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(No271) 演芸図鑑&扇町寄席&日本の話芸 TV鑑賞記  
          

 文珍の演芸図鑑は平成23年9月4日。雀松の「扇町寄席」、初出は09年8月だが、再放送は最近。小柳枝「船徳」は「日本の話芸」で2011年7月9日くらい。楽太郎「薮入り」は、「日本の話芸」だったと思うが、放送日は覚えていない。

 



桂 文珍 「憧れの養老院」

 淡々と養老院に慰問に行った時の話をマクラに。

 
 全般に女性の方が元気ですね。 
「また、来てね!また、来てね!」

・・・・・・・宇宙人みたいな声で。

「おばあさん、お元気ですね。おいくつですか?」
「百!百!百!」
「三百?」

 帰る時もね、玄関先まで来てくれてね。最後まで見送ってくれるんです。最後まで見送らな、あかんのはこっちやのに・・・・・。

 そこいくと、おじいさんはね。
「おじいさん、おいくつ?」
「あ〜」
「お名前は?」
「あ〜」

・・・・・・・動かない。

 でも、たまにね。おしゃれなおじいさんもいてる。ジャージをね、ローライズではいてはった。・・・・・・・ローライズ、お分かりですか?まあ、ずってただけですが。

 おじいさんの脈を測りながら、
「大丈夫?ここ、どこですか?」
「・・・・手首」
「いや、いや、そういう話やなく」



「お隣の市川さん、養老院に行ったのよ」
「海老蔵けえ?」
「・・・・・そんな人は来ないでしょ」
「岩崎弥太郎の歯は、何であんなに汚いんじゃあ」

 これまでしっかりした返答をしていた奥さんが、ずれた返答を重ねる。

「おめえ、ボケてきたかぁ・・・・」
「・・・・・・・・・試したんだよぉ!たまには刺激を与えないとねぇ。
 いい養老院があるんだよぉ。温泉があってね」
「隣は病院だろ?
 裏はメモリアルホールじゃろ。奴らはグループ企業なんじゃあ。
 で、いくらするんじゃ?」
(奥さんは、指を5本出す)
「5円か?」
「5000万よ!」
「ペソ?」
「日本円よ!」
「2人で5000万は高いなぁ」
「あなたの年金はずっともらうわよ。閉じこもってもらって。
 白骨化しても死亡届出さないの」
「・・・・・・・」
「丹波の姉さんのね、遺産が5000万入ったの」
「ほんまけぇ?」
「夢よぉ。まだ元気で、こないだ会ったじゃないの」
「どうすりゃ、ええんかのぉ」
「捨てる神あれば、抜ける髪ありよ」
「拾う神じゃろ?」
「朝昼晩ご飯を食べさせてくれて、職業訓練もしてくれるの」
「いくらじゃ?」
「無料なのよ。でも、塀が高いの」
「俺はこれまで真面目に生きてきたぞ」
「真面目に生きてきた結果がこれよぉ。
 銀行強盗行きなさい。包丁1本あれば、いけるから。
 じゃ、お稽古しましょ」
「出せぇ〜〜」
「チャック開いてるわよ!もう出てるじゃないの。
 さあ、行ってきなさい!」

 

「どうだった?」
「カードお入れくださいって」
「それATMじゃない。どうして人のいる所に行かないのよ!
 もう一度行ってきなさい!」

 

「おい!」
「おろし金持って何をされてるんですか?」
「強盗や!」
「後藤さんですね。番号札取って、お待ちください」
「整理番号235番?
 金や!ほんまもんの銀行強盗やぞ!」

 

「何してたのよ!銀行出てもおもらしするから、その後、追われてすぐつかまったじゃない!
 点と線よ。松本清張?
 おしっこしたから執行猶予。

 いい防犯訓練になったって、警察署長から感謝状もらったじゃない。
 で、お金はどうしたの?」
「銀行がつぶれて、ペイオフでなくなってしもた」

 

 


桂 雀松 「替わり目」

 冒頭の南光と八光のおしゃべりで、べかちゃんが「雀松は頭が大きいから雀松やのぉて、あたまっちゃんて言われてました」なんて裏話が好き。
 知らん人とのお付き合いは酒に限る。甘いもんではうまいこといかん。ぜんざいで「どうです?餅半分?」では・・・・なんてくだりは、どうしても宗助の専売特許みたいな印象がある。

 
 酔っ払いの歌も「一でなし、二でなし・・・」で「これ、終らんなぁ」というのもいいが、「♪犬はワンワン 猫ニャーニャー 豚はブーブー 象パオ〜ン♪」とゆうのは雀松オリジナルか?

