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(No41) 上方演芸ホール TV鑑賞記  

 平成19年7月31日(火)にNHKでの放映分。



(1) 桂こごろう 「阿弥陀池」

 桂こごろうといえば、「動物園」というイメージがあるが、本日は「阿弥陀池」。

 
 「まくら」もほとんどなかった。

 大胆な名前で、維新の英雄桂小五郎のいわば二代目やとか、めくりの寄席文字はつながって書かれてるので「てでろう」と読まないでください・・・・ぐらい。

 

 本編は、物知りのおやっさんが、若い者に、こないだ行った和光寺という尼寺(昔、寺の池から阿弥陀仏が出たので、通称「阿弥陀池」)に泥棒が入ったのを知ってるか?と訊く。
 「女の坊んさん、尼(あま)いいまんの?ほたら、男の坊んさんは西宮(にしのみや)?」というのは、兵庫県西宮市と同尼崎(あまがさき。通称「尼」)とのシャレ。

 強盗はピストルで脅かしたが、尼僧は胸をはだけて乳の下を指差し、「さあ、誤たず、ここを撃て。夫山本大尉は過ぎし日露の戦争で、心臓を撃ち抜かれ名誉の戦死を遂げた」と言ったところ、その強盗は、山本大尉にお世話になった者ですと平伏し、自らを恥じ自殺しようとした。

「そなたも根っからの悪人ではあるまい。さしずめ、誰ぞに唆されたのであろう。ゆうてみい。誰が行けというたんや」
「へえ、阿弥陀が行け(池)と言いました・・・・・・・って、これようできてるやろう?」とネタばらし。

 すっかりだまされましたがな、と怒る若いもんに「おまはんは新聞を読まんさかいにだまされるねんがな」と諭すおやっさん。「いや、新聞なんぞ読まんでも、わたい、この町内のことやったら何でも知ってまっせ」「ほんなら、夕べ、東の辻の米屋に盗人入ったん知ってるか?」とたたみかける。

 腕に覚えのあるおやっさんが盗人を取り押さえたが、下から刺された。
「盗人むごたらしいやっちゃ、おやっさんの首掻き落として、横の糠(ぬか)の桶にほり込みよった。こんな話聞いたか!」
「聞かん!」
「聞かん(効かん)筈や。糠に首(釘)や・・・・・・・・・ってこれもよお出来てるやろ?おいおい、まだあんねんで。馬の耳に餞別とか・・・」

 通常だと、俺も誰かをだましてやれと考えた若いもんが、別の者に話すが「こんな話聞いたか!」と言っても「ああ、お前に今聞いた」と返され、うまくいかないというギャグや、下から「心臓」を一突きというのが出てこず、「心猫・・・・・・ちゃう、ちゃう。鼻の長いやつ」「天狗か?」「心天狗・・・、ちゃうがな。ほか無いか?」「象か?」「ぞう?・・・そう、心臓、心臓。ふぅ〜。ああ、しんぞ(しんど)」というギャグなどを入れるのだが、その辺は省略されていた。

 次に入った家では東の辻に米屋はなく、近所の米屋ではおやっさんは寝たきり。子どもは幼少。それで、店の若い衆たっちゃんが賊に立ち向かったことにしたが、そのたっちゃんとは奥さんの弟だったので殺されたという話で大騒動に。

「お前の智恵やないなぁ?誰が行けとゆうたんや?」でオチとなるが、実にオーソドックスというか、えらいあっさりとした「阿弥陀池」だった。 
 

 

 



(2) 桂雀松 「餅屋問答」

 まくらは、落語は誰もいないのに「こんにちわ!」と言い、また、それに「おう!こっち入りいな」と答える。考えたら、おかしなもんです・・・・・・というまくら。

 私は小学校低学年の頃、既に「寿限無」と「こんにゃく問答」という落語は知っていた。

 今思えば、上方落語じゃなく江戸系だったんだな。NHKか何かで観たのだろうか。

 上方落語によく出てくる、「お前、またぶらぶらしてんねてな。どや、ちょっと小遣い稼ぎしてみいひんか」と若いフリーターに就職の世話をするおやっさん。

 荒れ寺の住職に世話してやったが、問答を挑む旅の僧がやって来た。この問答に負けたら唐傘一本で出て行かねばならないという。こんな道場破りみたいな制度があったのか。

 若い者に代わり、問答に挑むおやっさん。

 旅の僧が声を枯らし問いかけるが、答えぬおやっさん。

 と、相手の僧は勝手に無言の荒行と思い込み、「形」で問いかける。

 胸の前で小さな丸を。すると、おやっさんは頭上で大きな丸を描き、僧は恐れ入る。

 次に、両手を突き出し「十」を示すが、おやっさんは「五本指」を出して、僧は、またも平伏。

 狼狽しながら僧は、「さらば、もうひとたびだけ」と親指と人差し指を合わせ、残りの3本の指を立てて示す。
 すると、おやっさんは目の下を人指し指で押さえる。
 と、僧は「恐れ入りましたあ!」とほうほうのていで逃げ出す。

 やっとのことでつかまえた若いものが訳を聞くと
「拙僧が、師の心中は?と問うたところ、大海の如しというお答え。続いて、十方世界は?と問うたところ、五戒で保つとのお答え。今ひとつ、三尊の弥陀は?と問うたところ、目の下にありとのお答え。
 とても拙僧などが足元にも及ぶものではござらん。失礼いたす」と去ってしまった。

  
 
そこへやって来たおやっさん。あいつは永平寺の僧侶なんぞやない、にせ坊主やと息巻いている。

「あいつ、わいが餅屋やて知っとったんや。ほいで、お前とこの餅はどうせ、こんなもんやろう?て形しよったから、あほぬかせ、こんなに大きいわいてゆうたった。
 そしたら、十個でなんぼじゃて、値ぇ聞きよるさかい、五百じゃと答えたった。
 で、三百にまけえ、ゆうからあっかんべえしてやったんじゃ」

・・・・・・・・・これまた、あっさりした噺だった。
 
肝心の問答は、僧の問いかけが何か金切り声で、何を言っているのかほとんど聞き取れない。

 で、おやっさんの方も貫禄がないというか、「へえ?」と顔をしかめ気味に耳を傾けるとこにおやっさんの頼もしさは感じられない。

 


  


 
 どうも、お退屈さまでした。いつものことですが、録画はしてるんですが、きっちりメモはしてませんので、聞き違い、記憶違いはご容赦ください。

  
 



 

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