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(No44) 米朝一門会 鑑賞記 その1  

 平成19年8月12日(日)、ホテルヒルトン大阪での上演分。

 前から3番目なので、前後関係としては文句なし。ただ、だいぶ左サイドに偏っていた。



(1) 桂吉弥 「煮売屋」

 煮売屋というと、ちょっと煮たもんを売ってるということで、いわば簡易食堂って感じかなと思う。


 私らでも、たまにお声をかけていただくこともあるのですが、こないだの声はたまりませんでした。出てくるなり「さっさと!」と言われましたんでね。

 さて、喜六、清八の若い者が「伊勢参りでもしよか」ということで「でも」付きの伊勢参りに行くことになりました。

「清やん、ちょっと待って。腹減った」
「大阪の若いもんが『腹減った』なんてゆうたら面目ないやろ。周りのもんに笑われるがな。そこ、洒落言葉、粋
(すい)言葉で『ラハが北山。底でも入れよか』ゆうたら、この辺の人でもわからんやろ?」
「この辺の人どころか、わたいもわからへん」

「情けないことゆうな。腹(はら)ひっくり返してラハやないかい。春に北の方の山、見てみぃ。何や透いたように見えるやろ。ほんで、底でも入れよか。飯でも食おか、ゆうことになんねがな」
「ひっくり返したら粋言葉んなるか?胸は?」
「”ねぇ〜むぅ〜”やないかい」
「でぼちん(おでこ)は?」
「”ちんでぼ”やないか」
「足の裏は?」
「らうのしあ」
「目ぇは?」
「・・・・・・目ぇ?目はひっくり返らんわい」
「何で?」
「目ひっくり返ったら、目ぇ回るやないか」
「ほな手ぇは?毛ぇに、歯ぁ」

「お前なあ。上下があって初めてひっくり返るんやないか。一文字のもんゆうたってあかん。二文字から上、言え」
「ほな耳は?乳に、ほほ。もも・・・」

「お前、ひっくり返らんもんばっか、よってる(選んでる)やろ」

「それにしても、腹減ったねえ」
「ちょうどええ、向こぉに煮売屋があるようやで」
「あかんわ、清やん。今日は休みや」
「何で?」
「そやかて、表に断り書きが出たぁる。
”一つ せんめし さけさかな いろ ぉ くうくう ありやなきや”て。
 せんめし ゆうんやから めしは、せんと思うで」
「ええ?・・・・・・あら”一つせんめし”やない。”一膳飯”て読むねがな。
”有りや 無きや”やない。”酒 肴 色々あり 柳屋”て書いたぁんねん。

 邪魔するで」

「はいはい、お越しなされ」
「何がでける?」
「はいはい、でけますものは、壁に書いて貼っておりますので」
「書いたぁるもんは何でも出来んねんな?」
「はいはい、でけますもんを書いとりますで、書いたぁるもんは何でもでけますので」
「そおか、ほたら、一番右端のやつ、持ってきてもらおか。あの、”くちうえ”ゆうやつ」
「・・・・・・・ああ、お客人。あら、”くちうえ”じゃあらせん。口上
(こうじょう)ちゅいますのじゃ」 
「ああ、口上か。何でもかめへん。二人前」
「いや、あれだけは外しとぉくれ。ほかのもんじゃったら何でもでけますので」
「そうか。わい、口の上ゆうから、鼻でも料理して持て来んのか思て。
 ほな、一番左端のやつ、持ってきてもらえるかな。あの”もとかた げんきん につき かしうり おことわり”ゆうやつ。具が多ぉてうまそうな。鍋で二人前」
「なぶってなさるんやないわい」
「どれどれ・・・・何や、あの”あかえけぇ”、”とせうけぇ”、”くしらけぇ”っゆうのは?」
「あかえけぇ?・・・・ああ、あら”けぇ”じゃありゃせん。汁ちゅう字を崩しておりますのじゃ」
「ほな、あの”とせう汁”ゆうのもらおか」
「あら、どじょう汁と読みますのじゃ。濁りが打っておりますじゃろう?”と”の肩、”せ”の肩にちょぼちょぼと」
 いろはの文字に濁りを打ったら、みな、その音
(おん)が変わりますでな」
「おお、おやっさん、学者やな。ほな”いぃ”に濁り打ったらどないなる?」
「い、ぃぃんいんいん・・・・・・・”い”には濁りは打てん」  
「何で?」
「”い”は弘法大師さんのお造りになった”いろは歌”の仮名頭
(かながしら)やさかい、もったいのぉて打てん」
「うまいことゆうたな。ほたら”ろぉ”は?」
「ろぉ・・ぉおほんほん。・・・・”ろぉ”も打てん」
「何で打てん?」
「ろぉにもならん」
「何やそれ。ほたら、”にぃ”は?」
「・・・・・・・・・・何で”はぁ”飛ばしなさる?」
「ははは。おやっさん。打てんもんに濁り打とうとして、”ばな”の頭に汗かいて」
「何じゃ、”ばな”て」
「そやかて、鼻の肩に濁りが」
「こりゃ、ほくろじゃ」