 「いいおかあさんだなぁ」と素直に妻への感謝の気持ちがあふれているのが、雀松の「替わり目」の特徴だろう。

 聴いていて決していやな印象はない。人柄の出た佳編と言えよう。

 

 


春風亭 小柳枝 「船徳」

 マクラで、昔は梅雨時などの除湿対策の話。
 縁の下などに石灰をまいたものですが、白い煙の向こうに墨染めの衣の男が。

「私はしっけ(湿気。出家のシャレ)。おかびさん(湿気によるカビとおかみさんのシャレ)によろしく」 

 もう一つは「夕立屋」の小噺。「夕立屋でござい!」と言っている男に金を渡すとみごとに夕立を降らせてみせた。訊いてみると雨を司る龍神で、小遣い稼ぎでこんなことをやっていると言う。

 「夕立を降らせてくれて、暑かったが爽やかになった。逆に寒い時は何とかできるのかい?」と訊くと「冬は子供のこたつ(炬燵と小龍のシャレ)に任せてます」


 よく聴く小噺である。まあ、夏の噺なんで、季節感を出すため用いているのだろうが、本編とそれほどしっくりいってる感じはしない。

 道楽して家を勘当された若旦那が船宿に厄介になっている。

 まともに船もあやつれないが、一人で船宿でぶらぶらしていたのである客に雇われる。

 途中で止まって岸を突くのに客の傘を使って、取れなくなったり、どたばたを繰り返したあげくに、自分でもギブアップして「船頭を雇ってくれ」というのがサゲ。

 全般的に、ベテランと言われる世代だろうに、こんなに下手で(少しも笑えなくて)いいんだろうか、と思う。

 小朝とか、昇太とかが「今の東京の寄席ってのは、聴きたい噺家の落語を聴くまで下手な噺を何人も聴かないといけない」という趣旨のことを言うが、今日なんかがその一例なんだろうなぁ。

 



三遊亭 楽太郎 「薮入り」

 円楽襲名前。

 ぐうたら息子を叱るマクラ。
「ゴロゴロしてんじゃない!父さんみたいになるよ!」
「・・・・・お前、何てこと言うんだ。

 勉強しろ!」
「何でだよ!」
「勉強したら、いい大学に入れるんだよ」
「なら、どうなるんだよ?」
「いい会社に入れるだろ」
「そしたら?」
「・・・・・そうしたら将来、楽ができるんだよ」
「俺は、今、楽なんだよ」

 私は、おかげさまで大学に行かせてもらってんですがね。

 今じゃ、そんなに珍しくないんですが、当時は円楽師匠のお師匠である円生師匠が私のところにわざわざ来てくださったことがありました。

「ああ、あなたが楽太郎さん?大学行ってんだって?」
「はあ、おかげさまで」
へへ、無駄でげす

・・・・・・・あれは何だったんでしょう?

 
 本編はもちろん、丁稚奉公している息子が初めて薮入りで家に帰ってくるという日の、親父が舞い上がってる様を描く。この辺は、特に楽太郎に新奇な演出はない。

 普段不精な親父が待ちきれなくて、家の前を早朝から掃除したり、愛想で「うちにも顔見せに来ておくれよ」という近所の者に「息子が何てゆうか」など失礼なことを言っておかみさんにたしなめられたり、あれも食わせろ、これも用意しとけとおかみさんに呆れられたり。

 なかなか帰ってこないと怒って、番頭の野郎が意地悪で帰り間際に用事でも言いつけたんじゃないかと勘ぐったり。

 帰ってきて大人びた挨拶に感激して涙で顔が見れなくなるのはお約束の演出だが、やはり感動的。

 


 

 どうも、お退屈さまでした。殴り書きのメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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