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(No7) さらば!憂鬱 〜認知療法入門〜(7) 第一部 理論と研究 第三章 自分の感情を理解する:考え方で気分は変わる その4 『いやな気分よ さようなら』(著:デビッド・D・バーンズ。星和書店)の紹介。
第一部の第三章から。なお、小見出しは、本書にはなく理解を助けるため石野がつけたもの。
★ 「認知の歪み」判別演習 第3部=第3問〜第10問 設例 + 石野解答例 + 本書掲載の「正解」 + 反省(解説) ★
1 「認知の歪み」判別演習 その3
(設例) 大学病院の精神科医。うつ病に関する本の改訂で編集者と会った。編集者は乗り気だったが、なぜか気分がすぐれない。
「そもそも編集部で、私を選んだのは間違いだったのでは?とてもうまくできそうにない。生き生きした文章なんて書けない。自分の文章は単調すぎるし、アイデアも良くない」と感じた。
(含まれる認知の歪みの候補)
a 全か無か思考
b 結論の飛躍(悲観的な予測)
c 心のフィルター
d マイナス化思考
e 拡大解釈
(私の解答)
気分がすぐれないため、すべて悪い方向に考える。→「心のフィルター」。
編集者は乗り気なのに、自分の文章に悲観的。→「マイナス化思考」。
「とてもうまく書けそうにない」というのは、「結論の飛躍(悲観的な予測)」。しかし、そもそも本文では「結論の飛躍」には「心の読みすぎ」と「先読みの誤り」の二つしか書いていないのだが。
自分の文章をいろいろけなしているのは、短所の「拡大解釈」。そこまで悪くはないだろう。
「そもそも私を選んだこと自体が大きな誤り」とことを大きくしているのは「拡大解釈」だと思うが、選択肢にある「全か無か思考」に含まれるのかもしれない。ここはちょっと自信なし。
で、解答はa 〜e のすべて。
(本書掲載の解答)
a b d e
(反省)
「解答」からすると「心のフィルター」が誤答のようなんだが、どうも納得できない。
2 「認知の歪み」判別演習 その4
(設例) 孤独な独身者。独身者のためのパーティに出たが、不安で自己防衛的になって、すぐに退席してしまった。
「いい人がここにいるわけがない。なぜ自分を苦しめなきゃいけないんだ。要するにこれは敗北者の集まりじゃないか。
こんなに退屈なのが何よりの証拠だ。このパーティはかえって重荷だ」と感じた。
(含まれる認知の歪みの候補)
a レッテル貼り
b 拡大解釈
c 結論の飛躍(先読みの誤り)
d 感情的決め付け
e 個人化
(私の解答)
「いい人がここにいるわけがない」は「レッテル貼り」か、悲観的な結論を決め付けてしまう「結論の飛躍」か悩んでしまう。それと、「結論の飛躍」にしても、それが「先読みの誤り」なのか、どうか?
「敗北者の集まり」は、まあ「レッテル貼り」だろうなあ。とすると、上記はレッテルじゃなくて、「結論の飛躍」かな。
退屈に感じるからダメと結論付けているのは「感情的決め付け」だろう。
「このパーティはかえって重荷だ」というのは、パーティがつまらなければそれは単に主催者側の不手際だろう(もっとも全員がつまらないと感じるわけではないから、非難することもないかもしれないが)、それを「重荷」と感じるのは「個人化」と解釈するべきなんだろうか?
