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青銅器(16)平成16年度美術史ゼミナール「中国の青銅器」第5回その3

1 はじめに

 平成16年度美術史ゼミナール「中国の青銅器」という講座の、備忘録程度の受
講録。で、第5回ゼミの受講録その3。


2 本日のテーマ

 今日のテーマは「鏡について」。

 内容は、
1.部分名称と形体
2.鏡の使用形態
3.戦国時代の鏡
4.漢時代の鏡
5.唐時代の鏡
6.鏡に表れた精神
7.製作技法
8.日本への影響・・・・・の8項目。

 ただし、実際の講義は、このレジュメの順番ではなく、アトランダムにあっち飛び、こっち飛びした。

 講義の順番にこだわらず、レジュメの順番に再構成しようと思うのだが、今回は、続いて「3.戦国時代の鏡」から。


3 講座内容の概要

2.鏡の使用形態

  O先生からいただいたレジュメには、こうあった。

3.戦国時代の鏡

(1) 技法:鋳造  陶范

(2) 母型→范、手彫り彫刻、型押し

(3) 鏡背貼り、象嵌(金、銀、緑松石など)、彩画

(4) 文様:山字、花菱、蟠龍など

(5) 特徴:薄造、匕面、細文地

(1) 技法
 技法としては、鋳造であり、その母型は陶范、つまり粘土などで造る。後述するが、蝋型が一般的になるのは唐代以降。

(2)、(3)
 当然のことながら、鏡の表面は磨いて、顔などを映すために用いる。
 自然と、装飾は裏面に施されることになる。展示会などでは、その「裏」面を表に向けて展示されることになる。

 母型に文様を手彫りで彫刻する場合と、スタンプのような型押しで施される場合とがあり、O先生によると、注意して観ると、その違いはわかるとのことであった。
 まだまだ、私自身は判別する自信はないが。

 O先生によると、鏡の出土例は戦国時代に入って急増する。
 しかし、少数ながら戦国時代以前の鏡も出土している。(O先生によると、最古は新石器時代末ということ)

 殷周(〜戦国)時代の鏡は、素文(文様なし)、重圏文(単なる同心円)、櫛歯文等、単純幾何的な文様が多く、春秋時代でようやく「虎鹿鳥文」といった初歩的な動物文様が出現するようである。

(4) 文様
 O先生に、時代別に代表的な鏡の文様を143パターンほどぬき出した資料をいただいた。それをさらに簡略化して紹介する。(漢代以降は、また後ほど)

年代 時代 時期 文様の具体例
BC1300頃 後期 (1)重圏櫛歯文、(2)斜行櫛歯文、(3)重圏文
BC1050頃 西周   (4)素文、(5)同、(6)鱗文
BC770頃 春秋   (7)虎鹿鳥文、(8)素文
BC453頃 戦国 前期 (9)龍文、(10)虎文、(11)細龍文、(12)渦粒状龍文、(13)獣文、(14)獣面文、(15)龍文透彫、(16)・(17)同
    中期 (18)龍鳳文、(19)雲文、(20)同、(21)羽状獣文、(22)同、(23)四葉文
    後期 (24)山字文(五山)、(25)山字文(四山)、(26)花菱文、(27)同、(28)獣文、(29)変形獣文、(30)重圏文、(31)連弧龍文、(32)連弧文、(33)方格四禽、(34)蟠螭文、(35)龍文

(5) ”薄造、匕面、細文地”
 戦国時代の鏡の特徴だが、
 後代のものに比べ、薄くて軽い。←薄造
 また、鏡の装飾面がやや反った(中央部がくぼんだ)ような感じのものが多く、匕
(さじ。スプーン)のようである。←匕面(ひめん)
 また、主文様のほかに地文(背景全体に施された文様)があり、羽状地など細かい文様が多い。←細文地

 そのほか、鈕の中央に筋が入ったものが多いのも、戦国時代の特徴である。
 O先生によると、こうした形態の鈕を、三弦鈕とか橋鈕と呼ぶそうだ。


 では、googleでの検索結果をもとに、実例画像をいくつかご覧いただくとしよう。その方が、私の文章をだらだら読むより理解が早いと思う。

鏡名 備考 出典
八龍透かし文鏡(戦国前期) 「龍文透かし彫り」は戦国前期に特徴的 HP「中国古鏡展」(戦国その1)
彩画龍鳳文鏡(戦国前期)   同上
羽状獣文地五山鏡(戦国後期) 「山」字文は、戦国後期の代表的な文様 HP「中国古鏡展」(戦国その2)
細文地四山四獣文方鏡(戦国後期) 方形の山字文鏡は希少 同上
羽状獣文地鳥文鏡(戦国後期)   HP「中国古鏡展」(戦国その3)
羽状獣文地獣文鏡[戦国後期)   同上
羽状獣文地花菱文鏡(戦国後期)   HP「中国古鏡展」(戦国その4)
鉤連雷文地方格四禽鏡(戦国後期〜秦)   同上
渦文地連弧龍文鏡(戦国後期〜前漢前期)   HP「中国古鏡展」(戦国その5)
殷代出土の葉脈文鏡   HP「銅鏡史料館(古代編)」
素面鏡(春秋時代)   同上
蟠龍菱文鏡(戦国中期)   同上
波(羽)状文鏡   HP「神鏡美術館(本館)」
同上   同上
蟠龍菱文鏡(戦国中期) 上記の蟠龍菱文鏡と同じ 同上
蟠龍文鎏金鏡(戦国中期)   同上

 

 



 それでは、皆さんごきげんよう♪ 


 

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