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(No157)  これからの地域社会を考えるシンポジウム 聴講記

 
 平成23年2月25日(金)中央公会堂で開催されたシンポジウムの聴講メモ。
 
主催は、大阪市地域振興会 (財)大阪市コミュニティ協会 (社福)大阪市社会福祉協議会 大阪市地域女性団体協議会の四者。
 


 




パネリスト
平松 邦夫(大阪市長)

去年7月4日の生野に始まって、2月11日の此花で24区回りきった。ロイターが報道していたが、全世界で一番暮らしやすい大都市の1位は
バンクーバーだが、日本では大阪がトップだそうです。



コーディネーター
森栗 茂一(大阪大学コミュニケーションデザインセンター教授)

 地域懇談会でのアンケート結果で、4分の3が「良かった」と答えている。
 しかも85%が、「今度もう一回あったら、また参加したい」
と答えている。
 これって大都市では凄いことですよ。


パネリスト
金井 文宏(株式会社 都市文化研究所代表取締役)

 「言いたいことが言えて良かった。すっきりした」と言う声を多く聞きました。
 大阪の良いところは人情と義理。義理人情ちゃいますよ。まず人情。
 これは大阪の世界文化遺産だと思っています。

 それと地域活動協議会については地域振興会からは「連長つぶしか?」という声や、NPOからは「どうせ私らは参加できへんのでしょ?」という声もある。



森栗

 今までは局ばかりがあって、市長はその上に乗ってるお飾りだった。局は道具として使わないといけません。市民の声を聴いて進めるのは当たり前のことです。

 大阪はYTT、吉本、たこ焼き、タイガースばっかりじゃない。女が先頭を走って、男はそれについていくのがいいんです。


パネリスト
紅 萬子(女優)

紅萬子  都構想が何かよく分からない。

 ところで、今日は女性ばっかりだと思ってたけど、男性も多いですね。金曜の昼間なのに。


平松

 大阪市歌や市旗を小学生のうちからしっかり教えよというご意見もよく聴きます。



紅萬子  今日も歌ったらいい。歌わんと覚えない。



平松

 局の感覚と、自分が地域を回った感覚が違うということが多かった。
 「防災」面で互いの顔が見えないコミュニティではダメ。
 地域担当職員をつけます。
 区政会議は区長のご意見番になってもらいます。
 地域力復興にお金をかけます。
 大阪市が社会福祉を引っ張ってきました。
 もっと分かりやすく発信できる区職員、市職員を育てます。区長が皆さんと一緒に走るように。



清水 弘(大阪市コミュニティ協会理事長)

   ひと言だけお願いを。

 昨年、各区のコミ協が24区合併した。コミ協が区役所に移転してきた。
 コミ協の職員は2人で、あとアルバイトで地域振興会や各種団体の世話をしているが大変だ。ぜひ増員してほしい。

 福祉関係は社協。文化はコミ協?24区で違う。東成はうまいこといってるが、それを言うと自慢話になってしまう。

 地域活性化でどれだけ区職員が地域に入ってくれるか?日帰りはいいが1泊旅行はダメとか言われている。基準をつくってくれ。
 それくらい認めてくれないと行政と地域はうまく行かない。

 地域振興会と社協との関係。地振会長が社協会長を兼任しているケースは少ない。意思疎通が難しい。一緒にやれることは何か、考えねばならない。

 区長が地振加入に力を入れると言っている。それはありがたいが、地振会長は赤十字奉仕団長でもあるから、NZ地震救援には取り組みたい。

 地域活動協議会は現行組織と屋上屋を重ねるのでは?と思われている。



平松

 4区7区域で先行的に校区ごとに取り組んでいただく。
 市でも協働まちづくり室をつくって地域、区役所との連携を図っていく。

 地振を地域利権団体と呼んでいる人がいる。誤りなのだが、問題のあるものもあった。公務員も同じだが、一つ悪いのがあると、
全て悪く言われる。

 旅行についてはいったんリセットさせてもらいたい。問題ないと整理できたら、改めて「1年に1回くらいは、自費で堂々と参加する」
ということが宣言できたら理想的と思う。

 人が足りないなら区長に言ってください。そして、区長は市長にでも直接言えるようにする。



森栗

 大阪市は先進的な取組みをしている。



金井

 肩書きが50くらいあるんです。親の死に目にもあえませんでしたという地域の役員の方がいます。もっと担い手を広げようとしています。
 地域の世話役とかリーダーは、今までは使いやすい人、言いやすい人にしか役員になってくれという声をかけなかったということはないか?
 NPOで30代、40代の人もいる。
 大阪は聖徳太子のまち。「和を以って貴しと為す」まちです。
 西淀の地域懇談会ではにこネットというNPOの方と佃の連長が出会って知り合った。地域懇談会が出会いの場、お見合いとなった。



