移動メニューにジャンプ

アジア映画れびゅう(38)「スウォーズマン 女神伝説の章」  

(ご注意)思い切りネタばれです。まだ観てなくてストーリーを知りたくない人は、お気をつけください。
 
また、記憶違いなども多いでしょうが、ご容赦ください。


「スウォーズマン 女神伝説の章」

(ストーリー)
 明代の万暦22年、豊臣秀吉の支配に反発した日本の一部の武士たちは日本を脱出して、中国福州の沿海に流れ着き、漢族王朝から迫害され続けてきた苗族と結託してオランダ船から武器を奪った。
 その頃、リンは隠遁先を見つけるため、弟弟子のツァイツァイとともに旅を続けていた。

 一方、日月教壇主のヤン・インインは毎夜「笑傲江湖」を演奏し、一別以来1年余りも音沙汰のないリンを密かに待ちわびている。
 日月教内部では父ヤン・ゴーハンが謎の失踪をとげ、叔父東方不敗が実権を握ろうとしていた。

 ある夜、ヤン・インインの屋敷が謎の忍者軍団に襲われた・・・・・
東方不敗



(あれこれ)
 本作はよく、「めまぐるしくアクションをてんこ盛りした快作」、「ストーリーなんかは気にせずに、ともかく理屈ぬきに楽しみましょう」、「忍者軍団があやつる怪しげな日本語には爆笑」なんて紹介のされ方が多い。

 そうした意見に別に反対するつもりはないし、だいぶ前に本作を観た時は私自身そのように感じていたのだが、前作(前回紹介した「剣士烈伝」)を観た後で改めて観直してみると、けっこうそれなりに前作と辻褄合わせもされてるなあ、日本語のセリフも、ちゃんと意味が通ってるなあと感じた。

 前作の終わりでは、今さら崋山派本拠にも帰れないし、日月(神)教の壇主たちと共に放浪の旅をするか・・・というような感じだった。
 しかし、最終的にリンは弟(女性なのだが)弟子を馬上に引き上げ二人で旅に・・・というラスト。

 本作では、リンを含む崋山派の弟子たちは、出世欲に目がくらんだ師匠を失ったこともあって隠遁生活を送ることに決め、手分けして手ごろな隠遁先を探し、日を決めて落ち合おうとしている設定のようだった。
 
 リン一行初登場シーンは、ツァイツァイが「飲酒乗馬はダメェ〜!」と絶叫しているシーン。二人の横を「猿」と呼ばれる男が「飛草の術」(草原の草の上をひょいひょいと飛び渡って行く)で通り過ぎる。
 それを追いかけ「服部」(服部半蔵なんだろうな)が凄まじい殺気をみなぎらせつつ走ってくる。
 剣気を避けてリンは愛馬を駆って千尋の峡谷を跳び越す。一方、「服部」の前をふさいでしまったツァイツァイは、乗っていた馬を両断され、自らは谷へ放り出される。
 間一髪ツァイツァイは救ったリンだったが、さらに後を追いかけて来た東方不敗に驚かされて、腰に提げている壺から酒をこぼしてしまう。

 怒ったリンは、崖の途中にツァイツァイをへばり付かせたまま、高い樹の上に立っている東方不敗に文句をつけに行く。
 これがリンと東方不敗とのファーストコンタクトだった。


 ツァイツァイは愛馬(名は千里馬)の墓をつくり、そこへ自分の剣を墓標の一つのように立てる。「剣を捨てる」というのだ。
 雰囲気が湿っぽくなったんで坐って三弦(←自信なし。)を取り出し、いつもの「笑傲江湖」を奏でるリン。さっ!とリンのひざまくらに寝そべりながら「いつもの曲ね。また苗族の彼女を想っているんでしょ」とやきもちを焼くツァイツァイ。か、可愛いぜ、ツァイツァイ。

 「笑傲江湖」は、そのまま日月教壇主の屋敷での演奏に引き継がれる。場所は離れていても、同じときに同じ曲を奏でていたという演出。
 ランが「ひづめの音は聞こえません。今日もリンは来ないでしょう」と報告すると、気落ちした壇主の心を象徴するが如く、琴の弦が切れてしまう。
 
 屋敷の屋根にあがり、やけ酒を飲んでいる壇主。ランは「3日間沈黙の刑だ。もし、また無駄口をたたいたら舌を切ってやる」と言われながらも「それじゃ、死ぬ前にひとこと。リンに愛を告白したら壇主様の酒量も減ります」。
 壇主は、「日月教の内部抗争など私は俗世の奴隷。リンのようには思い切れない」とマジ告白している時に謎の忍者軍団の襲来。


