僕らの本業はもちろん物を売ることなんですが、謝恩セールというとガラガラ抽選で割引券を配るということになってしまいます。結局同じ人に同じ物ばかり配ることになる。広がりがない。
そこで僕らは子どもをターゲットにしました。
一つ目は七夕です。地元の山に入っていって笹を切ってきて、子どもたちに短冊に願いを書いてもらって商店街にずらっと並べました。短冊を読むと「サッカーが上手くなりたい」というかわいいものもあれば、「お父さんとお母さんに仲良くなってもらいたい」という少し深刻なものも。(笑)
子どもらは自分の短冊を見に来るんですね。小学生が来ると必ず親とおじいさん、おばあさんがついてくる。そうしたら短冊の前で記念写真を撮って盛り上がる。
二つ目はヤマハのピアノ教室とタイアップしてマラソンコンサートというのをしました。正式な演奏会は1曲か2曲マスターしないと出ることができない。でも、そこまで行かなくても1分くらいずつでも多くの人で順番に演奏する。
すると1分の演奏でもドレスを着て、親やおじいさん、おばあさんが写真やビデオを撮りたおす、撮りたおす。(笑)
こんな風に盛り上がってくれたら、そのうちの何人かは商店街で買物をしてくれたり、食事をして帰ってくれるかもしれません。
僕らはよく学生と組んでいろいろやりますが、彼らがなぜコンビニによく行くのか聞いてみると「コンビニには誰かいるから」って言います。
僕らはイベントで学生を使い倒します。よく「甲南(本通商店街)のイベントは学園祭みたいやな」と言われます。学生が走り回っているからです。その方がいいでしょ。年寄りが動き回ってて、見ていて「大丈夫かな」って心配になるより。(笑)
あと、自己満足にならずにメディアに発信することを忘れてはいけません。地元の神戸新聞なんかは町ネタを探しているんです。載せてもらったらタダでPRしてもらえるんですから。
これは実話ですが、買物もせんと商店街をウロウロしてるおばあさんがいてたんです。話を聞いてみたら、おじいさんが死んでしまってから、心配で仕方ない。誰にも見つからんとミイラになってしまうんやないかと。それでこうやって商店街を歩く。そしたらどの店のことも知ってるし、お店の人も私のことを知ってる。それが安心なんだって言ってました。
また、「夏祭りはいつですか?」って地域の人が役所や町会に聞かずに僕らとこに聞きに来る。
こういう地域貢献や情報交換の積み重ねで地元の商店街と思ってもらえるようになったんです。僕らは地域の人に支えられないと何もならない。
皆さんもどうぞ地域の商店街を愛し、育ててください。お願いします。
|