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上海旅遊記(15) 帰国編
旅行が終わってから1年半もたってしまった。いつまでもダラダラと引き延ばしているわけにもいかないので、この辺でけりをつけたい。
実は先日デジカメが壊れた時にどうやらスマートメディアのデータも壊れてしまったようで、前回の旅行記でとりあげた写真以降の写真データが消えてしまったのだ。早めにパソコンに移しておけばよかった。
がっくり来て、続きを書く気になかなかなれなかった。
2002年8月18日(日)
旅行4日目にして最終日。出発まで車を使えるとのことなので、バンド近くの上海友誼商店に行ってもらう。
午前いっぱい店内を見てまわり、ホテルに戻りチェックアウトして、空港へ。呉嬢もついてきてくれた。
最後、自動改札みたいなところでお別れ。子どもが改札を通ろうとした時、女性係員が何かわめいて、引き止める。私たちは既に改札の内側。
何と異国の地で親子泣き別れか。
色めきたって詰め寄ろうとすると、呉嬢が解説をしてくれた。
どうやら、身長が一定基準以下だと空港税がいらないらしいのだ。
安心して、「かまわないからそのまま通してください」と言ったのだが、呉嬢が「ちょっと待っててください」と言って、どこかへ消えてしまった。
待つことしばし。
戻ってきた呉嬢はお金を私に渡してくれた。
空港税払い戻しを交渉してきてくれたのだ。
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いいガイドさんに巡り会えて幸せだった。最後にぜひ呉嬢の顔も紹介したかったのだが。
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「元」を空港税で使い切るつもりだったので、思いもよらずお金が余ってしまった。
「お買い物ゲーム」みたいなもので、空港内の売店をまわって、ちょうどいい金額のお土産を探す。
右上写真が、箱書きのとおり、京劇の臉譜の瓶に入った紹興酒である。
右上写真の赤い顔で黒ひげの臉譜の瓶。写真では読み取れないが、瓶の下のところのラベルには「姜維」とある。
この瓶をくるりとひっくり返すと左写真の臉譜瓶。
一瓶でおもてうら2種類楽しめるというわけだ。
なお、この緑の顔で赤ひげの臉譜瓶は、「夏侯徳」というラベルが貼ってあった。
最初はコルクが詰められ、布か何かでふたがしてあったと思うのだが、どこかへいってしまったのだ。それで無粋にアルミホイルでふたをしている。
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あと買ったのが花彫酒。(酒ばっかりじゃないか、という声が聞こえるようだ)
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さて、中国の酒というと皆さんは何を思い浮かべるだろうか。
私の場合は、毛主席とかが「乾杯!」と言いながらパカパカ空けていって、陪席の日本人なんかは途中でぶっ倒れてしまう透明できつい「茅台(マオタイ)酒」。
あと、「老酒(ラオチュウ)」というのは、音(おん)で知っているだけで、具体的イメージはない。
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それと、「日本の中華料理屋で飲む酒」としての「紹興酒」。あっためて、ザラメなんかを溶かして飲むやつ。
と、まあ、実に貧弱な知識しかない。
で、少しネットで調べてみた。
大きく、白酒(パイチュウ)と黄酒(ファンチュウ)に分類されるようだ。
白酒は蒸留酒で、茅台酒はこちら。
黄酒は醸造酒で、老酒はこちら。
で、紹興酒とは、あくまで「紹興」でつくられるから「紹興」酒なのだが、黄酒・老酒・紹興酒・花彫酒の関係が、サイトによって説明がばらばらだった。
紹興酒は、醸造酒なので、黄酒であるのは間違いがない。ただ、定義としては、主だったとこだけでも、下表のように諸説あるようだ。
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説明 |
模式図 |
(1) |
米穀類を原料とする醸造酒全般を黄酒といい、そのうち数年寝かせたものを老酒という。
老酒のうち、紹興でつくられたものが紹興酒 |
黄酒>老酒>紹興酒 |
(2) |
黄酒の代表銘柄が紹興酒で、
長年貯蔵された紹興酒を老酒という |
黄酒>紹興酒>老酒 |
(3) |
もち米を主原料とした醸造酒が老酒で、
その別名が黄酒。