 日月教壇主の屋敷に到着したリン一行。死体だらけなことに驚くが、屋敷内にはまだ人の様子が。
 思わず斬り合いになるのだが、相手は崋山派修行仲間の陸(ロウ)らだった。
 どうやら、隠遁先を見つける旅の落ち合い先として、ここを決めていたらしい。

 久々の再会を喜び合う仲間たち。「ツァイツァイか。背が高くなったな」「兄弟子たちが伸びてないのよ」というセリフがある。
 前作ではもっぱら「チビ」と呼ばれていたし、演じていたイップ・トンより今回のミシェル・リーの方がすらっとした感じなので、さらりとフォローしているのだろう。(この辺も、ちゃんと「続編」してるやん、と感じた)

 「女っぽくなるんだから」とツァイツァイが頭の両脇に髷をこさえる髪型にして、兄弟子らが「頭が三つになった」と噴き出すシーンや、ツァイツァイが隠し持っていた化粧道具の「紅」をうっかりスープの中に入れてしまい、「怒られちまうぞ、とりあえず色は同じだ」と唐辛子の粉を「紅」入れに詰めてごまかす(もちろん、後でツァイツァイがそれを唇に塗って、辛さのあまり飛び上がるというお約束のギャグも有り)シーンや、朝廷兵が捜索に来たので死体に化けたのだが、うっかり足の先をスープ鍋に突っ込んでしまい熱さに耐える・・・・・てな小ギャグが連発される。


 リンが川の側にくると、水中より東方不敗登場。水もしたたるそのお姿は、小池栄子か中島みゆきか(ちょっと両者には隔たりがあるなあ)。
 リンに、無言で酒の入った朱塗りの瓢(ふくべ)を投げる。こないだの酒の弁償だな、と迷いも見せずに一気飲み。
 
 ンマ〜〜イィィ!!!!と絶叫しつつ、水面(みなも)をはねて、きりもみ回転。これだけ喜んでくれりゃあ、プレゼントし甲斐もあるってもんでしょう。

 リンは自己紹介するが、東方不敗は無言。
 でもって、テレパシーで「貴様はわが領地を侵した。殺すぞ」。
 リンは、これが東方不敗の言葉とは夢にも思ってないから、「君、殺すと言われるような覚えある?ない?とすると、言われてるのは俺か。じゃあ急いで逃げなきゃ。君の呼び名は今度考えるよ」と言いつつアタフタと退散。
 これがリンと東方不敗のセカンドコンタクトだった。


 場面変わって、日月教の本拠。
 「服部派は、他に負けるな!」などと声を掛けつつ、何か力比べみたいなのをやってる連中やら、「あんたがたどこさ 肥後さ 肥後どこさ 熊本さ」で大フィーバー(←死語。死語どこさ・・・失礼)してる連中やら、ともかく飲めや歌えの大騒ぎ。

 見ると、その中に、様子を探りに潜入してきたリンたちがいる。と、リンの横に泥酔した日本武士がやって来た。
 彼がしゃべる日本語はもちろんわからないのだが、適当に口真似して繰り返してると、何せ相手は酔っぱらってるもんだから「同郷だぁ〜!」と大感激。これまた「ドッキョーダー」と合わせて、ぱんぱん肩を叩きつつ抱き合ってるリンがおもしろい。
 そいつはごまかせたのだが、眼光鋭くこちらをうかがっている人物がいる。
「やばい。気付かれた。人目のない所で口を塞ごう」とみんなで場所を変えると、果たしてそいつは追いかけてきた。
 ところが彼は教団幹部のゼン左使で、壇主のところへ案内してくれた。
 リンの顔を見るなり、ランはいきなり飛びついて、ぐるぐる回る。壇主はいくら何でも、そこまで屈託なくできない。それでも駆け寄ろうとしたのだが、そうはさせじ、とツァイツァイが割って入り、リンに代わって壇主と抱擁。火花散る女の闘い。

 壇主の父ヤン・ゴーハンは恐らく東方不敗によってどこかで監禁されているのだが、行方が分からない。
 ツァイツァイは、壇主への嫉妬も手伝い、手を貸す必要はないと主張し、他の仲間も賛同する。壇主も「これは内輪のこと。あなた方はさっさと行けば!」と意地を張る。

