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青銅器(1)「上海博物館展」記念講演会「青銅器からみる中国古代史」その1

1 記念講演会について

 大阪歴史博物館で開催されている上海博物館展を記念した講演会の最終回、「青銅器からみる中国古代史」に参加しました。
 とにかくめちゃくちゃおもしろかったので、取り急ぎ内容をご紹介します。

 日時は平成16年4月24日午後2時から。会場は歴博4階講堂。
 講師は、京都女子大学助教授の松井嘉徳氏。 


2 講演内容

 松井氏が登壇したが、演壇横にホワイトボードはあるもののスクリーンがない。 「えっ?いまどきの講演でパワーポイント使わないの?今日は写真の紹介とかないの?」とやや不安になる。

 さて、講演が始まった。


(1) 歴史学的考察

 デンマークの考古学者トムセン「石器時代:青銅器時代:鉄器時代」の三時代区分法を提唱した。
 石器時代は、約200万年前に始まるといわれている。
 また、21世紀の現在も鉄器時代である。
 長い長い石器時代と、長い鉄器時代にはさまれたわずか1000年ほどの時代が青銅器時代である。

 青銅は、溶けやすく加工がしやすい。さびにくいという利点がある。

  さて、出土した青銅器の形状から時代を探るには二つのアプローチがある。
 簡単にいうと、
(ア) 考古学的研究・・・・・主に器形などから
(イ) 歴史学的研究・・・・・主に銘文(金文)などから

 私(松井氏)の専門は青銅器に鋳込まれた文章からアプローチする後者の方法なので、まずは不得意な考古学的方法の方を紹介します。


(注 松井先生が配布してくださったレジュメには、写真がたくさんついた年表が載っていたので、それを簡略化してご紹介する。
 このレジュメは、その他の部分でも金文の拓本の写真などが多く、たいへん参考になった。
 パワーポイントで写真を紹介いただくと、大きいしカラーでわかりやすいのだが、今回のレジュメのように持ち帰れないのが悩みの種である)  

文化 時期 特徴 簋(き) 遺跡 王朝
二里頭

文化

第1期         二里頭遺跡 夏王朝
第2期          
第3期
前17〜前16C
儀礼用青銅器(爵)出現 爵出現
(平底)
       
第4期 鼎出現 鼎出現
尖った足
     
二里岡

文化

前16〜前15C   爵(丸底)   偃師城遺跡 殷王朝
      鄭州商城
殷墟期 前13〜前11C     足が柱状 簋出現 殷墟  
         
西周期 前11C〜前771     下膨れ     周王朝
      獣足    
東周期 前770〜前221 いわゆる春秋戦国        
           

 爵をみれば、底が平べったいか、丸いかでおよその時代がわかる。同じ様に鼎をみれば、足の形状や、全体のバランスをみればおおよその時代がわかるということです。

※ 鼎の西周期の「下膨れ」とは、鼎の最大径の部分が下の方へ位置していることをいう。


(2) 図象記号(族記号)

 殷時代の金文(青銅器などに刻まれた銘文)は短い。
 図象記号(族記号)などと呼ばれる、族称を表わす絵文字のような記号が鋳込まれていることが多い。

 漢字の「亞」のような形の中に記号が入ったものは、「亞」文字といわれる。

 林巳奈夫氏の説によると、図象記号(族記号)とは、日本で言うと真田幸村の旗差物の「六文銭」のようなものであった。
 殷の時代は社会全体が混沌としており、社会全体を貫くシンボル、共通する価値観というものが存在しなかった。
 よって一人一人が、自分自身のシンボルだけを掲げて自己主張している時代だったといえる。

 それが西周時代に入ると、社会が安定し、それを反映するかのように金属器の銘文も長くなって、さらに東周時代には器の内面だけでなく外面にまで文字が刻まれるようになった。


(注 冒頭にめちゃくちゃおもしろかったと書いたが、ここまで読まれた方は「何や、別におもしろないやん」とおっしゃるかもしれない。
 実を言うと、講演会の前日まで寝不足が続いたのと、当日の昼飯の時、少しばかりビールを飲んだせいで、この辺までめっちゃ眠たかった。
 講演のメモを取っていたのだが、後で読んでも分からない字がいくつかあった。瞬間瞬間で寝ていたのだと思う。

 ところが、先生の得意分野とおっしゃっていた、実際の金文を読み解く段階で、私の眠気も吹っ飛んでしまったのです。
 少し長くなってきたので、その内容については、次回以降で!)

 

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