森栗

 区役所が入って人材をつないでいくこと。マネージメントする力を区長が持っていないとダメ。
 行政はたて割。昭和23年に社会事業ボランティーア協会という日本初のボランティア中間支援組織ができた。
 青パトや見守りに取り組んでもらってワースト1を脱却した。
 日本を変える原動力。
 中小企業に稼いでもらう方法も考える。
 社会福祉の根源。今までは局あって、市長なしだった。これからは「市長あり、区長あり、区民あり」に戻せ。
 上からの命令ではなく、人の話をしっかり聴くというのが基本。



紅萬子  私、役所で働いていたこともあるので、職員の気持ちも分かる。決まりごとが多い。何でここまで・・・ゆうくらい市民に気も使わないといかん。
 女性会か何かで、うちの区はこんなに素晴らしいって区のアピール大会やったら面白い。
 区役所のあり方って30年位前から問題にされてきて、やっとここまで来たかって感じ。競い合いじゃなく、尊敬し合いで進めてほしい。



平松

 大阪人ってコミュニケーションの達人だと思っている。
 マニュアル対応が多い。「役所を守る」でなく、「市民を守る」対応を。



森栗

 役所ってこんなもんやって市民があきらめかけている。



平松

 役人は中之島集権が一番効率的と思い込んでるけど、区民の意に添うべき。



紅萬子  職員削減て、これまで5年で8000人削減したんでしょ?次に5年で4000人も削減して、その人の仕事とか、大丈夫なんですか?



平松

 公務員はリストラで、明日から来るな、クビだってできませんから、自然減で。



森栗

 適正化、効率化を進めていくということ。
 市民目線がなくなるとダメ。
 昔、公園というと砂場、すべり台、ブランコが国の基準で、それがないと金が出なかった。
 行政に「夢を見せてよ」と頼るのではなく「夢を見ようよ」と。
 それを実現するため役所が支援するのが理想。
 民の方を向いて政治をする。
 かみしま(神島二郎?)が都会のムラ、第二のムラと言ったが、都会のムラが一番住みやすい。本当のムラは「でしょう」とか問うからね。



金井

 己の区域に手応えのあるものを。リニアモーターカーや関空・大阪空港一帯とか、そんな実感のないもの要らない。



平松

 工場制限法で大阪は大学も工場も出て行ってしまった。名古屋は違うんですよ。トヨタがあるから。
 投資的な景気はバブルであって、リーマンショックで大打撃を受ける。
 地域から変えていくにも企業は大事。サントリーは「大阪に残る!」と言ってくれた。ありがたい。
 地域の商工(企業)を、地域がどれだけ大事にするか。
 役人は「法で決まっているから何もできない」とよく言う。そりゃ大きな施設とかはできないかもしれないが、商店街にまわっていく知恵を出さねば。
 大阪の魅力は人の魅力。「居住」の面で、大阪はバンクーバー、パリに次いで世界第3位。
 カナダ人が3年ぶりに大阪に来て「あの自転車はどこに行った?」と驚いた。
 観光や集客。「大阪あそ歩」というコミュニティツーリズムが盛ん。



紅萬子  何年後にはこうなる・・・とか具体的に言ってもらえると分かりやすい。できれば、あまり先の話ではなく。
 市長と知事が何で仲が悪いのかが分からない。都構想でどこがどうなるのかが分からないので、説明してほしい。
 プラス思考は良いが、マイナス思考が多いように思う。



平松

 都構想を5年で実現させる・・・と言ってますが、実現できるかどうか、そんなこと分からないですよねぇ。
 関西全体が重厚長大でしたが、環境とかエコにシフトしています。
 4政令市長会や隣接都市協議会など連携を進め、救急安心センターおおさかでは♯7119で府下すべてで電話の向こうで医師が相談に乗ってくれます。
 西淀川区ではマンション規制をしています。工場規制じゃないですよ。西淀川ではものづくり、工場の歴史があります。
 マンションができると工場が規制を受けてしまう。そこで区役所に調整担当の職員を置いたら、彼が条例をまとめてくれました。
 大阪の人間は宣伝下手なんですね。
府は880万人。でも、勝負するなら府では小さい。関西の2府4県でないと。
 10年後、という話なら大阪市が中心となって政令市を引っ張って、関西圏域全体として景気回復につながる動きをやりますよ。



金井

 平松市長は、コミュニティを極楽にしたいんですよ。私は浄土真宗なんでこういう言い方をしますが。



森栗

 コミュニティの充実が都市格を上げるんですね。



平松

 大阪市は海外事務所を4つ持っています。そんなもん要らんという人もいるでしょうがパリ事務所など、いろいろ現地で橋渡しの業務をしてくれています。
 都市格というのは文化であり、歴史であり、何よりも人だと思っています。
 団体の役員の皆さんの力にすがりつきたい。地域の人と一緒に走るよう職員に言い聞かせます。
 来年度は区長主催の懇談会を開き、私がサプライズで出演します。



森栗

 市全体の夢をきちんと日本語で語ってほしいですね。



平松

 大阪の財産は人。人の都です。大阪都ではなく、人の都。

 

 制度づくりの論議で時間をかけてられません。





 

 お疲れさまでした。 
 
  

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