 しかし、リンは壇主を追いかけ「君は顔が割れている。俺とゼン左使で探るよ」と声をかけ「君が忘れていった琴を持ってきたよ。戻ってきたら、あの曲を弾いておくれ」と手渡す。
 見つめあい、リンの胸に顔をうずめる壇主。それを見て、歯噛みして悔しがるツァイツァイ。さらに、そのツァイツァイを見てフフフとほくそ笑むラン。女のバトル再び。


 東方不敗は「うまい!」と叫びながらきりもみしていたリンのことをふと思い出している。どうやら胸きゅん(←死語)状態。
 と、「教祖さまぁ〜」と愛妾のシイシイが「半年も夜がごぶさたで」とすねてみせる。
 ちょうどその頃、ゼン左使とリンは東方不敗の屋敷へ。ジャンケンで負けたゼンが陽動役を務め、そのすきにリンが忍び込む。

 やって来たリンは東方不敗の顔を見てびっくり。
「君か?呼び名をつけようとしたリンだよ。へえ、まさか君に会えるなんて。人妻なの?」と非常事態中にもかかわらずナンパしまくる。

 曲者から先生(東方不敗)を守らんと護衛の忍者たちの手裏剣が飛び交う。ところが、リンは、彼女(=東方不敗)を守ろうとして屋敷から連れ出す。
 東方不敗もおもしろがって、大人しくついていく。
 リンに抱かれて月夜の中を飛んで逃げていく時の東方不敗。本当に嬉しそうな顔をしている。

 東方不敗は一言も話さない。(しゃべると、声でおっさんとばれてしまうから。いじらしいニューハーフの「おとめごころ」のようだ)
「なぜ話さないの。・・・・・理解できなくても誤解はない。そうすれば争いもない」
 リンは能弁だ。そこへ服部が追いすがって来た。
 リンは「任せて」と、東方不敗を背後にかばう。
 服部は「先生、何が起こっているのですか」。そりゃあ、服部としたら、ぼやきたくもなるだろう。
 さあ、リンと服部との決戦か・・・と思ったら、突然前へ倒れ伏すリン。東方不敗に背後から一撃を受けたのだ。


 意識を取り戻すと、牢の中。向かいにも囚われた人がいる。
 リンは、「伝書ねずみ」を使って名前を尋ねる。リンは内心「謎の女性」と思っていたのだが、ヤン・ゴーハンと知って驚く。
 策略で守衛から鍵を奪い脱獄に成功。
 向かいの牢屋に入って思わず息をのむ。前教祖ヤン・ゴーハンは鎖で両手両足を縛られ、食物も与えられず憔悴しきっていた。
 守衛たちはヤン・ゴーハンを捕え、「抵抗すると、このじじいを殺すぞ」とリンを脅す。万事窮すか?と、「吸精大法!!」という大喝。周りを取り巻いていた守衛たちを文字通り「吸い込んで」しまう。さらに、吸い込んだ守衛たちから精気をも取り込んだのか、ヤン・ゴーハンは活力を取り戻し、ぐぐぐっと若返る。

 二人は壇主のもとに戻る。東方不敗への復讐に燃えるヤン・ゴーハンは「共に戦えば、幹部に取り立ててやるぞ」と誘うが、「明日は牛背山に旅立つ身」と断る。争う二人を止めようとした壇主に「こいつは、お前との結婚の許しを求めにきたのだ」と突然わけのわからぬことを言い出してごまかそうとする。本当にはた迷惑なオヤジだ。
  
 壇主は「先に一人で発ってください。ほかの皆さんは、あす送り出します」と別れを告げる。
 ランは壇主に「なぜ追いかけないの!後悔するのはわかっているのに」。でも壇主は動かない。リンの後を追うラン。これが後に悲劇につながる。


 馬上のリン、「酒を忘れてしまった。どうする?」
 さすがに壇主のところへは戻れない。しかし、酒がなくては居られない。(←アル中か)
 「あのとっくりの娘を探すか」と馬首を傾けるリン。

 一方、屋敷では東方不敗が、紅いアイシャドーをひき、唇に紅を。いよいよホンモノである。
 シーシーがその姿を見てびっくり。「お声も変わりました」

 リンが飄然と姿を現し、「世間に飽きたら君と飲みたくなった。俗事は他人に任せるよ」。
 東方不敗は「私も嫌気がさしてきたところ」とそれを受けるが、こっそりシーシーに、「一晩相手をして、やつをとりこにせよ」と命じ、服を脱がせて、ドン!と隣の部屋に突き出す。暗い部屋の中で突然抱きつかれたリンは、名前を「シーシー」と聞いただけで、本来目的だった筈の酒も飲まずに、もういきなり・・・・・


