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(No264) 平成紅梅亭 TV鑑賞記  その2
          

 平成23年3月31日(木)の放送。

 



笑福亭 三喬 「子盗人」

 いつも通りひょうひょうとした感じで高座に登場。
(客席を見回し)今日は何の噺しょうか考えてましたが、決めました。泥棒の噺、させてもらいます。 

 ちょっと前に強盗事件のニュースがありましてね。73歳くらいのおばあさんのところに強盗が入って、で入った強盗ゆうのも67歳くらいで。
 犯罪も高齢化て思ったんですが、気丈なおばあさんでね。強盗にのしかかられながら、下から強盗を一喝して撃退した、て書いてありました。それだけやったら、ええんですけどね。

 何か追加の話があってね、そのおばあさんがゆうたらしいんです。
「狙いは金か!」

 ・・・・・・・・・・そら、そうですわな。


「あんた!明日の朝まで5円やで!」
「うるさいなぁ。俺らの商売は相手があるやろ。入ったけどおばあさんしかおらんかったんや」
「あほやな。フンドシでも干したぁる、男手のある家やないと稼ぎがあれへんがな。
 何が干したぁったんや?」
「おこし
(腰巻)が3枚」
「ほれ見ぃな!おばんしかおらん証拠やがな」
「いや、おこしだけに、よぉお越し・・・・って」
「あんた、寄席ばっかり行ってるさかい、そんなしょうもない洒落を。
 それより5円や、5円!」
「5円、5円て、何の金やねん」
「節季の払いやがな」
「・・・・節季の払いてなもん、倒したらええやないか」
「そんな人の道に外れること」
「・・・・・・お前、三代続けた盗人の家やないか。何が人の道じゃ。

 5円、5円てご縁がなかったんや。え?これもあかん?
 分かった、分かった。ほな、仕事に行くから、あれ出せ」
「あれて?」
「お前、何年盗人の女房やってんねん。稼ぎに出る時、出せゆうたら、唐草模様の風呂敷やないか」
「わたい、前から思てたんやけど、そんなんいちいち家から持って出んでも、向こうの箪笥の中から1枚もろたら、ええやないの」
「あほ言え!俺らが拝借するのは風呂敷の中味や。風呂敷まで拝借するなんて、人の道に外れる・・・」
「あんたかてゆうてるやないか。もう!わたいの前でばっか大風呂敷広げとらんと、稼ぎ先で大風呂敷を広げなはれ」
「・・・・・・ははぁ、うまいことゆうなぁ。大風呂敷広げて・・・・か。こうゆうのんが言えたらなぁ。わいは、お越しとご縁かぁ・・・」
何、反省してなはんねん
 はよ、行っとぃなはれ!」

 

 この泥棒、寄席通いに凝ってるので、「うまい事」言うことばかり考えている。

「あ〜風当たりがきついなぁ。まぁ、俺らの商売も風当たりが強いからなぁ。・・・・・・・・ん?これ、なかなかええのんちゃうか?」とか
「あかん、寄席に通いすぎて、独り言ゆうのも上下(かみしも)切ってまうわ」など。

 それと、前に高座に上がった噺家のネタを取り上げる。

 鰻巻きを食べながら、
「お、こら沢庵とちゃうわ。ちゃんと鰻巻きや」とか
 燗冷ましを飲みながら、
「こら、うまい。普段飲んでる”犬の盛り”とはえらい違いや」は、「長屋の花見」。

 穴に落ちた泥棒を退治させようと普段喧嘩の腕自慢をしている手伝(てった)いの熊五郎を呼ぶ。
 熊は、惜しいことをした。泥棒がここにおったら、わいがぼこぼこに・・・と大きな事を言うが、「いや、まだ、その穴蔵ん中におんねん」と言われ、
「私、ちょっと家に用事が・・・・」と逃げようとするところは「ふぐ鍋」。

 楽屋落ちが多かったが、よく受けていた。

 

 



橘家 圓蔵 「火焔太鼓」

 やたら笑いながら登場。
 何で笑ってるかとゆうと、お茶がね、おみおつけのお碗に見えましてね。大阪じゃ、高座でおみおつけが出るのかな、て思って。

 他の事考えながらでもね、噺はできるんですが、たまに頭ん中が真っ白になって絶句することもあるんですが。
 まあ、お客さんが、これこれ、こうゆうとこだろ!しっかりやれ!とか教えてくれる。

