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青銅器(8)平成16年度美術史ゼミナール「中国の青銅器」第3回その3
資料編:器形一覧その3(酒器:盛酒器)


1 はじめに

 平成16年度美術史ゼミナール「中国の青銅器」という講座の、備忘録程度の受講録。で、第3回ゼミの受講録その4。
 本編で器形の解説をしたので、それをごく簡単に図解する。
 装飾文様などは省略し、できるだけ形は単純化した。


2 酒器:盛酒器

 続いて、酒器:盛酒器の9類型について。

尊(そん)その1 尊(そん)その2
尊1 尊2
口がラッパ状に大きく開き、高い圏足をもつ器。
上図は肩が強く張り、腹との境が鋭く折れ曲がる有肩尊と呼ばれるタイプ。
※ 『中国の歴史 1』(講談社)P99図54、『中国古代の文化』講談社学術文庫P68図12、『神と獣』P14図1−4

※ 方尊→『中国古代の文化』講談社学術文庫P57図10、『漢字百話』中公新書P9図3、『古代中国文明』創元社P64
口がラッパ状に大きく開き、高い圏足をもつ器。
上図は肩がなく、円筒状の腹部をもつ觚を大型化した觚形尊と呼ばれるタイプ。
※ 『中国の歴史 1』(講談社)P196図114、『漢字の世界 1』平凡社ライブラリP131図15
『古代中国文明』創元社P60、同P76

※ 動物を象ったものとして象形尊(西周中期)、
兎形尊(西周中期)、
鳥形尊(西周中期)
魚形尊(西周晩期)
卣(ゆう) 方彝(ほうい)
ゆう 方彝
腹が強く張り、横断面が棗(なつめ)形をした蓋付きの壷に、大きな提梁(ていりょう)がついた器。
※ 典型例として、邢季史卣(西周中期)。
※ 陳舜臣『中国の歴史 1』講談社文庫口絵、『古代中国文明』創元社P60、同P61、同P75

円筒に提梁がついたものの典型例として、古父己卣(西周早期)、
『中国の歴史 1』(講談社)P167図91、
頸の細長い円壷に提梁がついたもの、
動物形容器
に提梁がついたもの(『中国の歴史 1』P161図88、同P310図180、『中国古代の文化』講談社学術文庫P53図5、『神と獣』P140図6−3、同P143図6−8、『古代中国文明』創元社P55)、
四角い胴の方卣
(『中国の歴史 1』P103図58、『神と獣』口絵図4、『漢字の世界 1』平凡社ライブラリP167図24)など形は様々である。
圏足をもった直方体の身に、大きな屋根形の蓋が付いた器。
屋根の頂部中央には大きな鈕(つまみ)があり、身、蓋の四方と中央に鰭(ひれ)飾りをもつ。
※ 『中国の歴史 1』(講談社)P186図107、同P212図128
罍(らい) 缶+霝(れい)
罍
頸が短く、強く肩が張り、底に向かってすぼまった腹をもつ器。
肩の辺りに環を嵌め込んだ耳が二つ付く。
 殷から西周中期にかけては、腹下部に耳がさらに一つつく。
典型例として、円渦文罍(商)、蝸身獣文罍(西周早期)。

圏足をもち、縦に細長い器を罍と呼ぶ。
※ 典型例として、紋瓦罍(春秋早期)。
頸が短く、強く肩が張り、底に向かってすぼまった腹をもつ器。
圏足が小さく肩が大きく横に広がった器を「れい」と呼ぶ。
瓿(ほう) 壷(こ)その1
ほう 壷1
広口で強く張った丸腹に、短い頸と圏足が付く器。高さより横幅が広く大型である。
肩の部分に大きな犠首が付くものが多い。蓋をもつものもある。

※ 典型例として、獣面文瓿(商晩期)。
外に開いた口に、長めの頸をもつ腹の張った器。頸や肩に耳が二つ付く。
上図は横断面が円形のタイプ。円形の壷には下腹が強く膨らんだものと、上図のように全体に丸みをもった腹をもつものがある。
※ 『中国の歴史 1』(講談社)P226図135、同P273図160、同P291図169、『神と獣』P184図7−13、『古代中国文明』創元社P81
壷(こ)その2 扁壷(へんこ)
壷2 扁壷
外に開いた口に、長めの頸をもつ腹の張った器。頸や肩に耳が二つ付く。
上図は横断面が隅丸方形のタイプ。

※ 典型例として散車父壷(西周中期)
※ 『中国の歴史 1』(講談社)P239図144、同P242図146、『中国美術史』新潮選書P69図29、同P70図30
偏平な胴に細い頸と短い圏足が付いた器。強く張った肩のところに一対の環をもつものが多い。
※ 『中国美術史』新潮選書P81図33
兕觥(じこう)  
じこう  
横断面が楕円形で、口の一端に大きな注口があり、反対側に把手が付いた器。
蓋が必ず付くが、注口側は獣面となり全体で怪獣の形をとる。
※ 『中国の歴史 1』(講談社)P98図53、同P205図121、同P309図179、『中国美術史』新潮選書P46図21、『神と獣』P132図5−18
 

・・・・・らくがきのような絵ですみません。


 上のらくがきじゃなくて、ほんものが見たい人は、下記をクリックしてみて下さい。
リンク切れになっていなければ、
(1) 東京国立博物館HP:「館蔵品ギャラリー:中国:漢時代以前」
    → 「瓿」:饕餮紋瓿    

(2) 泉屋博古館HP:「青銅器展示紹介」
    → 「尊」:犠首方尊、鴟鴞(しきょう)尊、「卣」:虎卣、見卣、戈卣、「罍」:方罍、「壷」:鳥蓋瓠壷(ちょうがいここ)、「兕觥」:象文兕觥

(3) 故宮博物院(北京)HP:「収蔵品精粋」 
    → 「尊」:三羊尊、「壷」:蓮鶴方壷、嵌紅銅狩猟紋壷

(4) 国立故宮博物院(台湾)HP:「コレクション 銅器」 
    → 「壷」:頌壷 

(5) 「人民中国」HP:「中国の青銅器文化」 
    
(6) 「人民中国」HP:「農民が見つけ、守った国宝」
    → 「壷」:単五父の壷

(7) 「人民中国」HP:「銘文に秘められた西周の歴史」   

(8) 「人民中国」HP:「歴史的、考古学的価値はきわめて高い」     

 「青銅時代」HP:「飲食器系列」     

(9) 「青銅時代」HP:「酒器系列」
     →「尊」:四羊方尊、龍虎尊、鴞尊、双羊尊、豊尊、酗亜方尊、商尊、兎形尊、折尊、「卣」:蛇文卣、「罍」:対罍、皿方罍、「瓿」:三羊首瓿、獣面紋瓿、「壷」:曽仲斿父壷、蓮鶴方壷、綯索龍紋壷、「兕觥」:龍紋(兕)觥、鳥獣紋(兕)觥

(10) 奈良国立博物館HP:「坂本コレクション」     
     →「卣」:鳳凰文卣、「壷」:曲線文壷

(11) 「骨董 中国美術」HP:「青銅器」
     → 「卣」:金申卣 

(12) 「京都新聞こだわり拾撰」:「青銅の時代」     
     →尊、壷

(13) 白鶴美術館HP:「名宝コレクション 1.青銅器・金工品」
     →「卣」:饕餮虁龍文卣
・・・・・などがご覧になれる筈です。


 それでは、皆さんごきげんよう♪ 


 

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