 明日は出発だ、ということでどんちゃん騒ぎをしている兄弟子たち。一緒に騒ぐ気にはなれず、樹の枝の上で横になって酒を飲んでいるツァイツァイ。
 そこへ、ランが逃れてきた。リンを追っていたランは東方不敗一派と遭遇してしまい、深手を負ったのだ。
 ツァイツァイはランを守るため追っ手と闘い大活躍(それまでツァイツァイはドジばかり踏んでいたが、ここでは目を見張るばかりに強い、強い)。

 壇主やヤン・ゴーハンも駆けつけ、大乱闘になる。
 壇主は、「ランを連れて逃げて」とツァイツァイらに託す。ランはもう口もきけない状態なのだが、必死で首を横に振り、共に闘おうとする。
 壇主はランの手を取り「私たちが死んだら仇を取って」 と説得する。ツァイツァイがランを背負って脱出。

 服部とヤン・ゴーハンの決戦。ついにゴーハンが服部の頭を鷲掴みにして「東方不敗はどこだ!」。「死んでも言わない!」服部の頭は、吸精大法でグシャグシャに萎んでいき、ついには引きちぎられてしまう。

 一方、ツァイツァイらの前には東方不敗が立ちふさがり「ヤン・ゴーハンはどこだ!」(←二人とも互いに探し合ってるんだから、とっとと教えて闘わせたらいいと思うのだが)
 挑みかかったロウたちは、無惨にも五体バラバラにされてしまう。
 復讐しようとするツァイツァイの点穴を突いて動けなくするラン。「毒が回り始めた。もう私は助からない。せめてあいつを道連れにしてやる」。静かに横たえておいて、ツァイツァイの命だけは助けようとしたのだ。

 しかし、毒蛇攻撃も東方不敗には通じない。最後の手段で、残った毒蛇を噛み砕き、毒霧を噴射するが、これも間一髪かわされてしまう。ついにランは息を引き取った。

 東方不敗が立ち去った後、術が解け、ツァイツァイの意識が戻った。
 ランに駆け寄り、抱き起こし、「一緒に牛背山に行こうよ」とかきくどく姿には、ほろっと来てしまった。


 あんなこんなで非常にお疲れだったリンだが、壇主の屋敷の方で火の手があがっていることに気付き、がばっと目を覚ます。

 ツァイツァイのもとに駆けつけると、そこに待っていたのは兄弟たちの無惨な姿。リンは彼らの墓標の字を剣で刻み、復讐を誓う。ツァイツァイも、リンの馬を駆って愛馬の墓のもとに戻り、一度は捨てた剣を再び手にする。

 ヤン・ゴーハンは「東方不敗は黒木崖に3万の兵を集め皇帝に就く気だ。お前は共に闘う仲間。葵花宝典は、写しを取っておいたのだ。読むか?」とリンに手渡す。

 そこには、力を得るための恐るべき条件が記されていた。
 この宝典のためにわが師に裏切られ、隠遁しようとしたのに・・・・・と茫然とするリン。

 「奴はもはや男ではないのだ。わはははははは!」、馬鹿笑いするヤン・ゴーハン。 
 「人は、どうしても争いあうもの。人間の存在こそが元凶なのだ」。珍しく「深い」ことを言ったヤン・ゴーハンだが、またしても「わははははははは!」と馬鹿笑い。
 このおっさん、間違いなく壊れている。


 東方不敗の陣に殴り込みをかけたリンたち。
 そこで、「シイシイ?」「リン?」とお互いに顔を見合わせ、驚く二人。
 ヤン・ゴーハンは「ヤン・インイン、叔父に挨拶をしろ。いや、叔母かな。わははははははは!」と「おバカな」親父ギャグ。

 リンは「あの夜のことは?」と東方不敗に詰め寄る。
 突然のカミングアウトに目を点にして、リンを見つめる壇主とツァイツァイ。
 「男同士で寝たってわけか。わはははははははは!」とヤン・ゴーハンもいきなりの直球攻撃。