紹興産の老酒(黄酒)が紹興酒 |
老酒=黄酒>紹興酒 |
(4) |
米、麦等を原料とする醸造酒が老酒で、黄酒と同義。
ただ、酒全般の総称を老酒ということもある |
老酒=黄酒>紹興酒 又は
老酒>黄酒>紹興酒 |
(5) |
広辞苑(第5版)の説明をひいて、
「老酒とは中国産の醸造酒の総称。
特に紹興酒をさすこともある。
醸造酒は黄酒ということもある」とするもの |
老酒=黄酒=紹興酒 |
私としては、上表のうち(1)説を採りたい。
現在、中国では酒全体の7〜8割を白酒(蒸留酒)が占めているそうだ。しかし歴史的にみて、醸造酒の方が蒸留酒より古いのは間違いない。
また、黄酒、白酒というのは、蒸留酒というものが出現してきてから、両者を区別するために生まれた名称ではないだろうか。特に、何か根拠があってそう言うのではなく、ただのカンだが。
よって、(4)説のように「酒」全般をさして「老酒」ということもあるのだろう。
老酒という用語が、黄酒より古いとすれば、黄酒の限定版、貯蔵年限が長いものが老酒・・・というのは矛盾しているようだが、歴史的経緯は別として現在では、製造手法として蒸留・醸造で白・黄に大別し、黄の中で年限により老を分け、さらに老のうち産地によって紹興酒と、たとえば上海老酒などと分ける方がわかりやすいと思うのだ。
また、醸造酒のうち、何といっても代表的な銘柄が紹興酒であるから、老酒と紹興酒が同一視されてしまうこともあり(=(5)説)、さらに進んで、紹興酒の古いのが老酒(=(2)説)と考える人も出てきたのだろう。(あるサイトでは、10年以上貯蔵された紹興酒を老酒だと、年限も明記していた)
「紹興」酒は、よって浙江省紹興でつくられる老酒をさすこととする。
よく例で引かれるのが、フランスのシャンパーニュ地方でつくられるものだけが、シャンパンであって、よそでつくったものは正式にはスパークリングワインとしか呼べないという例。
「伏見」の清酒は、日本酒ではあるが「灘」の生一本とはいわないから、台湾産の紹興酒というのは矛盾した表現ということになる。
さて、帰国してしばらくたって、臉譜瓶の紹興酒は味見したのだが、花彫酒も飲んでみようと、ふたを開けにかかった。
開かない。
てゆうか、開くような構造になっていない。
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右写真に少しアップで載せたが、ふたの部分と瓶の胴の部分が首のところで一体化している。
飲もうとすれば、ふたを割らないといけないんだろうか。こんなきれいな瓶なのに。
それに、割って破片とかは中に入らないのだろうか。
と、いうことで今も飾ったままである。何かうまい方法がわかったら別だが、これは何か特別な祝い事があった時にでもぱか〜ん!と割って飲もうと思っている。
(追記)
上海旅遊記としては、これで終わるが、紹興酒について、もう少し補足する。
紹興酒のブランドイメージを高めるためか、江南のもち米、鑒湖の水をつかって、3年以上貯蔵したものでないと紹興酒とはいえない・・・するサイトもある。
また、紹興酒を製造方法で分類すると、だいたい下表のようになるようだ。
名称 |
製 法 |
糖分 |
元紅酒 |
標準的・伝統的製法でつくられる紹興酒。
1、2年程度しか貯蔵・熟成しない。
もっぱら中国国内で消費される |
0.5% |
加飯酒 |
元紅酒よりも米や麹を増やしてつくられた紹興酒。
日本に輸入されている紹興酒は、ほとんどがこれ |
2% |
善醸酒 |
仕込み水に元紅酒を加えてつくる紹興酒 |
8% |
香雪酒 |
仕込み水の代わりに、老酒の粕取焼酎をつかってつくられる紹興酒 |
20% |
3年以上・・・というのを要件とするなら、元紅酒などは、紹興酒でない紹興酒ということになるのだろうか。
また、「女児紅」という酒がある。
これは江南地方で、女の子が生まれると甕に老酒をいれて土中に埋める。
そして、その子が結婚する時に掘り出して、婚礼の振舞い酒にするという風習に由来するものとか。たしか、「女児紅」というタイトルの映画もあった。
また、花彫酒とは、女児紅と同じなのだが、美しい彫刻を施した甕で貯蔵したものをいう。
これから、今では「古代人物、動物、花鳥、風景等を彫刻し、きれいに色付けされた壺に入った加飯酒」を花彫酒といい(上掲写真のもの)、さらには、転じて単に長期間貯蔵・熟成された紹興酒(正しくは陳年紹興酒ではないか、と思う)を花彫酒ということもあるようである。
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