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青銅器(12)平成16年度美術史ゼミナール「中国の青銅器」第4回その2資料編その2
1 はじめに 平成16年度美術史ゼミナール「中国の青銅器」という講座の、備忘録程度の受
講録。で、第4回ゼミの受講録その2に関する資料編その2。
2 本日のテーマ
今日のテーマは「戦国〜漢時代の金工について」。
今回は、「3.紋様」から。O先生からいただいた画像石などの拓本資料をもとに、そこに描かれた意匠などを見ていきたい。
ちなみに画像石とは墓室などの建築材料とされた、画像を彫り込んだ石材。画像磚は、同様に画像を彫り込んだ瓦である。
3 画像石・画像磚・鏡の拓本より
(1) 山東省嘉祥県宋山村出土 画像石
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この画像石は三層に分かれているが、左図は、上層左側。
蟾蜍が支える臼で、両側から杵をついている兎。
これは「兎の餅つき」ではなく、仙薬をつくっていると考えられている。 |
続いて、上層中央。
ピントが甘くて申し訳ない。
中央は、西王母(せいおうぼ)。
頭の横にみえる飾りは玉勝(ぎょくしょう)といって、西王母のシンボル。 |
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続いて、 中層の左側。当時の調理場の様子がうかがわれる。
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跪いている人は竃(かまど)の前で火をおこしているのだろうか。
竃の上には、調理器(甗というべきか)が載っている。
調理場の梁のところには、食材(鳥や獣、魚など)がぶら下げられている。
一番左はナタのような庖丁だろうか。 |
中層の中央。
二人が対座している。
調理台みたいなものの上に魚を乗せて、どうやらこれからさばくところのようだ。
O先生の解説によると、庖丁や手の上に描かれている、蓋をあけたグランドピアノみたいに見えるのは、温酒樽の中に柄杓が入ったもの。 |
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そのさらに上に見える黒いお碗のようなものは、耳杯であるとのことだった。
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中層右側に描かれているのは屋外での様子。
右側は、吊るした獣を解体しているところ。
左側は、井戸につるべを落として、水を汲んでいるところ。 |
(2) 上と同じ所で出土した画像石
これも三層に分かれている。
顔の横に玉勝が出ているので、これも西王母。
O先生の説明があった時、玉勝に鉛筆でマルをつけたので、ここにも写ってしまっている。見苦しくてすみません。 |
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その西王母の周りにいてる変なやつたち。
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羽根のはえた人なんで羽人(うじん)。それほど地位の高くない神仙の端くれらしい。
手に持っている三つ又のものは霊芝。 |
(3) 四川省新繁県出土 画像磚
中央に鎮座ましますのは、西王母。
その右に虎、左に龍の上半身が描かれている。
おそらく、サイト上では西王母の右に大蛇の頭、そして左側に、その大蛇の尻尾があるように見えるのではないだろうか。 |
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実際、私にはそう見えたのだが、O先生に見せていただいた別写真では、左に龍の角も写っているし、右側は虎のしましま、左側は龍のうろこ、と違いがわかるような気がした。
西王母の下で、片足あげて踊ってる(?)蟾蜍。
その左は、3本足の烏。 |
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ひきがえるの右横にいるのは、墓主夫婦か?
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この男女の右には、兎が跪いている。
手に持っている三つ又のものは、霊芝か、それとも灯台だろうか。 |
西王母の右の虎の、さらに右。
そこにいるのは九尾の狐である。
九本というより、九つに枝分かれという感じ。 |
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(4) 山東省嘉祥県洪山村出土 画像石
これも、絵は三層に分かれている。
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上層に西王母。 |
続いて、西王母の右側。
蟾蜍。そして、兎が3匹、仙薬をつくっている。
兎の上には3本足の烏。 |
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続いて、兎のさらに右側。
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「お座り」状態の九尾の狐。
なお、この画像石における九尾の狐は、『中国の神獣・悪鬼たち』(著:伊藤清司。東方書店)でも紹介されている。 |
この画像石の中層左側。
職人風の男が造っているのは、車輪だろうか?
男の前には軸と、そこから放射状に伸びるスポーク。
およそ半分ほどは車輪ができかけている。
男は膝をまげて、当て金と金槌をもって、真っ直ぐな木(?金属?)にカーブをつける作業をしているようだ。 |
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男の後ろにいるのは、奥さんだろう。背中には子どもをおんぶしている。
車輪の部品を旦那に手渡し、手伝っているところだろうか。
(5) 青銅 東王父西王母虎馬画象鏡 伝紹興出土 後漢 18.2cm
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毎度おなじみ、西王母。
周りには、かなり抽象化された羽人の姿がちらほら。 |
円形の鏡で、西王母の反対側。
何か女っぽく見えるが、西王母のカップル相手、東王父。
西王母は、頭の横の簪(玉勝)、東王父は冠で区別することになるが、奥さんに比べて旦那はあまりにも影が薄い。 |
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それでは、皆さんごきげんよう♪
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