 もう、闘いどころじゃないツァイツァイは「男とどう寝られるの!」と戦闘そっちのけでリンを吊るし上げる。

 東方不敗も色っぽく「これはただの内輪もめ。なぜ私と闘うの?」と迫る。
 ヤン・ゴーハンは「リンにはヤンとツァイツァイがいる。お前はよくて3番目だ。わははははははははは」と戦闘の最中にまぜっかえす。

 リンの剣と、東方不敗の毒針が交錯する。しかし、東方不敗はすんでのところで針の方向を変え、リンに当たらないようにした。その瞬間、リンの剣が東方不敗の右胸を貫く。
 「吸精大法!」、東方不敗に吹っ飛ばされて壁にめりこんでいたヤン・ゴーハンがいつの間にか復活しており、術をかけたため、東方不敗の胸からは噴水のように血潮が噴き出した。

「あなたを想う気持ちが殺意を鈍らせた。なのに、あなたは・・・・・・」と恨み言をいう東方不敗。
「俺たち二人の間にあるのは、憎しみだけだ」、「二人がいるから、そう言うの?」
 戦闘そっちのけ(←さっきからこればっか)で痴話げんかする二人。
「この場で二人を殺してやる!!」
 死にかけとは言え、恋敵抹殺に燃える東方不敗のパワーはものすごく、でっかい城ごと破壊し、壇主もツァイツァイも千尋の谷へ。「どっちを取る?」と究極の選択を迫る。

 リンは、壇主を横抱えにし、ツァイツァイも帯で引っ掛けて助ける。と、目の前を落ちていく東方不敗。
 リンは迷わず後を追った。
 落ちながら、
「あの夜の彼女は、本当に君か」「言わない。一生後悔するのよ」艶然と微笑む東方不敗。

 なおも落ちていきながら、
「君がシイシイなんだろう」とあくまで確認しようとするリン。

 東方不敗は、優しい表情で、リンを二人の待つ場所へ突き戻す。そして、穏やかに、穏やかに谷底へ・・・・・・。映画「タイタニック」の、あのシーンにも通じるものを感じる。
 ええシーンやなあ・・・・・・・・。東方不敗、ええ女やなあ。



 東方不敗も倒し、今や恐い者なしのヤン・ゴーハン。東方不敗に寝返った信徒を次々に処刑する恐怖政治ぶり。やっぱ、助けない方がよかったんちゃうか?

「漢族だから、あなたたちも処刑リストに入っているの。こっちよ。私まで信じられない?」と、壇主が二人を船着場へ誘う。
 そこへゼン左使が「私と戻らねば首をいただく」と襲ってくる。
 斬り合う二人だが、リンは剣を寸止めにする。教祖に命じられたから追いかけてきたものの、ゼン左使は大恩あるリンを斬るつもりがないことを察したのだ。
「わざと負けたな」「腕の違いだ」「やめよう。勝ち負けなどくだらん」

 剣をおさめるリン。ゼンは自分の剣で右腕を斬りおとした。
「失敗した者は罰を受けねばならない。・・・・・・・・発てるお前らがうらやましい・・・」

 船が出航する。「君も一緒に行こう。父上は君も許さないよ」と腕を差し伸べるが、壇主は動かない。船は岸を離れようとする。二人の手も離れてしまう。
 「死ぬ時は、教祖の娘として死ぬの」
 
(多分、映画はラストまでもう少しだけあるのだろうが、録画テープはここで切れてしまったのであった)


 結論。東方不敗、万歳!万歳!わはははははははははははははははは!!


(資料)
1992年 香港作品
監督:程小東(チン・シントウ)
主演 リン(令狐冲):李連杰(ジェット・リー、リー・リンチェイ)
ツァイツァイ(岳霊珊、烏鵜嘴):李嘉欣(ミッシェル・リー)
ヤン・インイン(任盈盈):關之琳(ロザムンド・クァン)
ヤン・ゴーハン(任我行):任世官(ヤン・サイクーン)
ラン(藍鳳鳳):袁潔瑩(ファニー・ユン)
東方不敗:林青霞(ブリジット・リン)
ゼン(向聞天):劉洵(ラウ・シュン)
服部半蔵:李子雄(ウェイス・リー、レイ・チーホン)
シーシー(楊詩詩):余安安(キャンディ・ユー、ユィ・アンアン)

原題:東方不敗
  SWORDSMAN II

★★★★



←前のページへ 次のページへ→
「アジア映画」メニューに戻る
トップページに戻る

inserted by FC2 system