摘要 |
『警世通言』白夫人がとこしえに雷峰塔に鎮められたこと |
方成培「雷峰塔伝奇」 |
2002年上海京劇院公演 |
主人公の名 |
白夫人 |
白雲仙姑 |
白素貞 |
主人公の前身 |
大うわばみ |
西王母の蟠桃園に棲む白蛇が、仙桃を盗み食いして神通力を得、峨嵋山連環洞で更に修行を積んだ |
峨嵋山で千年の修行を経た白蛇 |
俗世にくだるきっかけ |
たまたま |
有縁の士を済度するため(結婚) |
観光 |
兄弟子 |
なし |
黒風仙。俗世にくだるのを止めるが、彼女はきかない。 |
なし |
最初の住み家 |
臨安の双茶坊巷 |
臨安の双茶坊巷の空家裘王府 |
銭塘門外の紅楼 |
小青(青青)の前身 |
西湖に住む千年を経た青魚の精 |
千年修行した青蛇の精。西湖の水族の長 |
峨嵋山で千年の修行を経た青蛇 |
小青との出会い |
ふとした廻り合わせで女中にした |
裘王府で出会い、一戦交え、敗れた青青は侍女になる |
特に紹介なし |
許宣の身の上 |
両親とは死別。姉の夫で役人の李仁の家に同居。母方の李叔父の生薬店の番頭をつとめる |
両親とは死別。姉の夫李君甫(字は李仁)は捕り方。李仁の紹介で王員外の生薬屋で働く |
両親とは死別。姉夫婦と同居 |
なぜ白・青主従は西湖にいたか |
たまたま |
青が「人手の多いのは西湖」と言ったので(=ナンパするのに盛り場に行った) |
観光 |
白・青と許宣の出会い
「遊湖」 |
夕立に会い、知り合いの張じいさんの船に乗っていると、白・青主従が岸から乗せてくれと頼んだ(許宣に一目惚れ) |
湖で舟に乗っていると夕立にあい、舟を岸辺につける。その舟に白氏主従が乗せてくれと頼んだ(雨は白氏が起こした) |
折からの夕立で白・青が雨宿りしているところに通りかかった許仙が傘を貸し、船で送る |
白の身分(自称) |
白侍従の妹。張氏に嫁いだが、死別 |
杭州の白太守の娘 |
特になし |
許宣の訪問 |
許宣から、傘を取りに行こうと考え、主人に嘘をついて出かける。 |
貸した傘を取りに翌日、訪問 |
貸した傘を取りに翌日、訪問 |
結婚の申込 |
白夫人が直接申し込む。
五十両の銀子を支度金として渡す |
青児がずばり結婚を申し込む。貧しいと断るが、白氏が支度金を渡す |
青児がずばり結婚を申し込む |
第一の災難 |
許宣は銀子を結婚資金に姉に渡す。姉の夫李仁はこれが盗品と知り、訴え出る。許宣は逮捕され取調べを受ける。笞打ちを受け、蘇州に流される |
渡された白銀ニ錠は、番号から盗品と判明。 |
なし |
第一の失踪 |
捕り方は双茶坊巷の屋敷を捜索。白夫人は捕り方の目前で失踪。盗まれた銀は押収される |
李仁は、双茶坊巷の屋敷を捜索。白・青は捕り方の目前で失踪。盗まれた銀は押収される |
なし |
第一の離別 |
蘇州の牢城営に送られる。入牢は免除され、王氏の経営する宿屋に寝泊りする |
李仁は、許宣を蘇州の友人で飯店(宿屋)を営む王敬渓のもとに行かせる |
なし |
第一の復縁 |
白・青が訪ねてくる。白夫人は、銀は亡夫の残したものと弁解し、二人は結婚する |
李仁は、許宣に白・青が妖怪であると手紙を出す。その後、白・青が訪ねてくる。
白氏は、銀は亡夫の仕業と弁解し、二人は結婚する |
なし |
開業 |
第二の復縁の後に開業 |
生薬屋を開業し、繁盛する |
生薬屋を開業し、繁盛する |
道士とのやり取り |
道士が許宣の顔を見て妖怪払いの霊符を与える。白夫人は霊符を火にくべ、飲み下してみせる。白夫人は術で道士を空中に吊るす |
道士魏飛霞は許宣の顔を見て、妖怪払いの霊符を与える。白氏はおふだを飲んでみせて疑いをはらす。その後、白・青は道士を打ち据える |
なし |
第一の正体露呈
「端陽驚変」 |
なし |
端午の節句に、許宣から雄黄酒を無理強いされ、正体を現す。許宣は失神 |
端午の節句に、許宣から雄黄酒を無理強いされ、正体を現す。許仙は失神 |
「盗仙草」 |
なし |
嵩山の南極仙翁のもとに”九死還魂仙草”を取りに行く。白鶴童子、鹿仙、東方朔に勝つが、葉仙が雄黄山の下敷きにして捕える。
仙翁の情で仙草をもらい、許宣は蘇生 |
崑崙山の霊芝仙草を鶴童、鹿童と戦って奪い取る。(仙翁の情で分けてもらう場合も多い)
許仙は仙草により蘇生 |
第二の災難 |
