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中国美術展(17)「中国国宝展」鑑賞記Part3

1 概要

 平成17年1月18日から3月27日の会期で、国立国際美術館(大阪・中之島)において「中国国宝展」が開催されました。
 平成17年1月29日(土)の「中国考古学の新発見」という記念講演会、2月11日の関西オフ会のレポを兼ねてご報告します・・・・・の第3部。


2 考古学の新発見 一 新石器時代後期〜戦国時代

 
展示会全体は、「考古学の新発見」と「仏教美術」という2コーナーに分かれている。

 それでは、目についたものを適宜紹介する。

 

(36) 玉覆面 西周・BC9世紀〜8世紀

 河南省三門峡市虢国墓地2001号墓出土。

 『図録』解説によると、2001号墓の被葬者は、西周後期の虢(かく)国の君主と推定されるとのことである。
 それほど(君主ということでもないと説明がつかぬほど)大量の玉器や金製品が出土したということだろう。

 眉や口ひげほか、顔の各パーツ、および輪郭をかたちづくるお日様の光のような玉が展示されていた。
 会場では気付かなかったが、図録では各玉に穴が開いている。これが、遺体の顔に被せた布に縫い付けられたものということを示す証左なのであろう。
 また、玉の中には、表面に文様が刻み込まれているものがある。これは、別の玉製品を再利用した証左と考えられているようだ。(←けっこうアバウトなのか、と感じた)



(39) 玉胸飾 西周・BC9世紀〜8世紀

 同2012号墓出土。

 同時展示の各種玉製品及び金製品などは、いずれも「2001」号墓出土である。でも、この胸飾りだけは「2012」号墓出土・・・・・。

 谷課長の講演での裏話によると、当然セットで展示する予定であったが、中国側の手違いで、「2001」号墓出土の「胸飾り」についてはアメリカの美術館に出展してしまった
 それで、中国側から「仕方ないから、隣の2012号墓から出た胸飾りを出展してはどうですか?」と言われ、だいぶ悩んだのだけれど、やはり胸飾りがないと非常に寂しい感じになってしまう。
 隣接した墓なら2001号墓の被葬者の妻、いわば皇后の胸飾りとも考えられるので「まあ、いいか」と判断したそうである。



(41) 羽人 戦国・BC4世紀

 湖北省荊州市天星観2号墓出土。

 羽人というと青銅器ゼミで勉強した時には、かなり下級の神仙ということだった。
  ただ、ゼミで紹介された画像石、画像磚などで現れる羽人とは少しイメージが違う。
 台座は、蟾蜍(ひきがえる)というか辟邪というか、わけのわかんない怪獣の姿である。
 口には牙がある。身体には羽根とも見えるような模様が漆で描かれている。

 台座の怪獣の上には羽根を広げた鳥。
 そして、さらにその鳥の上に、クチバシを持ったカラス天狗のような顔をした、尾っぽの羽根がある「1本足の」鳥爪の人間が立っている。

 これも、今回展示の「目玉」の一つとのことである。

 音声ガイドNo6。

 公式サイトのミニギャラリー参照。

 


(44) 酒具盒(しゅぐごう) 戦国・BC4世紀

 天星観2号墓出土。

 豚のような形をした容れもので、中には携帯用の食器を詰め、ピクニックなどの折に用いたものと思われる。

 双頭の豚というか、両端とも頭の形となっており、口先の尖ったようなところを紐で縛って身と蓋を結合し、怪獣の耳のところにある環に紐などを通して、かついで野外へ携行したものと考えられている。

 実にかわいらしい顔をしている。

 音声ガイド5番目。

 公式サイトのミニギャラリー参照。




(45) 透彫香炉 戦国・BC5世紀〜BC3世紀

 陝西省鳳翔県雍城遺址出土。

 『図録』の解説には「透彫の装飾が施された方錘台形の台座から八角形の柱が立ち、その上に球形、蓋付きの器が乗る。蓋の頂上に環を加え翼を広げた鳥を表わす」とある。

 台座部分の人物はいずれも「右手に戈、左手に盾を持っている」ようにあらわされている。これら台座の人物の軍装は、当時の一般人の軍装を象徴していると考えられる。

 台座部分といい、上の球形部分といい、かなり複雑に絡み合った造形であり、単純な陶笵でなく、失蝋法(ロストワックス)による鋳造手法と思われる。

 チラシ表面及び裏面参照。公式サイトに画像あり。

 公式サイトのミニギャラリー参照。


(46) 舞人文飾金具 戦国・BC3世紀

 雲南省江川県李家山24号墓出土。

 青銅の円形の台に緑松石(トルコ石)を象嵌してある。
 「ぱっと見」ではわかりにくいが、中央部の丸いところに青緑色のトルコ石が象嵌され、その周囲に小さく、真ん中に穴のあいたトルコ石が三重に取り囲み、その外周部に18人の人物像が環状に囲み、そして、さらにその外周部を小さくて真ん中に小さな穴のあいたトルコ石が三重に取り囲んでいる。

 小さめですがチラシ表面参照。

 公式サイトのミニギャラリー参照。





 つぎから、展示第1部の前半部分が終わり、後半部の「秦時代〜唐時代」に移るようである。

 前途まだまだ遥かではあるが、気長にお付き合いいただけたら幸いである。

 

 

 

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