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アジア映画れびゅう(17)「少林サッカー」 
 

(ご注意)かなりネタばれです。まだ観てなくてストーリーを知りたくない人は、お気をつけください。
 
また、記憶違いなども多いでしょうが、ご容赦ください。


「少林サッカー」

(ストーリー)
 試合前のロッカールーム、ハンは、「黄金の右脚」ことスター選手のファンに八百長を持ちかけ、散々に罵倒されていた。しかし、ファンは結局ハンの差し出した小切手を受け取ってしまう。

 ファンは、勝負のかかった大事なペナルティキックを外した。激高した観客がピッチに乱入し、ファンに襲い掛かる。「黄金の右脚」を折られたファンを見て、ハンはひそかにほくそえんだ。

 20年後、八百長試合も観客の暴行もハンの仕掛けた罠だったと知ったファンは、少林拳の普及を願うシン、そしてシンの兄弟弟子たちとともに、サッカー大会の優勝を目指す。

(あれこれ)
 主人公「鋼鉄の脚」シンの兄弟弟子たちがおもしろい。みんな、かつてはシンとともに少林拳を修行していたのだが、サッカーを始めるまではくすぶっていた。
 「鉄の頭」は、しがない飲み屋の下働き。ボスはふたこと目には、彼の頭をビール瓶で叩く(「鉄の頭」なんで大丈夫なのだが)。
 
 「旋風脚」は、「なぜハンサムな俺に髪の毛がないんだ」と怒りながら皿洗いをしていた。彼は「鞍馬」の演技のようにしてボールを操る。

 「鎧の肌」は、一応まともな証券マンらしい。常に携帯電話で市況を気にしている。
 決勝戦の後半、彼は負傷退場したキーパーに代わり、身体をはってゴールを死守する役をかって出る。敵の猛攻を受ける前に、携帯を取り出し、「20年間言い忘れていたことがある。お前を愛している」と妻に電話するシーンは感動ものだ。

 「魔の手」は、失業中だった。ゴールキーパーやってる時はブルースリーになりきっている。 
少林サッカー 「水渡り」は、かつては身軽だったが、「脳下垂体の病気」とかで、今では100kgを超える巨漢。
 食べ物を見ると本能的にむしゃぶりつく。
 ボールコントロールを身につけるため、卵を使ってリフティングするシン。 うっかり卵を割ると、水渡りが突進してくる。

 難を避けるため、別の卵をチームメートの口に放り込むシン。すると、水渡りは、そいつの方へ方向を変え、唇をむさぼる。のしかかられ、しばし抵抗していたが、あきらめたように足をぐったり伸ばし・・・というシーンの繰り返しには笑った。
 話は変わるが、水渡りは、もと横綱で「チャンコがまずい!」とキレて部屋を飛び出し、格闘家に転身。高田延彦のハイキック1発でKOされた北尾に似ている。

 ムイは可愛いですねえ。
 最初、彼女は饅頭屋の店頭で、円を描いて流れるような所作で粉をこね、饅頭を作っている。溶いた粉が「太極」の巴模様になってるのがご愛嬌。
 敵の剛球シュートも柳に風と受け流すのだが、李連杰が太極拳の始祖張三豊を演じた「大地無限」での一シーンを連想した。
 吹き出物いっぱいの顔は「おいおい、こんなシーン大丈夫か」と心配になるくらいだったが(ヴィッキー・チャオ自身もここまで醜いとは思ってなかったそうで、かなり悩んだらしい)、それでもやっぱ、どっか美しい。
 みんなから「化け物」呼ばわりされた、やたら厚化粧の顔もいいし(武田久美子に似ていると思いました。「セクシーポーズ!」が絶品)、キーパーやった時のクリクリ坊主もかわいかったです。
 「何だ、その頭は。火星人か?火星に戻れ、地球は危険だ」と言われるシーンとか、よそ見してゴールポストにぶつかったあげく、敵キーパーと並んでしまい「あっち」と指さされるシーンとか、コミカルなとこもよかった。

 はちゃめちゃなアクションシーンが印象的ですが、頭を靴で踏みつけるシーン(最初はハンが土下座して、後頭部の上でファンが靴を履く。20年後には、逆にファンが頭を差し出し、立場の逆転を示す。そして少林隊は、ハンの靴に頭を差し出すどころか、みんなで靴を奪い取ってしまう。思いもよらず靴下に穴があいていたことがばれ、ばつの悪い思いをするハン)や、少林拳の普及(バナナで滑らない。縦列駐車や樹木の剪定も楽々)とか、なかなか伏線もきいていると思います。 


(資料)
2001年香港作品
監督:チャウ・シンチー(周星馳)
主演:「鋼鉄の脚」シン:チャウ・シンチー(周星馳)、
    ムイ:ヴィッキー・チャオ(趙薇)、「鉄の頭」:ウォン・ヤッフェイ(黄一飛)、
    「旋風脚」:モー・メイリン(莫美林)、「鎧の肌」:ティン・カイマン(田啓文)、
    「魔の手」:チェン・グォクン(陳国坤)、「水渡り」:リン・ゾーソォン(林子聡)、
    ファン:ン・マンタ(呉孟達)
    
原題:少林足球 SHAORIN SOCCER
★★★☆



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