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上海旅遊記(6)朝市&上海博物館編

 上海2日目。
 ツアーパンフによると、「まず朝市を訪れます。新鮮で種類の多い果物や野菜等と、人々のエネルギーに圧倒されます」とある。

 広大な土地に、大勢の人々が思い思いに屋台やむしろ敷きのような簡便な店を広げている。我々は、店の間の狭い通路を行き来する。
 わいわいがやがや、さかんに声をかけられる。口角泡をとばし値切る現地の人・・・。そんな光景を勝手に思い浮かべていた。

 ところが連れて行かれたのは、青空市場ではなく、何か薄暗いビル。中に入ると、妙に赤っぽい照明の下、陳列台みたいなのが並んでおり、野菜などが置いてある。

 肉や魚が並んでる台もある。でかいプラスチックバケツにホースが突っ込まれ、ぷくぷくと泡が出てるのは活けの魚や海老が入っているのだろう。

 「さあ、どうぞ!」と呉さんは言うが、調理もできない旅先で、しかもホテルに戻って冷蔵庫にしまえる帰り際ならともかく、
朝一番から生魚や肉買ってどうせよと言うのか

 それに・・・なま臭いんですよ、ビルん中。早々に車に引き揚げる。
 「あれ?もういいんですか?」と呉さん。いいよ、もう。

  次の目的地は待望の上海博物館
 1階で1人1台、解説用のハンディトーキーを渡される。

 まず1階の古代青銅器館に入る。
  展示品に記された番号を打ち込むと、トーキーから解説が流れる。しかし、この解説、ゆっくりした調子で、しかも一つ一つがやたら長いのだ。
上海博物館外景

早々に首からぶら下げっぱなしのまま、聞かなくなった。 

 嫁さんとたけし(小二)はマイペースで歩いてるが、長女(中三)と長男(小六)が私にくっついてきて、「この字は何?」とか聞いてくる。

たけし撮影の青銅器  で、「これは、『かなえ』と読むんや。
 足3本あるやろ。音読みでは、『てい』。
 2人で話し合うのは対談やけど、3人で話すのを鼎談ってゆうたりするんやで。
 鼎の軽重を問う、なんて言葉もあるなあ」

 「獣面紋ゆうて、これは動物の顔の模様や。
 これは饕餮(とうてつ)という神獣の顔やな。これは多いで。
これは龍紋。これは雷紋」などと解説すると、自分たちで展示ケースの説明文を見て「あっ、お父さん、これも龍やで!」とか、二人で競うように報告する。

(なお、左写真は末っ子が撮ったもので、鼎ではない)

 「お父さん、これ一体何に使うもんなん?」と聞かれると、「うっ!」とつまってしまうのだが、幸い英語の説明文にWine VesselとかFood Vesselと書いてあるので、「お酒のいれもんや。とにかく殷ゆう国は、よう酒飲んだらしいで。
 まあ、今のウィスキーみたいにきつい酒やないけど。
 殷亡ぼして取って代わった周ゆう王朝は、
殷が亡んだのは酒の飲みすぎやとゆうてるくらいや」などとごまかすことができた。

 娘は故事成語などに興味を覚えはじめてるようで、長男も姉への対抗意識でつっぱってくる。
 呉王夫差ゆかりの器などがあると、「臥薪嘗胆って知ってるか?」、「呉越同舟って意味わかるか?」などとふっかけたが、そこそこ食いついてきた。

 で、こちらも調子に乗って、玉器の展示室では、「これが玉j。四角い玉の柱の真ん中丸くえぐってるやろ。丸は天、宇宙ゆうかなあ。四角は大地、地上な。それを象徴してて、行政権のシンボルやと言われてるんや」

 陶磁器の展示室では、「これが青花。この青色はコバルトゆう物質で出してるんやで」などと、「NHKスペシャル故宮」などの聞きかじりをひけらかすのだが、目を輝かせて聞いてくれるんで、こっちも気分がよかった。

 気のせいか、うちの子どものほかにギャラリーがいるような気がする。それとなく聞き耳を立ててる感じがする人が何人かいるのだ。

 こちらが動くと、さりげなくついてくる。別に迷惑じゃないし、いいけど。
 こちらも、その人たちをまともに見ないようにしてたが、最後の方ちらりと目をやると、
ギャラリーの中に「ほぉ〜」って顔をしてる呉さんがいた
 どっちかゆうと、あなたが解説してくれる立場なんちゃうやろか

 上海博物館は、展示はもちろん建物もすばらしい。

 真ん中はど〜んと吹き抜けになっている。
  右写真は、たけしが3階かどっかから、1階の吹き抜けロビーを見下ろして撮ったもの。

そして、左下は階段を見上げて撮った写真。
ロビーを見下ろす

 あと、娘が派手な五彩や、華麗精美な粉彩などでなく、宋代の青磁が一番良かったと言ったのが、意外でもあり、ちょっと見直した

上海博物館の階段  館内は一部を除き、写真撮影が自由である。

 後で図録を買うつもりだったし、ガラスケースにフラッシュが反射するだろうし、
デジカメのメモリが足りなくなってもいやだし・・・で私は撮らなかったが、たけしが何枚か撮っていた。
(その1枚は上掲)


 最後に1階のミュージアムショップに行き、全展示室の図録やら、絵葉書やら、以前宣和堂さんが参考文献などであげていた『故宮珍蔵人物照片薈萃』(注:「照片」は「写真」。「薈萃」は「選り抜きを一堂に集めること。ベストコレクション」てな意味)やらをずらずらっと買い込んだ。

 長男と長女が、これも・・・と上海博物館のトートバッグを2つ紛れ込ませる。末っ子は定規やノート。計758元なり。


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