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(No251) 立川談春独演会 鑑賞記その1   
          

 平成23年4月30日(土)、京都府立府民ホール アルティで開催された立川談春独演会のメモ。

 



立川 春太 「牛ほめ」


 紺色の高座、白い座布団。談春が出てくるのかと思ったら、若い噺家が出てきた。

 そういえば、ロビーなどで見かけたような気がする。お世話する弟子がついて来てるのかな?と思っていた。

 メガネをかけたまま、高座へ。そしてお辞儀をする時、慌てて外したので、以後、噺の時はメガネなし。 
 
 家を誉めるセリフを父親から口移しで教えてもらう。

 いわゆる愚鈍な「与太郎口調」というか、ぬぼ〜っとした調子で、けっこう正確に繰り返すので、いちいち2回ずつ聞かねばならないのが、煩わしい。

 ボケたのは、「去来の句」を「去年の暮れ」ってとこくらいか?

 権田原の佐平おじさんのところへ家を誉めに行く。

 「ごめんください」から「ごめんなさい」、「かんべんしてください」となって、おじさんが「ばあさんや。誰か表で謝ってるよ」

「小さいな。角もないし」
「そりゃ犬だよ」
「牛は総体ひのき造りでございます」
「違うよ」
「ああ、行儀が悪いね」
「ああ、畜生だからね。勘弁してやっておくれ」
「あの穴はなんだい?」
「あれは牛のお尻の穴だよ」
「目立つね」
「言われてみたら、そうかな」

 柱の節穴と同じく「秋葉さまのお札」を貼れ。穴がふさがり、屁の用心になる・・・というサゲ。

 いかにも、関東の前座・・・・という感じ。

 


立川 談春 


 いよいよ談春、登場。気のせいか疲れた表情に見える。
  去年初めて京都で独演会、演らせてもらいまして。ずいぶん緊張したんですが。
 チケットはよく売れたそうなんです。興行側ってのは、演り手の緊張なんて気にしないんですね。
 去年は1日だけだったのに、今年はいきなり2日興行。


 自分の状況、ポジションってのをつかむのが難しかったんですが、今日、配られてる小冊子を見て分かったね。

 歌手とか、いろんな芸能人が出てるけど、私の横に載ってるのは・・・・・稲川淳二。「もののけ」ページなんですね。
 裏を見たら・・・・美輪明宏。

 

 地震の2週間後くらいに堺で独演会を演ったんですが、前日に大阪入りしました。

 気がついたら久しぶりに朝まで熟睡してました。

 人間の睡眠に「揺れない」ということがどんだけ大事なのか知りましたね。

 私らは世情のアラをつついて飯を食ってるんです。自分の立ち位置ってものをわきまえなきゃいけない。

 ある噺家がね、こんなこと言ったんですよ。
「兄さん、何だねぇ、こんな時は、つくづく思うねぇ」
「何をだよ」
「こうゆう時、俺たちの商売って無力だなあって」

・・・・・・・平時なら力になれるのか!一切の生産を拒否した人生を選択したくせに。

 ぼぉ〜っとしていたらいいんですよ。炭坑のカナリヤ。炭坑の先っちょに鳥かごがあって、中にカナリヤがいてね。ぱたっと死んだら「それ逃げろ!」ってやつ。

 だから、みんなが言えないこと、言っちゃいけないことを言うのが仕事で。
 ・・・・・・でも京都で言って許されるのか?

 今、距離感測ってるんです。・・・・・こんなこと言ってるうちにハードルがどんどん高くなってきてるの、分かってるんですけどね。
 だったらゆうな!ってことになる。

 知識と、生きる知恵は違うなってことです。
 頭いいんですよ、絶対。東京電力の人は。ただ・・・日本語が不自由なんです。
 怒らせようとしてんのか?って思いますね。何なんですか?尊敬語ってゆうのか、謙譲語ってゆうのか。
 こう考えてます。認識してます・・・・でいいでしょ?それが何です?認識してございますって?それが、本気ですからね。

 まあ、総理大臣もいい勝負してますけど。鳩山総理はよく落語を聴いてました。菅総理は落語、聴いてないでしょうね。聴いたって何も得るものはないですけど。

 お前がヘリで行ったからややこしくなったんだよ!バカじゃねえのか?