で、「なぜ自分をくるしめなきゃいけないんだ」ってのは、なぜ、そこまで大げさにとらえなきゃいけないんだ、ということで「拡大解釈」になるのかな。
これもとりあえずa 〜e
のすべてとしておくが自信なし。
(本書掲載の解答)
a b c d
(反省)
解答からすると、「個人化」が誤答ということになるのだが、これもやや承服し難し。
3 「認知の歪み」判別演習 その5
(設例) 会社から解雇通知を受け失職したサラリーマン。怒りとフラストレーションを感じている。
「世の中にいいことなんて何もない。心が安らぐなんてことはありっこない」と感じた。
(含まれる認知の歪みの候補)
a 全か無か思考
b マイナス化思考
c 心のフィルター
d 個人化
e すべき思考
(私の解答)
「いいことなんか何もない」は「全か無か」思考。
「心が安らぐなんてありっこない」は、「一般化のしすぎ」か、「結論の飛躍(先読みの誤り)」か、「拡大解釈」か・・・と思うのだが、いずれも選択肢にないので困ってしまう。また、怒りやフラストレーションを感じるから悪い判断を下しているのだから、感情的決め付けでもあると思うのだが、これまた選択肢にない。
こんな方法は望ましくないのかもしれないが、選択肢から逆読みする。
「マイナス化思考」は「良いことを無視」だから、さすがに違うだろう。
「失職」の一事ですべてを悲観化してるから「心のフィルター」と言えるのだろうか?ちょっと納得しにくい。
解雇されたのは会社側の事情なのに自分の感情に影響が及んでいるから、これは「個人化」なのだろうか?これもちょっと疑問だ。
普通の人間なら仕事を続けられるべきなのに、失職したから感情にダメージを受けている。これは「すべき」思考なのか?これも承服しにくい。
じゃあ、結局はa
だけだが、これはきっと違うだろうなあ。
(本書掲載の解答)
a c
(反省)
c
の「心のフィルター」を加えるべきだったようなのだが・・・・。
4 「認知の歪み」判別演習 その6
(設例) 講演を頼まれた人。時間が近付くにつれ心臓がどきどきしてきた。
「言うことを忘れそうだ。うまく話せないに違いない。われを失ってしまうかもしれない。バカなことをやってしまうかもしれない」と感じた。
(含まれる認知の歪みの候補)
a 全か無か思考
b マイナス化思考
c 結論の飛躍(先読みの誤り)
d 過小評価
e レッテル貼り
(私の解答)
根拠もなく未来を悲観しているから、とりあえず「結論の飛躍(先読みの誤り)」。
自分の能力を卑下しているから「過小評価」。
自分をダメ人間のように決め付けているから、「レッテル貼り」。
あと、こじつけ気味だが、評価されているから講演を頼まれたのだろう。それを忘れているから「マイナス化思考」と言えるかもしれない。これは、自信なし。
で、とりあえずc 、d 、e 。
(本書掲載の解答)
a c d e
(反省)
「解答」から比較すると、a
の「全か無か思考」を入れなければならないようだが、承服し難い。「われを失う」というのが全否定なのか?それなら、私が悩んだ「講演の依頼を受けた」というプラス面を過小評価とかマイナス化思考ととらえる方が正解に近いと思うのだが。
5 「認知の歪み」判別演習 その7
(設例) 直前になって、急病ということでデートの約束をキャンセルされた。
「ふられてしまった。いったい何がいけなかったんだろう」と失望と怒りを感じた。
(含まれる認知の歪みの候補)
a 全か無か思考
b すべき思考
c 結論の飛躍(心の読みすぎ)
d 個人化
e 一般化のしすぎ
(私の解答)
「ふられてしまった」というのは、相手が病気だと言って断っているのに、それを勝手に解釈している。よって「結論の飛躍(心の読みすぎ)」。
「いったい何がいけなかったんだろう」というのは、相手が断ってきたことを自分に原因があるように考えている。よって、「個人化」。
以下はややこじつけ。
失望や怒りを感じたのは、デートの約束をキャンセルされただけで自分の存在意義そのものを全否定されたように感じたから?「全か無か思考」?これは自信ないな。
まともな男なら、デートの約束を取り付けたら、ちゃんとデートできて当たり前?相手の女の子は、おれのデートの誘いにちゃんと応えるべき?つまり「すべき思考」?これも自信なし。
今回断られただけだけど、それで失望や怒りまで感じるのは、これで今後もずっとダメなんだと感じてる「一般化のしすぎ」?