「ほな、どじょう汁もらおかな?」
「ばばどんや、客人、どじょう汁がええっちゅい
(良いと言い)なさるでな、こなた、町まで味噌買いに行てくれるか。わしゃ、裏でどじょう、すくて来るでな」
「おやっさん。町て近いんか?」
「へえへえ。山越しの三里」
「三里ゆうても山道慣れてるから、もののいっとき(一刻)もあったら行て来るか?」
「はいはい、まあ三日もありゃあ」
「そんなん待てるかいな。裏でどじょうすくて来るゆうたが、何か、生簀か何ぞに飼
(こ)うたるんか?」
「こないだの大雨で水たまりがでけたさかい、ぼちぼちどじょうがわいとりゃせんかと」

「・・・・・おやっさん、どじょう汁、もうええさかい、くじら汁にしてくれるか」
「ばばどんや。客人、くじら汁がええっちゅいなさるでな、握り飯、十
(とお)ほどこさえてくれるか。
 わしゃ、これから熊野へ鯨買いに行くでな」

「・・・・・おやっさん。わいら、ここで正月迎える気ぃはないねん。何ぞ早幕
(はやまく。急ぎ)で食べれるもんはないのんかい?」
「ほたら、そこの照らし
(棚。陳列ケース)に入っとるで、見てもろたら」
「おやっさん、すまんけど、旅をしてると、いったん腰をおろしてまうと、もう、そこの照らしまで立って見に行くのがでけへんねん。悪いねんけど、どんなもんがあるか、ゆうてくれんかな」
「ああ、そんなもんかいなあ。
 ほたら、人参の煮
(た)いたんはどないじゃな?」
「人参なあ。人参食たら、人が助平や、助平や言いよるさかいなあ。まあ、やめとくわ」
「そんなもんかなあ。ほたら小芋はどうじゃな」
「ぬるぬるするやろ」
「煮豆は?」
「つまむのんが邪魔くさい」
「高野豆腐は?」
「かすつくやろ」
「生節
(なまぶし)は?」
「値ぇが高い」

「そないゆうたら、食べるもんがありゃせんがな。それにな、いんま生節値ぇが高いと言いなさったが、山家
(やまが)のこっちゃで、どうしても魚気(さかなけ)のもんは高こぉなりますでな」
「いや、おやっさん、こりゃすまなんだ。値ぇが高いのは別にかめへんねけど、今日は親父の命日、精進日
(しょうじんび)でな。生臭(なまぐさ)もんはあかんねん。堪忍して。
 ほたら、その高野豆腐もらうわ。ほんでな、おやっさん、悪いけど、その高野豆腐、こっち持ってくる時、汁絞って持てきてくれるか?」
「ええ?それでのうても、おまはん、かすつくゆうてなさったのに、汁絞るんかい?ほたら、こう・・・・包丁の腹で押さえさしてもらいまひょかなぁ」
「おやっさん、なに、そう怖そうに押さえてんねん。手ぇきれいに洗
(あろ)てるんやろ?かめへんから、両手で、こうニュニュニュウッっと。そうそう。
・・・・・・・・・・・・かすつくやろねえ」
「そやからゆうてますがな」
「こら、食えんなあ。・・・・・・おやっさん、その横の鍋、生節煮いた鍋とちゃうのんかい?ちょと、その汁、高野豆腐の上から掛けてもらわれへんかなぁ」
「うまいこと考えなさったな。そら、汁ぐらい掛けんこたないが、おまはん、今日は精進日と違うのかい?」
「親父の遺言で、精進は守ってもらわなあかんが、汁は何ぼ飲んでもええて。そやから、だ〜っと掛けえなぁ。あっ、生節の身ぃが落ちた。落ちたもんは戻さんでええがな」

