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青銅器(25)平成16年度美術史ゼミナール「中国の青銅器」第11回その1
1 はじめに 青銅器ゼミの10回目は、礪波護先生の講演会のため、休んでしまった。
今回は、いよいよ最終回、第11講で、ギャラリートークを行なう。
まずは、私の分担部分から。
2 私の担当ケース
受講生は10人で、1月と2月の2回、ギャラリートークを行なう。
5つの展示ケースを、1月で1人ずつ解説し、2月に別の5人が解説するというわけ。私は2月に回ったので、本来なら、1月担当の方の解説を聞き、それを参考に(・・・というか、それをパクって)済まそうと思っていたのだが、その省エネ作戦が不可能になってしまった。
ケースの内容は、大別すると、(1) 殷周代の青銅器、(2) 戦国〜漢代の青銅器、(3) 香炉関係、(4) 耳杯・水滴・帯鉤関係、(5) 鏡関係といえるだろうか。
で、私が担当することになった(職場の懇親会旅行でゼミに行けなかった時に欠席裁判で決められた)ケースは、(2)である。
私が調べていた周代の簋(き)と、六朝の水滴は、(1)と(4)に行ってしまったので、(2)のケースの中にどんなものが展示されているかもよく知らないのである。
それで、先日の「中国書画名品展」を観に行った時に、ちょこちょこっと自分の担当ケースの所へ行って、そもそも何が飾られているのかを調べてきた。
(1) 青銅 銀錯 雲気文 鏊 (せいどう ぎんさく うんきもん ごう)
戦国時代の作。
調理用の浅い鍋。下で薪や炭を燃やし、肉や魚を炒める時に使われたものと考えられる。
鎖は遊鐶となっており、調理後は鎖でつながれた耳を持ち上げて、食卓に供したのではないか。鎖全体に雲気文が施されている。
胴の側面に銀が象嵌されていたようだが、現在では判別が難しい。
三本の足は、上部は獣面がついており、先は偶蹄(二つに分かれたひづめ)となったすらりとした獣脚。
『大阪市立美術館蔵品選集』(以下、『選集』)P247所収。大阪市立美術館サイトの画像はここ。
(2) 青銅 銅錯 雷文 鍑 (せいどう どうさく らいもん ふく)
戦国時代の作。
釜に似た、口の大きな器で、やや口はすぼまった形をしている。
鍑(ふく)の定義については、うちのサイトの青銅器(8)でも紹介しているのだが、本器に対する説明としては『選集』の「口がすぼまり腹部が丸い三足器を鍑という」の方が近い。
『選集』には、「上に甑(こしき)を重ねて火にかけ、蒸し器として使用した」とある。殷周代には、これの代わりに鬲が多用された。
胴部に、三本の横帯状に雷文が施されている。
肩に左右一対の獣面付きの鐶耳がつく。(現在では鐶は失われている)
『選集』P246所収。
(3) 青銅 蒜頭瓶 (せいどう さんとうへい)
秦〜漢代の作。
ニンニクや野蒜の球茎のような頭部をしている。
ミカンの形にも似ているので、柑子口瓶ともいう。
戦国時代末にはじめて作られた器形で、前漢に入って間もなく姿を消す。秦の勢力圏を中心にみられる、いわば地方作である。
作例も少なく、秦文化の象徴ともいえる。
陶磁器の例だが、器形の参考として、「中国古美術太田」:「青磁」02の青磁柑子口瓶、「古美術Art双川」の灰陶加彩蒜頭瓶など。
(4) 青銅 鍾 (せいどう しょう) 1対
漢代の作。
酒や穀類を入れる壷。
戦国時代の「壷」から派生し、陶、漆、青銅など種々の材質でつくられた。
漢代には「鍾」と自銘するものが多いため名称として用いられているが、「壷(こ)」と自銘された器と形状や用途が大きく異なっているわけではなく、判別は困難である。
実用器や宗廟の祭祀用の器(彝器=いき)に用いられたが、本作は「寸法から推して、実用器ではなく、彝器あるいは墳墓に埋葬する模器であろう。同様に小寸の鈁や鼎があり、一具を形づくっていたのだろう」と『選集』の解説にある。
20cm前後で確かに小さいが、実用に使えないこともないだろう。しかし、確かに小ぶりではあるし、「一対」になってるし、装飾(文様など)がほとんどないシンプルなデザインだし、副葬用ではないかと思う。
『選集』P248所収。
参考として、陶製の明器の鍾について、大阪市立美術館サイトの画像ではここ。また、平成11年の展示会のHPなので、いつまでリンクが切れずに残っているかわからないが、青銅製の非常にきらびやかな鍾の画像はここ。
(5) 青銅 鍍金銀 洗 (せいどう ときんぎん せん)
漢代の作。
内部底面(見込み部分)には、細い線刻で大きな円と、その円の外周を取り囲むように三角形が放射状に並んでいる。ちょうど太陽のマークのようである。
鍍金の色が全体によく残っている。直径は15cmほどで、薄手のつくり。全体の雲気文と相まって、瀟洒な感じである。
器の両脇に、小さな鐶耳がついている。
(6) 青銅 犀 (せいどう けい)
漢代の作。
いわゆる温酒器の一種。
把手は龍首の形。
鎖鐶がついており、この鎖で持ち上げて火にかざしたり、持ち運んだりしたのであろう。
円鈕付きの蓋には龍が身体をくねらせ、からみ合った蟠螭文が施されている。
器の底部には熊足が3箇所ついている。
いま現在で書けるのはこのくらいだ。ということで、本番は2月だが、準備稿としていったんアップしてしまうことにする。
あとは「なつのなか」さんにカンニングしたり、当日、現物をもう一度見て補足するしかないだろう。
そうした補足内容や、私の担当ケース以外の内容は、また後日にアップしたい。
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