よって解答は、c 、d 。自信ないのも含めるとa 〜 e
のすべて。
(本書掲載の解答)
c d
(反省)
直観が正しかったようだ。でも実際の答えとしては全部を挙げただろうな。
6 「認知の歪み」判別演習 その8
(設例) レポートを先送りしている学生。毎晩とりかかろうとするが、難しく思えて、ついTVを観てしまう。だんだん押し潰されそうな気がしてきて、罪の意識を感じ始めてきた。
「自分は怠け者だから、もう書けないんじゃないか。こんな難しいことは自分には無理なんだ。永遠にできっこない。ずっとこのままにしておくしかないんだ」と感じた。
(含まれる認知の歪みの候補)
a 結論の飛躍(先読みの誤り)
b 一般化のしすぎ
c レッテル貼り
d 拡大解釈
e 感情的決め付け
(私の解答)
難しく思えて先延ばしするのは、「感情的決め付け」の副産物。
罪の意識を感じるのは「すべき」思考の副産物と思ったが、選択肢にない。
「自分は怠け者」というのは「レッテル貼り」。
もう書けないんじゃないか、とか、こんな難しいことは自分には無理、とか永遠にできない、というのは「結論の飛躍(先読みの誤り)」であるし、「一般化のしすぎ」。
「押し潰されそうな気持ち」というのは「拡大解釈」。レポートの遅延をそこまで重大視することもないのでは?
ということで、とりあえずa 〜 e
のすべてとしておく。
(本書掲載の解答)
a b c d e
(反省)
とりあえずは正解。あくまで「とりあえず」。
7 「認知の歪み」判別演習 その9
(設例) この本を全部読み、何週間も認知療法を試み、気分はかなり改善した。BDI
も26点から11点に減った。
しかし、突然また気分が悪くなり、点数も3日間で28点に戻ってしまった。あなたはがっかりし、希望をなくし、追いつめられた気持ちになった
「どうやってもだめだ。結局、この方法も私には役立たないんだ。
まさにこの瞬間の気分が良くないといけない。2〜3日前まで良かったのは本物ではなかったんだ。自分をごまかしていただけだ。もう良くはならないんだ」と感じた。
(含まれる認知の歪みの候補)
a マイナス化思考
b すべき思考
c 感情的決め付け
d 全か無か思考
e 結論の飛躍(悲観的な予測)
(私の解答)
「どうやってもだめだ」などは「全か無か思考」。
「この瞬間の気分が良くないといけない」というのは気分の良し悪しを価値判断にからめているから、「感情的決め付け」。良くあるべき・・・とまで解釈するなら「すべき思考」ともいえるのかも知れないが、これは自信なし。
一度好転したことを無視(軽視)しているのは、「マイナス化思考」。
この方法も役立たない、もう良くならないというのは「結論の飛躍(悲観的な予測)」。
よって、解答はa 、c 、d 、e 。
(本書掲載の解答)
a b c d e
(反省)
じゃあ、やっぱ「すべき思考」まで含めるべきだったのか?どうも納得し難いなあ。
8 「認知の歪み」判別演習 その10
(設例) ダイエットをしている人。今週末は特に気分が悪かった。何もすることがなかったので、特にたくさん食べてしまった。
キャンディ4個食べた後で、
「自分をコントロールすることができない。今週のダイエットとジョギングが無駄になった。これではまるで風船だ。
こんなに食べるべきではなかったけど、我慢できない。週末ごとに豚のようになってしまう」と感じた。
そして、罪の意識を紛らわせるため、またキャンディを食べてしまった。
(含まれる認知の歪みの候補)
a 全か無か思考
b レッテル貼り
c 結論の飛躍(悲観的な予測)←(石野注) 原文では単に「悲観的な予測」としか書かれていない。
d すべき思考
e マイナス化思考
(私の解答)
自分をコントロールできないというのは「レッテル貼り」でもあるし、「拡大解釈」でもあるし、一時的な過食で自分を全否定する「全か無か思考」でもある。
「風船」、「豚」は「レッテル貼り」だろう。
「こんなに食べるべきでなかった」、「罪の意識」は「すべき思考」。
「週末ごとに豚のようになってしまう」は「結論の飛躍(悲観的な予測)」。
残りは「マイナス化思考」だが、週末の過食で平日の「ダイエットとジョギング」を無駄と感じているからこれは「マイナス化思考」と考えてもいいのではないか?
よって、少し思考経路は邪道だったかもしれないが、解答はまたもa
〜 e のすべてとしておく。
(本書掲載の解答)
a b c d e
(反省)
とりあえず、これも正解か?
さて、次からは第二部。
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