 てな調子で、親父さんをからかいつつ、酒を注文。
 銘酒が「村雨」、「庭雨」、「じきさめ」の三種類あるという。
 村雨というのはええ気分で酔うてても村のはずれに出た辺りで醒める。庭雨は?庭におりたら醒める。ほな、じきさめは?飲んでる尻から醒める。酒にようさん水混ぜてんねんやろ?そんなこたぁせん、水に酒を混ぜとります・・・・・・とたたみかけ、最後、
「酒臭い水やなあ」
「水臭い酒じゃあ」というオチだったが・・・・。

 ????? 疑問符が飛び交う中、恥ずかしいような微妙な表情で高座をおりた吉弥。

 何か不調やな、最近。





(2) 桂こごろう 「青菜」

 こごろうは「大胆な名前です」、「いわば桂小五郎の二代目です」、「あちらに寄席文字で名前が書かれていますが、”てでろう”とは読まないでください」とかいつものまくら。
 そして、「実は先ほど高座に出る前、戻ってきた吉弥くんとすれ違う時、彼が、実はサゲを言い間違えた。『水臭い酒やな』、『いや、酒臭い水や』ゆうとこテレコ(逆)にゆうてしもた。
 お客さんに謝ってくれ、とのことでしたので、ここでご報告させていただきます」

 客席、大爆笑。

「植木屋さん、仕事は、もう仕舞(も)うてやったんかいな?」
「へえ、旦さん。今日は、ちと早いんですが、区切りがつきましたんでぼちぼち仕舞わせてもらおか、思いまして。 その分、明日は、ちっと早
(は)よ、寄せてもらいますのんで」
「いや時間てなもん、植木屋さんの段取りでどないしてもうてもええんやが、区切りがついたんやったら、ちょっと私のお酒に付き合
(お)うてもらわれへんかな思てな」
「えっ?何でやすか、旦さん。お酒をご馳走いただけるんでっか。
 わたい、こないな仕事着で、きれいなお座敷上らせてもろたら気ぃ引けますよって、ここ、縁側の端に座らせてもらいまっさ」
「いや、そんな気ぃ使わんかてええんやが、そない板の上ではお尻が痛いやろ?」
「何をおっしゃる、旦さん。わたいら、一んち、松の枝に腰掛けたりしてまっさかい、尻、硬いの、硬
(かと)ないの。 こないだも銭湯で、石鹸ですべって尻もちついた時なんかタイル3枚割れました。
 尻が割れるくらい硬い・・・・いや、尻は最初から割れてま。まあ、そない細かいことは咎めんでも」

 
 冒頭で吉弥のとちりを報告したこごろうなので、タイルと尻を言い間違えた時点で客席がやたら爆笑した。
 それで、こごろうがアドリブで「そない咎めんでも」と返したのである。

「ま、夏の間はお酒ちゅうのは体がほめいて(ほてって)どもならんので、柳陰(やなぎかげ。焼酎に味醂を加えた酒)を冷やして飲(や)ろうと思うねやが、植木屋さん、あんた柳陰呑んでか?」
「ええ?柳陰?旦さん、柳陰ゆうたら、昔は大名酒
(だいみょうしゅ)ゆうて、お大名より上られんもんでっしゃろ。それをいただけるやなんて、ありがたいこってございます。へえ、頂戴いたします」
「そない喜んでもろたら重畳や。どや、植木屋さん、ちょと箸も動かしてもらいたいでな、出入りの魚屋が鯉を持って来ましたので洗いにしたぁんねが、川魚ゆうのは好き嫌いがある。
 どや、植木屋さん、あんた、鯉の洗いは食べてか?」

