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(No184) 第75回 平成紅梅亭 TV鑑賞記           


 平成21年3月17日くらいの放映かな。ずいぶん前。

 



林家 彦いち 「反対車」


 上方落語では、「いらち俥」という。最初は年寄りでやたらのんびり屋の俥屋。まあ、のんびり屋というか、病み上がりで歩いてるお婆さんよりも遅い。
 次は若手で、やたらせっかち(=いらち)の俥屋という対照の妙を楽しむ噺。客も乗せないうちに走り出し、特急電車と勝負する。

 上方落語では、サゲのところの「いらち」俥で、江戸落語では、そのまんま「反対」車というのも何かそれっぽい。 

 

 こないだ、〜に似ている芸能人という特集がございまして、私も出てると聞きまして、その雑誌を開けてみました。

 さあ、芸能人か、スポーツ選手か、歴史上の人物か・・・・なんて思ってると、驚きましたね。・・・・・・さるかに合戦の臼


 先日、どこかの女子高の文化鑑賞会だとかいう行事に呼ばれました。両者に隔たりのある場で、お互いに歩み寄り一体化した空間を作り上げようとする・・・・・・そんな動きはない。

 落語会では、お客さんが拍手をする。演じ手が礼をする。・・・・・そうゆう雰囲気もない。
 何百人もの女子高校生が私のことじ〜っと見てるんですね。
 これは、別に私という落語家に興味があるわけじゃない。ただ、着物を着た生き物に「何だろう?」と思ってるだけでして。

 落語で、高座出てきたとたん「待ってました!」とか「たっぷり!」とか声がかかることがございまして。これは、実に形のいいものでございます。

 しかし、あんな声は初めてでした。「怖いぃ〜」

 仕方ないから、私も、少し笑ってみました。
 すると「もっと、怖いぃ〜」 

 後ろの女子高校生が3人、大きな声で「あり得ない〜」。・・・・・・・私は、あり得てるのに

 今日は乗り物の噺でして。

 先日、飛行機に乗ったんです。8時5分発で、昼頃に現地に着く。
 まあ、ああゆうのは15分か20分くらい前に搭乗のアナウンスありますよね。それがないんです。8時5分前になっても、8時になってもない。客の方も集団心理というか、みんなソワソワ、ソワソワしてる。
 で、出発時間。女性の係員がマイクを手にした。何だろう。みんな一斉に聞き耳を立てる。彼女の言ったことは予想を超えましたね。

「お客様にご案内申し上げます。・・・・・機長が来てません

 みんな一瞬、緊張がほどけてどっと大笑いになったけど、事故ですからね。段々イライラしてくる。

 で、どこでもキレるおじさんてのがいるんですね。ところが、こうゆうおじさんは、たいてい止める人とペアで登場する。「いいかげんにしなよ」とかね。

 でも、その時は止める人がいなかったんです。で、いきなり大きな声で言っちゃった。

「ふざけんじゃないよ!」 ところが、みんなの気持ちと合ってたのか、そうだ!そうだ!って雰囲気になった。

 この周囲の支持者が思いがけず多いことに一番驚いたのは誰あろう当のおじさんでして。続けて言ったんです。

「冗談じゃないよ!」 やはり、そうだ!そうだ!となった。このおじさんは、これほど支持されたことは、おそらく今までの人生にはなかったんでしょう。で、何か言わなくちゃいけないという気持ちになったんですね。

 でも、こうゆうキレるおじさんの特徴は・・・・・具体性がない。ふざけんじゃない、冗談じゃない。ね?
 こうゆうおじさんは矢面に立てちゃいけないんです。三言目はないんだから。で、つい、気持ちを言語化しちゃった。

「機長、要らねぇから飛んじゃえよ!」

 