 偉いのは枝野さんだけですね。そのうち総理大臣になりますよ。まあ、言ってることが分かるって、その一点だけなんですけど。
 立派だ、しっかりしてるとか・・・・・親戚のムコ探してるんじゃない。

 でも、よ〜く聴いてると、よ〜く聴いてるとね、核心には一切触れてませんからね。
 まあ、法廷で、鍛えられてんでしょう。弁護士ってのは凄いね。

 ・・・・・この後があるんです。ふふふふふ。(会場から拍手)拍手したんだからね。シ〜ンとしたら殴るよ

 ずっとどぉしたらいいか、考えてたんです。あの・・・・・国土が・・・・特に東ね。半分なくなったんです。だから奪いに行くべきなんです。

 今、韓国と中国が怖がってる。

 何か、塩がね、放射能に効くとかいう情報がね、伝わってるらしいんです。そんな情報は届くらしい。でね、中国の人が一人で10kgも買っちゃうらしい。
 でも、使い方の情報までは届かない。だから、部屋の四隅に積み上げたりして・・・・陰陽師じゃない!

 狙うのは尖閣と竹島です。
 ・・・・・・・・・今ならやめられます。

 

 漁船で行きます。向こうも漁船で来たからね。日本の国旗、大きいの立てて。大きな釜積んで、湯ぅ沸かして。いっぱい湯気が出ます。

 東京の人に乗ってもらって。お揃いのTシャツ。「フロム 福島」って書いてある。

 逃げますよ。でも、中国や韓国は軍人がいっぱいいますからね。軍人さんが来ます。そしたらね、鍋でほうれん草をゆでて・・・・ぶつけるんです。グリーンボムだぁ!なんて言って。
 ぶつけて効かなかったら・・・・食っちまう。

 白い防護服着てる人も積んで、少しマスクとか外して、苦しむマネとかする。でね、大きな声で言うんです。
「伝染るぞ〜!!!」

 日本人は、おかしくなったって韓国人や中国人は、モンゴルやチベットに逃げちまう。
 その隙にね、上海とか儲かりそうなとこをいただいちまう。で、まず何をやるかってゆうと・・・・・・、そこで原発を建てる。

 韓国や中国も黙ってないですよね。取り返しに来ようとしたら・・・・・やれるもんならやってみろ

・・・・・・・・どうもすみませんでした。

 いくら何でも・・・・と感じた人は、今、拍手してる人にイラッと来てる。

 落語ってのは、筋がね、昔ののんびりした時代ってゆうか、豊かさを失った現代では・・・・どっかで誰かを傷つけるもんで。

 うちの弟子もね、こんな時代に、平気で馬鹿馬鹿しい噺を演りましたから。考えたら、大したもんですよ。「建てるのは半年だけど、燃えりゃ20分」なんて言ったけど、3分で全部流れちゃった人がいっぱいいるんですよ!

 あいつね、口蹄疫で宮崎が大変なことになってチャリティの落語会があった時、平気で「牛ほめ」を演りましたからね。

「シャレか?」って訊いたら、
「はっ?」
「・・・・いや、分かって演ったのか?」
「はっ?」
「・・・・・お前なぁ、ここじゃ、病気でもねえのに、家族のように可愛がっていた牛と別れなきゃならねえんだぞ!そこで演る噺が、『牛ほめ』か!」
「・・・・・・おおぉ〜〜〜!!」

 言わなきゃ分かんない。

 今日は酒飲みの噺をするんですが、憎たらしいのは生酔い本性違(たが)わずってね、酔ってるふりして本音を言ったりする。

 よく言われるように、酔ってますという人は酔ってなくて、酔ってないという人ほど酔ってるもんでして。

「おい、もう帰ろうぜ。おめえもだいぶ酔ってるから」
「俺ぁ酔ってないよぉ〜!酔ってねぇ。そこの二人の女中が四人に見えたら酔ってるけど、二人にしか見えてねえ」
「・・・・・・・一人しかいねえよ」

 

 あんまりベロベロに酔う人って西欧じゃ見ないですね。ありゃ、日本だけなんでしょうか?まあ、西欧でもいるんでしょうけど。
 バーってのは、西欧じゃ社交場ってことで、女の人のいないバーですよ。そこで、珍しくベロベロに酔ってる人がいた。
 そこに、犬を連れたご婦人が入ってきましてね。そうしたら、酔いつぶれたその男が、顔を上げて、

「おい!ブタを連れて入ってくんじゃねぇ!」
「まぁ、失礼な!酔ってるのね。ブタじゃなくて、犬よ!」
俺ぁ、犬に言ってんだ



 さすがに「伝染るぞ〜」はなあ・・・・。「言っちゃいけないことを言う」ってのにはぴったりだが。

 また、会場ではよく受けてたけど、この二つの小噺はけっこうポピュラーなんで、私は笑えなかった。



 どうも、お退屈さまでした。殴り書きのメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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