「ええ?旦さん、今、何とおっしゃった。鯉?鯉てなもん、昔は大名魚てなこと言いまして、お大名より上られなんだもんでございます。
 それをば頂戴できるやなんて、こんな結構なことはございません。へえ、頂戴いたします」
「植木屋さん、あんた、手ぇで食べんでも、そこの小皿使
(つこ)てくれたらええのに」
「何をおっしゃる、旦さん。この手ぇの小皿はよろしいねんで。こう、どこへ歩いていっても忘れる気遣いがございません」
「それに、何もつけんと食べたんと違うか?」
「あっ、そう言や、おいしいねけど、ちょっと塩気があった方が・・・と思とりました」
「まあ、鯉の洗いゆうと酢みそで召し上がる人が多いねが、私は、どういうもんか酢みそは合わんので、わさび醤油が用意したぁるんで、それで食べておくれ」
「あっ、旦さん。これがわさびでっか?」
「えっ、おまはん。わさび知らんかえ?八百屋でよお置いたぁるやろ。これぐらいの大きさで、先がぱらっと開いて」
「いやあ、旦さん。これで長年の謎が解けました。わたい、ずっと、あない小さいソテツどないすんねやろか思てました。ははぁ。あれがわさび?あれをすりおろすと、こないなりますのんで?ほな、いただきます」
「え?おまはん、そんなわさびだけ食たら・・・」
「うわぁ〜!旦さん、わたい、わさび口に合いまへん」

「無茶したらあかんで。どないや、植木屋さん、口直しに青菜でも食べてか?」
「えっ?旦さん。青菜ゆうたら、昔は大名菜ぁゆうて・・・」
「そんなあほな。
(ぽん、ぽんと手を叩き)これ、奥や、奥や」
「はい、旦さん。何、御用にございまする?」
「今、植木屋さんにお酒の相手をしてもろてるんやが、青菜が食べたいとおっしゃるんで、堅とぉ絞って、ごまでも振り掛けて持ってきておくれ」
「はい、承知いたしました」

「旦さん、今の方、奥さんでらっしゃいますか?若(わこ)ぉて綺麗で、上品な。こう、びた〜っと両手つかえて、ものおっしゃって」
「女子
(おなご)みたいなもん、手ぇついてものゆうもんやがな」
「うちのかかなんか手ぇついてものゆうたこと、おまへんで。あら、おなごちゃいまんねんな。おそらくイナゴなんでっしゃろ。そういや、よう、ぴょんぴょん跳ねて。
 また、うちのかか、おいど
(お尻)が大きいんだ。畳半畳くらいおますねん」
「あの・・・旦さん」
「何や?」
「鞍馬より牛若丸がいでまして、名も九郎判官
(くろうほうがん)
「おお、義経、義経。ささ、植木屋さん。ぐぐ〜っとやっておくれ」
「旦さん、わたい、ぼちぼち失礼
(ひつれい)いたします」
「ええ?ゆっくりしていたらええがな」
「そやかて、お取り込みのようで。何や牛がワカメ運んできたって」
「ははは、えらいことがお耳に入りましたな。いや、実は、食べていただこう思た青菜が、もう食べてしもて、なかったようで。しかし、それをここでゆうてしまうと、お客さんの手前、私が照れる。
 そこで隠し言葉で、「菜ぁは、くろうてしもうて、ない」、名も九郎判官。それで、私が義経、義経。よっしゃ、よっしゃとこうゆうたわけや」
「は〜あ。こらええこと教えてもらいました。もう十分いただきましたんで、これで失礼いたします。明日は、この埋め合わせに、早めに寄せてもらいますのんで」

 

「いやあ、ええ旦さんやなあ。酒の相手してくれ、やなんておっしゃったけど、そやない。わいにご馳走してくれはったんや。けど、わいが気ぃ使わんよう、あんな風におっしゃってくらはる。
 それに、綺麗なお屋敷で、あない若ぉて、別嬪な奥さんがいたはったら・・・・・・日々の暮らしも幸せやろなあ。