 まあ、私は今度、いつ大阪に来るか分かりませんからね。今度いつ呼んでもらえるか。
 まあ、何年先に来るか分かりませんが・・・・・・・・必ずおんなじ噺をしますよ。んな、ていねいにやるこたぁない。

 よく、落語を続けてて、誰に感謝しますか、なんてこと訊かれますね。お客様に感謝してますとか、三平に感謝して、とかゆうことがありますが、そんなのはウソです。私はおふくろに感謝しますね。

 噺家になるって言った時、おふくろは「やめんじゃないよ!」と言われました。「お前が噺家になるってのは近所のもんはみんな知ってる。誰も祝ったり、応援なんかしてないよ。いつやめるか待ってんだ。だからやめんじゃない」と言われました。

 

 私らで、年間400席くらい噺をしています。するとね、他のこと考えながらでもやれるんです。そんな毎回力入れてやってらんないですよ。

「外国の猫、飼ってるんだって?」
「チンチラって猫だよ」
「何、食べるの?」
「ごぼうしか食べねぇんだよ」

・・・・・・・これ、前に誰かやりました?

 今日は何やろうかな?(舞台袖に)ネタ帳、あるかな?ネタ帳ってのがありましてね、前の人が演ったのは、避けるんです。

 火焔太鼓・・・・てね。志ん生師匠が有名ですね。私のは他の人と違ってまして。まあ、間違ったらお客さんが教えてくれますからね。

 天才と言えば・・・・談志ですね。いい兄貴なんですけどね。年中、客と喧嘩してる。
 まあ、言ってることは間違いないんです。

 前に談志と志ん朝と毒蝮三太夫と私で飯を食いに行ったことがあって、勘定の時に談志の兄貴が「おい、蝮!おめえが払え!」って言うんですよ。
 毒蝮が「何でだよ。割り勘にしようよ」って言った時に談志の兄貴が言った台詞が凄かったね。

割り勘はみんな不愉快になるんだよ。おめえが払えば、おめえ一人が不愉快になるだけで済むじゃねえか」

 老齢のせいか、入れ歯なのか口跡がモゴモゴしてる。

 「他のことを考えながらでも噺ができる」とか「客が教えてくれる」なんて話が何度も繰り返される。

「あんたが商売をしないから、あたしゃもう三日もおまんまを食べてないんだよ!腹ん中からっぽだ。
 口あけたら、いきなりケツの穴が見えるよ!」
「・・・・・なんてこと、ゆうんだ。それでもおめえは女か」
「女かって、身に覚えがあるだろう!さんざんきずもんにしやがって。

 今頃、火焔太鼓に入りやがったな!ばかやろう!」

 いつも思うことだが、圓蔵は女性の描写が下手すぎる。非常に品がなく、中性的。

 で、唐突に、長過ぎるマクラからようやく本題に入ったことを作中のかみさんが指摘するのだが、かなり本編が始まってしまってからなので、何を今頃?って感じがする。

 で、「あんたは古典落語に新作落語のギャグを入れるから朝日新聞に邪道だなんて書かれるんだよ!」なんて、また作中のかみさんに圓蔵自身を批判させるが、その「新作落語のギャグ」ってのが、「あんたは古いもんじゃ損をしてばかり」っていう例示で「乃木大将の電気バリカン」という新味も何もないものなので、そんなもの批判される価値もないんじゃない?なんて思ってしまう。言い過ぎかな?

 

 


 吉弥と局アナウンサーとの短い対談が入る。

「落語ってねぇ。若い人に受けへんでしょ?やたら長いし。(楽屋の方を伺いながら)え?圓蔵師匠はもう帰った?

 圓蔵師匠も今日、長かったねぇ。なっかなか火焔太鼓に入らへんし。録画のテープ、ぎりぎりやったそうですよ」 

 そして、また楽屋の方を伺いながら
「まあ、私らはみんな落語の定席をつくっていただいた三枝師匠のご恩に感謝してます」とごまをする格好をしながら、ニタリと笑う。

 


 どうも、お退屈さまでした。殴り書きのメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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