 そして、ジャージみたいなラインの入った羽織を脱いで、本編へ。

 元気な方の車屋の特徴としては、ドラム缶を飛び越えるというとこで両膝広げて高々と飛び上がってみせる。
 オー○の麻○の空中浮揚みたいだ。

 空飛ぶだけじゃなく、大きな川の前で手にツバして闘志を燃やす車屋。
「下がるんじゃない!」と怖がる客。助走してジャンプする車屋。

 水中を泳ぐ客。扇子を目の前でヒラヒラさせ「お魚」。次に、もう少し扇子を広げ「ちょっと大きなお魚」

 サゲは、「池に芸者が落ちた。揚げてやれよ」
「冗談ゆうねぇ。芸者揚げるくらいなら、車屋なんかやってるかい」

 元気だけど、ちょい雑か。でも、マクラなどのセンスはいいと思う。

 


桂 雀々 「上燗屋」


 マクラは米朝一門の打ち揚げの話。

 米朝は人間国宝、重要無形文化財。「同じ私らも、無形の、形のない文化やってるんですけど、あちらは重要で・・・・・私らは重要やない・・・・」。というボケ。

 83やのに、一番酒が強い。6時半頃から呑み出して、夜の12時半なっても、まだ呑んでる。ほんで、翌朝の6時半になったら、洗面所でゴボォ〜。・・・・・・大学生やないっちゅうねん。


 次にざこば師匠の話。ずっとイラついてる。新地の店に連れていってもらいますねんけど、

 しゃれならんくらい汚い店なんです。
 グラス出されるんですけど、向こうが見えんくらい曇ってます。

 こんな店で、なまもん食べたらえらいことになる。

 ほんでね、床をね、猫が走り回ってるんです。
 あかんでしょ?食べもん屋に猫が走り回ってるて。

 ほんで、何で猫が、床を走り回ってるかゆうと・・・・・・・・何かを追っかけてるんですよ。わかるでしょ?

「お、おやっさん!あかんがな!あの猫と・・・」
「ええねん。あら、うちの店のトムとジェリーや」

  

 最後は師匠の枝雀の呑み方。

 池田の地酒「呉春」が好きで、毎日5時になったら店のカウンターの決まった店に座る。
(今は、もうつぶれたと思うが、梅田の、その「呉春」という店は私も一度行ったことがある。狭い店だった)

 店のおやっさんと話をするんですが、うちの師匠もおやっさんもB型やから、お互い、人の話を聞かんのです。クロストークが成り立たんのです・・・というような話から、枝雀師匠の「鶴呑み」の話へ。

 

 師匠はね、お酒をね、全身、五臓六腑にまんべんのぉ沁みわたらせたいんです。

 普通、お酒てなもん、こんな呑み方するでしょ?(と、普通の呑み方をしてみせる)
 師匠は、いったんここでためて・・・・・(と、突然直立不動の体勢を取り、顔を真上に向ける。そして、しばらくしてから身体をくねくねとよじらせてみせる)

 一人やったらええんですけど、ほかのお客さんがびっくりするんです・・・・・・というとこから、「上燗屋」へ。

 
 雀々演ずる酔っ払いは、「嬉しいなぁ」を連発。

 最初は、く〜っと飲み干してから、ふっと我に返り「どこが上燗やねん!」。熱(あつ)なし、温(ぬる)なし・・・やなし、あつない、あつないやないか。

 次は、持ったとたん、熱くて手を引っ込める。「あんたも熱ない?」。素手で持てず、手拭いを添えて持つ。ふ〜ふ〜吹いて「甘酒、呑んでんやないで」は伝統的ギャグ。

 冷酒(ひや)で埋めて、埋めてと言い、「勘定がややこしなる」と心配する上燗屋に

「ややこしならへん。何ぼ呑んでも十銭しか払わへん。

・・・・・・冗談や!笑い〜な。マジになりなや。怖いがな。

 ここで笑わな、笑うとこないよぉ。・・・・・・何かぱくってるみたいやけど」

 

 あとは、こぼれた豆、いわしのからまむしの「おから」、紅しょうがを「無料(ただ)なら食うてみたろ」

 

 25銭の細かい金がない酔っ払いが道具屋に金を崩しに。
 本家産毛屋の毛抜きでヒゲを抜きながら、道具屋が親子川の字で寝ていることを聞き出す。

吟じます!