 あっ、そないゆうてる間に、うちの長屋の路地に着いたで。どうゆうもんか、ここへ来るとぴた〜っと風が止まるから不思議やなあ。
 あっ、うちの嫁はんや。今日もおるなぁ。いつか、帰ったら、おらんようなってへんか思うねんけど、いつもおるなあ」

 おかみさんに、中川のご隠居のところでの会話を教え込み、もうじき「たけ」が風呂を誘いに来るので、真似をしてびっくりさせてやろうとたくらむ。

「奥に隠れとれ」「奥も何も、うちは四畳半一間やないか」「・・・ほたら、押入れ隠れとれ」とおかみさんを隠して、たけを待つ。


「おお!風呂行こか」
「ああ、植木屋さん」
「・・・・・・何ゆうてんねん?植木屋はお前やないか」
「植木屋さん、あんた柳陰呑んでか?」
「俺は大工や。ええ?お前、柳陰みたいな贅沢なもん、呑んでんの?まあ、暑い時分に冷やこい酒はありがたいな。
 これ、湯のみか?えらいごつい湯のみやな。なになに?魚へんの漢字がようけぇ書いたぁる。魚へんに弱い・・・で鰯
(いわし)やな。魚へんに春で、鰆(さわら)か。魚へんに屁ぇ?答えは裏。どれどれ(と、湯のみの反対側を見て)ぶり・・・・。

 なんでもええわ。ほな、よばれるで。・・・うわっ!生ぬるぅ!・・・それにこれ、焼酎やないか!」
「わかるか」
「わからいでか!呑み慣れてるさかい、別に焼酎やったら焼酎でええねんや」
「時に植木屋さん。あんた、鯉の洗い、食べてか?」
「何ぃ?鯉?お前とこは子供がいてへんさかい、鯉てな贅沢がでけるんや。うちみたいに子供が多いと鰯が危ないぞ」
(と、十日前の”おからの煮(た)いたん”を鍋からしゃもじですくって皿に押し付けるように盛りつける)
「ええ?鯉の洗いてなもん、鍋からすくうかえ?何や、ぷ〜んと臭うで。こら、おからやろ、それに、すい
(酸っぱい)で、これ」
「わかるか。ほな口直しに青菜食べてか」
「いらん!」
「へ?い、いや・・・あんた、青菜食べてか?」
「いらん!ゆうてるやろ。わいはなあ、どうゆうもんか、昔から青いもん嫌いやねん」
「・・・・・・・食べてくれんと・・・・・かかが危ない・・・・・・・」
「ええ?はは〜ん。何や、さいぜんからおかしなことばかりゆうなあ思たら、何やろ、でんぼ
(おでき)のまじないか何かなんやろ?
 わかった、わかった。青菜、食う。そうゆうたらええねんやろ?」
「(ぽん!ぽん!)奥や、奥や」
「はい、旦さん!」
「わっ、びっくりした。お咲さん、いてへんなあ思たら、押入れん中いてたんかいな?」
「植木屋さんが青菜を食べたいとおっしゃるで、堅とぉ絞って、ごまでもかけて持ってきておくれ」
「かしこまりました!」
「わっ!また、押入れん中、戻ったで。あっ!また出てきた。
 顔にくもの巣、ひっかかったぁる。汗ぼたぼた落として、ひぃひぃゆうてるで」

 ぜ〜ぜ〜言いながら、肩を上下させて荒い息のお咲さん。うっかり「〜名も九郎判官。義経」と旦那のせりふの部分まで言ってしまう。

 進退窮まった旦那が「・・・・・・弁慶」というのがオチ。

 こごろうは、いつもの「動物園」などのネタよりも元気があって良かった。

 それにしても、文句を言いながらも、暑い押入れにもぐるお咲さんて、なかなか可愛いなと思う。


 

 


 

 

 どうも、お退屈さまでした。いつものことですが、録音とかしてませんので、聞き違い、記憶違いはご容赦ください。

  
 



 

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