・・・・・・・・・。

 先生が「ぼかぁ、顔が広い。ロイヤルじゃ行きつけだから、ほっといても奪い合うように僕の鞄を持ちにボーイが集まってくるんだよぉ」って言いはったんやけど、ロイヤル着いても、まっ黄っ黄ぃのシビックでっせぇ。どのボーイが来まっかいな。
 と、わたいらのシビックの前にすっ!と外車が止まって、中から降りてきはったんが女優の八千草薫さんですわ。ボーイ、みんな八千草さんとこ行った。

 そしたら、ミネ先生、車の窓ガラス開けて、中から首出して、大声で「俺だ〜〜!!ディックだぁ〜〜!!!」
 ま、ボーイは「あっ!先生!これは失礼しました!」ゆうて寄ってきますわなぁ。そしたら、先生、「な?飛んで来ただろう」って・・・・・。あんた、呼びはったやんゆうて、ねえ・・・・。


 村田英雄さんにもね、新幹線の中で会
(お)うたこと、あります。ま、親しくしゃべるような仲ではないんでっけど。

 ま、私もグリーンに乗せてもろてまして、そこへ村田さんとマネージャーが乗ってきはったんです。村田さんが窓側。で、座るなり、懐から分厚い財布取り出して、マネージャーに「君ぃ、切符代立て替えててくれたよね。返しとくよ」ゆうて、その財布から一万円札、ぴらぴらぴらっと出して、「ツリはいらないから」・・・・・。
 中に、こんなんでっせぇ?
(と、右手の親指と人差し指の間で5cmくらいの隙間をつくり、財布の中の札束の分厚さを表現)
 で、財布、懐から出してんから、また、懐に戻したらよろしいやん?それを、何やちっちゃいセカンドバッグみたいなんに入れて、頭の上の網棚にひょい!っと乗せはったんです。札、こんなんなんでっせえ?
 そしたら、マネージャーが「先生、すんません。私、少し疲れておりますので、お先に休ませていただきます」ゆうて、寝てまいよった。
 で、村田さんもハンカチ出して、顔の上に掛けたか思たらグッスリ寝てしまいはった。
 わたい、カバン気になって寝れまへんがな。結局、新大阪まで、ずう〜っと見張って起きてた。
 後で考えたら、わたい、何で、あのオッサンの財布の番、せんならんねんって・・・・・。


 森進一には飛行機の中で会
(お)うたこと、あります。

 わたい、通路側の席が好きやから、端っこ座ってたんです。そしたら、わたいの横に森進一。その横にマネージャー。で、わたいの後ろに付き人が座ったんですね。
 森進一が、後ろ振り返って、付き人と話、してるさかい「あ、あんたら3人でっか?横に並んだ方がよろしいやろ?わたい、席替わったげまっさ」ゆうて席、立ったんですわ。
 そしたら、私の方を振り返って「ああ、ありがとうございます」って。
(手を振って)「いや。そんなん、どうでもよろしぃ」
 そしたら、また振り返って「いや、本当にありがとう」「ええ、よろし、よろし」・・・・・・。

 わたい、わかってまんねん。「あっ!森進一さん!」って驚いてほしいんです。俺、ゆわへん。何でて、俺も、その頃TV出てたもん。向こうが「あっ、朝丸さん。これはありがとうございます」ゆうたら、俺も「いや、森進一さん、何ゆうてはりますねん」てゆうけど、向こうも俺を無視してんねんから、俺かて無視するわ。

 ごっついショックやった思うよ。・・・・・・・・いやらしい人間やろ?

 不思議なこともしまんねん。TV観てたら、歌番組。ようけ歌手が出てて、そんで出たんが十朱幸代。「雪は降る」を歌
(うと)ぉて。それが女優さんやのに、歌手そこのけ、もぉ、その歌に入り込んでしもた。

 生放送でして。酔うてるもんやさかい、そこのTV局、電話番号調べて電話したんです。「私、朝丸ゆうもんです。ええ、嘘やないです。へえ、米朝の弟子の」、信用さすためには師匠の名前も使わんならん、「あの、今、十朱幸代さんの歌、聴いたんでっけど、素晴らしかったです。感動しました。十朱さんによろしゅう伝えてください」ってね。
 そしたら、後でマネージャーさんから電話があって「十朱に伝えましたら、たいそう喜んでおりました。ありがとうございました」ゆうてね。ああ、伝わったんやなって思て、それで忘れてたんです。嫁さんにも言いませんでした。
 そしたら次の日、十朱さん本人から電話かかってきて、嫁さん知らんもんやさかい、
「十朱でございます」
「は?どちらの十朱さん?」
「・・・・あの・・・・十朱幸代でございます」
「へ?どちらの十朱幸代さん?」
 ようやく気ぃ付いて、わたいに電話貸して、わい、直立不動や。
「あの、昨日はすんませんでした。酔うてまして。でも、ほんま感動しました。
 好きんなりました!あの・・・・今度、大阪公演来はる時、お花贈って、楽屋花、さしてもろてよろしいやろか」
「お待ちしております」