 鞭声 粛々〜夜、河を〜渡る〜〜

 やっぱ、河、渡る時パッチ脱ぐん?・・・・・あると思います

・・・・・・・・・・何でもパクリや


 仕込杖を買った酔っ払い。上燗屋に帰り、よぉも食い逃げを疑ったな。成敗してくれる!と刀を抜く。

 怯える上燗屋に、またまた「冗談や」

 

 最後はええ加減に頭を下げて「ほな、サイナラ」。

 酔っ払いの台詞なんだか、サゲのつもりなんだか、ただ、お客さんにあいさつしたんだか訳の分からない終り方。
 ほんま、こんな終り方がいいと思っているのだろうか。ええ加減にしてほしいなぁ。

 


林家 木久扇 「昭和芸能史」


 息子に「木久蔵」の名を譲り、新しい名を募集したらインターネット等で30337通の応募があった。しかし、「いい名前がないのね」と応募の名前を紹介。

 
 「もと木久蔵」、「木久蔵B面」、「林家チャーシューワンタンメン」、「林家加山雄三」(同い年らしい)、「林家テポドン」、「林家将軍様」、「林家木造2階建て」。

 木久扇という名は2通あったらしい。

 今年は大きな夢があって。「笑点」の司会者を。ある程度の裏づけがありまして。歌丸さんが相当弱ってましてね。

 11時と2時半の2本録りで。間に長い休憩があって、私や楽太郎は元気で、弁当いただいたり、冗談言ったりするんですが、歌丸さんは家から持ってきた毛布にくるまって休憩されるんです。
 歌丸さんは、深い眠りにつかれるんですが、そのまま寝続けてられても大変なんで時々私らも毛布に触ったりするんですが・・・・・・・・冷たいんです。

 私も落語始めて47年目、あと3年で半世紀になります。
 入門したのが昭和36年3月。師匠が8代目正蔵。後の彦六。

 私は22歳で、師匠は63歳くらいでした。浅草の長屋、狭い長屋でね。3畳と6畳で。
 稽古に行ったら、揺れてるんです。血圧が高くて。最初、見た時、カゲロウが座ってるんかと。

 落語の稽古ゆうたら、「寿限無」と思ってる方がいますが、小噺なんです。前座時代に作って、師匠に誉められた小噺があるので、大阪初公開を。

「これは絵ですか?」「え〜」
「いい絵ですか?」「いいえ」

「雨が漏りますねぇ〜」「や〜ねぇ〜」

「うまいねぇ〜」なんて。

 
 師匠の小噺を「同じようにやるんですか?」「そっくりにやれ」。

 そして「誰が山羊をやれって言った?破門だぁ〜」

 で、昔の映画の話に。

 大河内伝次郎は頭が大きくて3頭身新しい貯金箱かと思った。

 鞍馬天狗の嵐寛寿郎は、顔が長く、馬がトロロ汁食べてるみたい。

 鞍馬天狗の格好をしたら、小学生が「おじさんはイカですか?」。

 「廊下」の話で、老化現象、ろうか(どうか)と思う。廊下(ローマ)の休日。

 市川右太衛門演ずる「旗本退屈男」の名前は早乙女主水之介。
 早乙女は田植えの苗を運ぶ女性。主水というのは、水道局の水質検査官、「すけ」というのは次官。
 つまり、上は田植えの女性で、下は水道局の次官。額にナイキのマーク付けて、夜中に人の家に忍び込んで笑ってる。とても正気の沙汰とは思えない

 

 この辺の昔の俳優シリーズはそれなりだったが、最後のサゲは「港の見える丘」の前奏を口ずさんでたら「バカバカババアァ バカババァ」に聞こえて、前列の女性が帰っちゃったというつまらないもの。

 

 


 

 

 どうも、お退屈さまでした。録画はしてますが見直してません。殴り書きメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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