寺参りに出かける許宣に立派な身なりをさせるが、周質店からの盗品と判明し、捕えられる |
先祖の形見として八宝明珠巾という頭巾を許宣にかぶせる。
花見の席で、これが盗品と判明し、許宣は捕えられる |
なし |
第二の失踪 |
捕り方が宿を捜索した時には既に失踪 |
捕り方が許宣の家を捜索するが、既に白・青は失踪 |
なし |
第二の離別 |
笞打ちを受け、鎮江に流される。
李仁は、生薬店を営む叔父李克用への紹介状を持たせる |
李本誠(李仁の上司)は、許宣を鎮江に流す。王敬渓は親戚何員外への紹介状を持たせる |
なし |
第二の復縁 |
許宣が酔って歩いていると、ある家の二階から捨てられた灰を被る。謝りに来た女性が白夫人。あの服は亡夫の着物と弁解し、復縁する |
白・青が何員外の家を訪ね、言葉巧みに弁解し、復縁して何員外の屋敷に入り込む |
なし |
第二の正体露呈 |
李克用は、淫らな意図で女中に言いつけ白夫人を離れの便所に案内させる。中をのぞき、白蛇の正体を見て失神する。(第一の正体露呈)
白は、李員外と許宣を引き離すため、生薬店を開業させる |
何員外は白氏の美貌に惑い、誘惑する。白氏は正体を現し、何員外を失神させる |
なし |
法海との出会い |
金山寺に出かけた許宣を風雨激しい中、白・青が船で迎えに来る。法海禅師が一喝し、白・青は姿を消す。 |
許宣を救うよう仏の命をうけた法海は下界に降りて、許宣に金山寺に来るよう約束させる。 |
法海が雄黄酒を飲ませるよう勧める。蘇生後、金山寺に連れて行く |
金山寺での戦闘
「水漫金山寺」 |
なし |
法海の護法神将と白・青の水族の戦い。法海優勢だが、白氏が妊娠中のため捕えることができない |
法海の護法神将と白・青の水族の戦い。産気づいた白は敗走 |
金山寺その後 |
家に帰ったが白・青はいない。李員外の家に泊めてもらい恩赦を受け、杭州に帰る。
姉の家には白・青が先回りしており、別れる気ならこの町を血の海にすると脅す。李仁は、夜中に正体を見る |
なし |
なし |
蛇取り名人 |
蛇取りの載先生に依頼するが失敗。許宣は白夫人から、町の人を皆殺しにするぞと脅される |
なし |
なし |
第三の復縁
「断橋」 |
なし |
断橋で休んでいる白・青のもとに、法海が許宣を連れて行く。白・青は許宣の薄情をなじるが、罪を法海にかぶせて弁解し復縁。姉夫婦の家に身を寄せる |
(第一の復縁)
白・青は断橋まで敗走。許仙は、寺を出て、二人と会う。白・青は許宣の薄情をなじるが、罪を法海にかぶせて弁解し復縁。(通常は、いったん姉夫婦の家に身を寄せる) |
白氏の出産「合鉢」 |
なし |
李仁夫婦に娘玉梅が生まれる。その後、白氏は男子を出産 |
なし(通常は、身を寄せた姉夫婦の家で出産) |
白氏の封印「合鉢」 |
西湖に入水自殺しようとしたところを法海に呼び止められる。鉢を授けられ、許宣が後方から鉢を白夫人にかぶせる。 |
法海が鉢を白氏にかぶせて封じる。雷峰塔倒れ、西湖が干上がり、銭塘江の潮がおこらなくなるまで塔に閉じ込める |
断橋の場に法海が現れ、その場で鉢に封じる。(通常は、出産後に封じる) |
小青の封印「合鉢」 |
法海禅師が呪文で青魚の正体を現せる。
白・青ともに雷峰寺の塔に封じる。 |
取り押さえられ、七宝池のほとりにつながれる |
小青は逃れる |
許宣のその後 |
法海に弟子入りし、出家。数年後に座禅したまま大往生 |
法海に弟子入りし、出家 |
不明 |
兄弟子の面会 |
なし |
黒風仙が白氏に面会し、辛抱せよと言い残す |
不明 |
息子の出世 |
なし |
許士麟は、科挙を状元で合格 |
なし |
息子の結婚 |
なし |
玉梅と結婚 |
なし |
白氏と許宣の再会
「倒塔」 |
なし |
仏は士麟の母を思う孝心に免じ、白・青を放免し、許宣と再会 |
再び峨嵋山で修行を積んだ小青が、黒風仙とともに塔を倒し、白を救い出す。白と許仙は再会 |
ラスト |
なし |
白・青は息子夫婦と清明節に会うことを楽しみに天界にのぼる。法海と許宣は仏の世界に戻る |
なし |
さて、この白蛇伝は、崑曲からはじまって、京劇はもちろん川劇、越劇等々あらゆる地方劇の演目となり、それぞれによってストーリーも微妙に異なっていたりするようである。
そうしたバリエーションも知る機会があれば、またご紹介したい。