 わい、アホやがな。真ぁに受けるがな。3万円の蘭や。
 そしたら十朱さんから「きれいなお花、ありがとうございました」ゆうてお礼の電話かかってきて、わい、調子に乗って「あの・・・・厚かましいんでっけど、今度、お食事ご一緒させてもらえまへんやろか」ゆいました。
「ありがとうございます。あの、劇場の仲間も連れて行かせてもろてよろしいでしょうか」
「ええ、何ぼでも連れてきてください。ほんで、わいも、嫁さん一緒に連れて来させてもろてよろしいか?」

 たしか、あん時一緒に来はったんが淡島千景さんに・・・・・・篠田三郎?
 で、わい嫁さん連れて北新地の料亭、行きました。
 そしたら、十朱さんがお礼言わはって、そんで「私、どこへでもご一緒させていただきますから、こんな高級そうなとこでなくて、よろしいんですのよ」って言わはるから「そうでっか、ほな、今度は汚いとこ行きまひょか」ゆうて、わいもアホや。歌舞伎座の裏のおかまバーに連れて行った。
 十朱さん、「こうゆうとこって、楽しいんですねえ」って、えらい喜びはって、歌も歌ってくらはりました。「雪が降る」やなかったですけど。

 それから、十朱さんと年賀状のやり取りが始まりましてな。師匠に自慢して見せたんですわ。
 そしたら、師匠、お父さんの久雄さん
(学者みたいな風貌だった俳優で、十朱幸代の父)から、前からもろてるで、ゆうて。負けず嫌いですねん。

 そのうち、わいが「ざこば」襲名する時、ご襲名おめでとうございますゆうて帯、贈ってもらいました。そんで、また師匠に自慢したら「そんなん本人が選んでないで。マネージャーにゆうて、適当に選んどいてって頼んでんねん」って。
 夢を壊すでしょう?
 わいが、また、その師匠との話をTVかラジオでゆうてもたんです。そしたら、呉服屋さんから手紙が来て「この帯は間違いなく、十朱さんご本人がお選びになって誂えた帯でございます」ゆうて添え書き来て、帯、贈ってもらいました。
 え?今日は締めてまへんで。そんなん、家宝やから、大事に家になおして
(仕舞って)ある。

 いっぺんね、その帯、「鑑定団」に出しましてん。どのくらいの値打ちがあるもんやろか、思て。
 そしたら、こうゆうもんは誂えやし、値段の付けようがないって。ま、最低でも20万はするやろうし。


・・・・・・・・・もう、ええか?時間あんの?
(と、楽屋の方をのぞいて、スタッフに出演時間の残りを訊く)

もう、ええなぁ?・・・・・・・・・ほな、失礼します。

 本題に入る前にマクラの段階で終ってしまった。その方がおもしろいけど。

 いつも、そんな感じなんで、もひとつ違いがわからないが、今日は正月番組なんで酒が入ってるんじゃないだろうかって感じがした。

 

 


(3) 米朝一門 若手 放送権争奪 演芸大会

 
司会の雀々が「よその局(NHK)のOAバトルのパクリですわ」と言っていたように、若手が事前に余芸をやって会場の人に投票してもらい、結果を発表し、1位の者だけがオンエアされるというもの。

 出場は、(1) 雀喜(雀三郎の弟子)、(2) 都んぼ(都丸の弟子)、(3) ひろば(ざこばの弟子)、(4) ちょうば(同)の4人。

 1位は、ちょうばで、お客さんからお題をもらい、三題噺風に歌を即興でつくるというもの。ちょうばは、昔ストリートミュージシャンで、阿倍野の歩道橋の上で、あのコブクロの横で歌っていたそうだ。

 


(4) 桂米朝 「犬の目」

 
あらためて観返してみて、平成16年の正月には一応、米朝師匠もネタをやっていたのだな、と思った。

 私の記憶違いでなければ平成17年の正月には、この「米朝一座」は放映されなかったように思う。見逃しただけかな。
   えとにちなんだ噺ゆうのも、いくつかあるんですが、まずは干支がしらのねずみ。

 ねずみ取りにひっかかったねずみを見て、ある人が「大きい」、別の人は「いや、小さい」って言い争いをしてたら、中のねずみが「チュウ(中)」・・・・・・・・って、こんな噺しかおまへん。

 犬の噺・・・・・ゆうても、まあ名作はないんですが。


 ・・・・と、「犬の目」に入る。

 目を裏返して「裏目」やなぁとか、目をくり抜いた状態で、「賑やかなもんが見えんかぁ?目抜き(通り)ゆうて」といったギャグがちょっと珍しく思えたが、あとは、まあ普通の「犬の目」。


 


(5) 対談

 
舞台には、米朝師匠とざこば、南光。あと司会の雀々と堀ちえみ。対談と書いたが、実質は、手にしたフリップに「今年の抱負」を書いて、発表するだけ。

 南光は、「スキャンダル」と書いて「ほしのあきと怪しいと言われたい。師匠、ほしのあきって知ってまっか?」と訊く。首を横に振る米朝師匠。
 「今、旬の女優さんでんねん。胸が、こう・・ぼぉ〜んとなってて。今度紹介しまひょか?」と言った南光に「紹介してもうても、しゃあないしなぁ」との答えがおもしろかった。

 米朝師匠のフリップは「あと、1年・・・・・かな?」とあった。結果論だが、その抱負が外れてよかった。



 どうも、お退屈さまでした。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。

  
 



 

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