移動メニューにジャンプ

(No57) シンポジウム みんなで考える「商店街を100倍楽しくする方法」聴講記 その2

 


 平成22年11月27日(土)、旭区民センターで上記シンポジウムが開催されました。

 その中のパネルディスカッションの聴講録を掲載します。
 




区長
 海崎様が言われた自分の身は自分で守るというのは、区役所でも防災のことをお話しする時に強調していることです。自分を守って初めて人を助けることができますから。

 これまでいろいろお伺いしましたが、うっかりタイトルが「商店街を100倍楽しくする方法」ということを忘れていました。ここからは、できるだけ楽しい夢のあることを語っていただきたいと思います。

 それでは加藤様、流通の専門家、京阪電鉄上層部の方として商店街を楽しくするためのアドバイスをお願いします。


加藤取締役
 「楽しい」というとイベントを連想しますが、100円商店街というイベントを実施されましたね。あれは京阪電鉄開業100周年、千林商店街開設100周年、そして100円と100が三つ重なったもので大成功をおさめました。でもイベントは単発よりまちづくりと連携した方が効果的です。

 夢といえば、商店街でされている夜店、縁日も楽しいですね。また、夢といえば「スター」の出現はどうでしょう。実は京阪沿線はスターが多いんです。枚方市にはハイヒール(漫才コンビ)のリンゴ、川崎麻世、寝屋川市にはパフィーの吉村由美、海原やすよ・ともこ、守口市は鉄道好きの中川家、漫才ますだおかだの増田、水嶋ヒロの奥さんの絢香さんなどです。

 今、スターといえばAKB48が有名ですが、これの向こうを張って「旭商店ガールズ」なんてどうでしょうか。旭区の商店街が14あるのですから、各商店街から3人オーディションに出れば42人になりますね。

 このほか、お買い物ラリーや、昔のように「電車でショッピング」の復活などいろいろ考えられます。 

区長  京阪沿線にそれほどスターが多いとは知りませんでした。そう言えば、川崎麻世の実家が枚方パークの近くで喫茶店をしていて川崎麻世カレーを出しているなんて記事を読んだ記憶があります。

 AKB48の「A」がアキバ(秋葉原)の略でなく旭区の略と言われるようになったら嬉しいですね。

 次に宮岸先生にお聞きします。商店街を楽しくするためにご専門の空間デザインからアプローチするとどうなるんでしょう。例えば、来て楽しい、歩いて楽しい商店街ってどんな商店街なんでしょうか。


宮岸教授
 私はデザインとは上辺ではなく奥のほうにあるデザインであるべきだと思っています。

 ビルの中というのはバリアだらけなんです。ですからユニバーサルデザインなどが求められる。その点、路上というのはバリアが少ない。

 歩いて楽しい商店街を考える時にまず押さえるべきことは「滑らない」ということでしょう。

 私はバイエルンミュンヘンの商店街を研究したことがあります。モータリゼーションの普及で衰弱してしまいました。ほっておけば郊外型の一人勝ちになってしまいます。
 そこの商店街は徹底して歩行者を優先して、車と自転車を締め出す方策をとりました。車にとって一番良い道路というのはアスファルトですね。そこでは歩行者のために石畳を選びました。
 それと歩行者は左右の光景が単調だと歩かないんです。目に入る景色が変化することが必要です。
 あとは「賑わい」も大事です。天神橋筋商店街は日本一長い商店街として有名ですが、1丁目のあたりは道幅が広いのですが、4丁目以降は狭い。ですから同じ人数でもすごく賑わって感じられます。

区長  歩く場所でまず押さえておくべきことは「滑らない」ことというのは、一瞬意外なように思いましたが、考えてみれば当然のことですね。
 また、貴重な海外事例のご紹介もありがとうございました。

 今度は安田会長に楽しくするためのアイデアや夢を語っていただけますか。


安田会長
 先ほども申しましたが今年は区商連の60周年です。記念事業はぜひ区内14商店街合同でやりたいと考え、「たいは希望の愛ことば」標語(コピー)コンテストを行いました。各商店街を通じて全部で800件近い応募がありました。この後、表彰式を行いますし、応募作品をホールの外に展示していますので是非ご覧ください。

 区内の全商店街が一緒になって何かをするというのは旭区では初めてですし、おそらく市内でも初めてなんじゃないでしょうか。

 若者とのタイアップという事例では、大阪芸術大学の学生さんのウタダマ(歌霊)2010というコンサートが千林くらしエール館で開催されました。このコンサートは歌をつくるのも歌うのも、広報や会場の運営、切符を売ることまで全て学生さんの手でやってます。これが発展して区民センターの大ホールなんかを一杯にできるようになたら・・・なんて思います。

 あと、京阪沿線の淀屋橋から宇治のあたりまで学校が46校くらいあるそうです。その学生さんたちに全部旭区に集まってもらうようなことができないだろうか。
 学生さんには「学割」という制度もありますしね。そして来てくれた学生さんには、全部の店では無理かもしれませんが、できるだけ多くの店で何かサービスが出来るようにしたいなと思います。

区長  「たいは希望の愛ことば」は、商売の神様えべっさん(恵比須)の「鯛」と希望・願望の「〜たい」をかけたコピーコンテストですが、旭区初、全市初の企画とは知りませんでした。

 さて海崎様はこれまで講演会などでは「商売の匂いを出すと逆に逃げられてしまう。それより様々な垣根を乗り越え、地域の方々に喜んでもらうにはどうすればいいか考え実践せよ」などと言っておられます。

 地域の方に喜んでもらえる楽しい商店街にするにはどうしたらいいんでしょうか。


海崎氏
 僕らの本業はもちろん物を売ることなんですが、謝恩セールというとガラガラ抽選で割引券を配るということになってしまいます。結局同じ人に同じ物ばかり配ることになる。広がりがない。

 そこで僕らは子どもをターゲットにしました。
 一つ目は七夕です。地元の山に入っていって笹を切ってきて、子どもたちに短冊に願いを書いてもらって商店街にずらっと並べました。短冊を読むと「サッカーが上手くなりたい」というかわいいものもあれば、「お父さんとお母さんに仲良くなってもらいたい」という少し深刻なものも。(笑)

 子どもらは自分の短冊を見に来るんですね。小学生が来ると必ず親とおじいさん、おばあさんがついてくる。そうしたら短冊の前で記念写真を撮って盛り上がる。

 二つ目はヤマハのピアノ教室とタイアップしてマラソンコンサートというのをしました。正式な演奏会は1曲か2曲マスターしないと出ることができない。でも、そこまで行かなくても1分くらいずつでも多くの人で順番に演奏する。
 すると1分の演奏でもドレスを着て、親やおじいさん、おばあさんが写真やビデオを撮りたおす、撮りたおす。(笑)

 こんな風に盛り上がってくれたら、そのうちの何人かは商店街で買物をしてくれたり、食事をして帰ってくれるかもしれません。

 僕らはよく学生と組んでいろいろやりますが、彼らがなぜコンビニによく行くのか聞いてみると「コンビニには誰かいるから」って言います。
 僕らはイベントで学生を使い倒します。よく「甲南(本通商店街)のイベントは学園祭みたいやな」と言われます。学生が走り回っているからです。その方がいいでしょ。年寄りが動き回ってて、見ていて「大丈夫かな」って心配になるより。(笑)

 あと、自己満足にならずにメディアに発信することを忘れてはいけません。地元の神戸新聞なんかは町ネタを探しているんです。載せてもらったらタダでPRしてもらえるんですから。

 これは実話ですが、買物もせんと商店街をウロウロしてるおばあさんがいてたんです。話を聞いてみたら、おじいさんが死んでしまってから、心配で仕方ない。誰にも見つからんとミイラになってしまうんやないかと。それでこうやって商店街を歩く。そしたらどの店のことも知ってるし、お店の人も私のことを知ってる。それが安心なんだって言ってました。

 また、「夏祭りはいつですか?」って地域の人が役所や町会に聞かずに僕らとこに聞きに来る。
 こういう地域貢献や情報交換の積み重ねで地元の商店街と思ってもらえるようになったんです。僕らは地域の人に支えられないと何もならない。
 皆さんもどうぞ地域の商店街を愛し、育ててください。お願いします。

区長  どうもありがとうございました。海崎様の紹介された事例は私たちも地元の皆さんにお願いしていることです。皆さん、地域に出ていろいろな人を知ってください。そしていろんな人に知ってもらってください。そうすれば何かあった時、あの人がいないって探しに来てもらえます。あの人がいないって助けに行けます、と。

 そろそろまとめをするべき時間なのですが、今日は私自身皆さんの意見が大変参考になって聴き入ってしまいました。コーディネーターの私の力不足もあって一言でまとめることはとてもできそうにありません。

 ただ言えるのは、冒頭で申しあげた通り元気な旭区には元気な商店街が欠かせないということかなと思います。
 最後に安田会長から今後の抱負というか、力強い決意表明をお願いします。


安田会長
 先ほど海崎さんがおっしゃった通りで、それを繰り返してもいいくらいだと思います。

 今後とも区商連として旭区の14商店街が一丸となって地域の商店街として愛されるように取組んでまいります。
 どうか、皆さんもお買い物は百貨店ではなく、商店街をご利用いただきますようお願いします。

 本日は誠にありがとうございました。 

区長  力強い「しめ」のお言葉、ありがとうございました。
 ただ、百貨店を使わずに・・・というところで、京阪百貨店を統括しておられる加藤様が頭を抱えておられましたが。(笑)

 パネリストの皆さん、貴重なご意見をありがとうございました。また、会場の皆さん、不慣れなコーディネーターの進行にもかかわらずご清聴くださりありがとうございました。

 私はこの4月に区長に就任して以来、ずっと、ひらがなで7文字、「あさひ、だいすき」という言葉をモットーにしています。全ての旭区民の方に「あさひ、だいすき」と言っていただけるような区政を、旭区のことが大好きな職員と一緒に進めていくことが私の願いであり、目標です。

 区民の皆さんに「あさひ、だいすき」と言っていただけるためにも、今後とも旭区商店会連盟や地域の皆さん、そして企業や大学の皆さんとしっかり手をつないで楽しくて元気な旭区をつくるため全力で頑張ってまいりますので、皆様のお力添えをどうぞよろしくお願い申しあげます。

 それでは、これで司会者の方にマイクをお返しします。どうもありがとうございました。

 


  お疲れさまでした。 
 
  

inserted by FC2 system