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(No247) 扇町寄席&日本の話芸 TV鑑賞記   
          

 扇町寄席(再放送。鶴二)は4月3日(日)。話芸(さん喬)は3月8日(火)、同圓歌は1月8日(土)?・・・・・・多分。

 



笑福亭 鶴二 「竹の水仙」


 笑福亭「つるじ」と申します。よく「かくに(角煮)」と間違われますが。

 六代目松鶴の弟子でございまして・・・・・今、頷かれた方は50代以上でして。若い方はご存じない。

 よぉ怖い、怖いて言われるんですが、それほどでもないんですよ。ただ、気は短こぉてね。”いらち”でした。あまり詳しく言わんのです。あの・・・ほれ!とかゆうて、それで分からんと怒るんですな。

 私なんか、至ってカンの悪い弟子で。
 
 師匠がこうやって指を二本出しましてもね、
「へっ?」

(いらっ!とした感じで、再度指を二本突き出す)
「・・・・・・へ?」 
 

 えらい怒られましてね。こうやって二本出したら、タバコに決まってるやないかい!このクサレ弟子!・・・て。それからは、指二本はタバコて覚えました。

 私の兄弟子に松葉というのがおりまして。惜しいことに亡くなりまして、七代目松鶴を追善されたんですが。この松葉は、私と違いまして、弟子の中でも一番気ぃの回る方で、師匠が、この松葉兄さんに「ほい!」て指を二本突き出しはりました。

 そしたら、松葉兄さん、TVのチャンネルをNHK(大阪では2チャンネル)に合わせはった。
 私、びっくりしました。ええ〜!!二本やったらタバコやのに!てドキドキしてたら、師匠「そんでええねん」

 大津の近江屋という宿屋。数日前から泊まっている客をめぐって、おかみさんが主人に文句を言っている。

 その客、汚い服装(なり)のくせに、三度三度大酒をくらい、鯛だの平目だのぜいたくなものを食べる。あれはきっと金を持ってないから先に勘定を取れとけしかける。

 主人は、宿屋は出立の時に支払う決まりだと抗弁するが、あの客は宿帳に名前は桃太郎、行き先は鬼が島、仕事は鬼退治なんて書くとんでもない客だ、もう酒屋だの魚屋に勘定がたまったからと言って取り立てろとおかみさんに押し切られる。

 仕方なく男に請求すると、「何?安いなぁ!・・・・・・・しかし、金はない」

 男に、手立てはある。ノコギリを持って一緒に来いと言われ警戒する主人。
 男は竹を切って、細工して水仙をこしらえた。
 通りかかった細川越中の殿様、家臣にあの水仙を求めよと言いつける。「また、殿の悪い癖が・・・」と機嫌の悪い武骨な家臣、店の主人に水仙の値を聞く。
 「値(あたい)は?」「え?(自分を指差し)あたい?」てなやり取りを経て、主人が男に値を尋ねると、まあ、越中ならまけて200両と。おそるおそる、そう伝えると、「バカを申せ!」と殴られる。

 しかし、それは適正価格だった。実はその男は名匠左甚五郎・・・・・・と、噺の骨格は「抜け雀」と同じ。
 で、左甚五郎が出てくる点は「ねずみ」と同じ。

 竹でこさえた水仙を水をはった桶に入れておくと翌朝、つぼみが花開いて良いかおりが・・・・というのは、竹が水を吸ってふくれて、はじけたように開いたのか?中に仕込んでおいた香りのもとみたいなものが開いたことで香ったのか?などと、あれ、現実にできるかな?と想像できなくもない。
 となると、絵に描いた雀が抜け出て飛び回るという「抜け雀」とか、木でこさえた「ねずみ」が動くって噺の方が、ファンタジーで面白い。

 となると、結局、この「竹の水仙」という噺の存在意義が感じられない。

 



柳家 さん喬 「夢金」


 間もなく解放されますので。

 ケチなお方を六日知らずと言ったりします。一日から五日までは指を握りこんでいくんですが、六日からは指を離さなければいけない。それがイヤだから六日知らず。
  
 
 いわゆるけちん坊は、出したくないという人。
 強欲といわれる人は、他の人のものまで取り込みたいって人のことらしいです。

 ですから、息を吸うのはいいが、吐くのはいやだって人はただのけちん坊なんですが、強欲な人は他の人の息まで吸い込もうとする。


 積もる雪のように、あまり強欲だと自分の姿まで見失ってしまうことが多いようで・・・。

 

 居眠りの寝言にまで「百両欲しいよぉ〜 百五十両欲しい」とわめく強欲な船頭の熊。

 船宿の主人が「いい加減にしろ!」と怒鳴ると「・・・・五十両でいい」「夢で値切ってやがら!」と呆れられる熊。

 金勘定をしてると思われたら強盗が・・・と主人が心配していると、表の戸を叩く音。「先の質屋なら金が・・・」とよそへ回そうとしたが、侍が「妹連れだが、雪で難渋しているので船を仕立ててくれ」と請う。
 主人は船頭が酒手をねだる熊しかいないのでやんわり断るのだが、「骨折り駄賃は充分とらせる」と強引に熊の船に乗り込んでしまう。

 最初は、何でこんな雪の夜に・・・と渋っていた熊は疝気で、とても・・・と言っていたが、「骨折り駄賃が疝気の何よりの薬で」と転んだ。
 提灯の火が暗ければケツを叩くと明るくなりますと心遣いを見せたり、「♪亭主を兄と言う〜♪」という皮肉な歌を歌ったり、船をゆすぶってみたり、あの手この手で、チップの催促をする熊。

 「わからねえ野郎だな!」とあけすけな熊のイヤミにもとぼけていた浪人者は、実はあの女は大店(おおだな)の娘で使用人と不義をし、店の金を持ち出して出奔したのだがシャクの発作で動けなくなったところに通りがかり連れてきた、殺して金を奪おうと持ちかける。

 熊は「俺は確かに金が欲しい。むやみに、ただ、ひたすら金が欲しいんだが、いくら分け前をくれるんだ」と交渉する。

 「そうだな。二両ばかりも渡そうか」と言った浪人者に「笠の台(=首)が飛ぶような話を持ちかけて四分六、折半ならまだしも、よくも二両なんぞ言いやがったな。この上は、船を引っくり返して・・・」と言い返した熊。侍の顔色が変わったのに目をつけ、「さてはおめえ、泳げねぇな?」とかさにかかって責めたててる。

 侍は「声が震えながらも交渉する強欲さは立派なもんだ。では、いくらにせよ、折半でよいな?」と念を押し、刀を抜こうとする。

 熊は、こんな船の中でやられちゃあ血糊が落ちない、中洲につけるから、先に降りといてくれ、娘を後から降ろすから、そこでやれ(殺れ、斬れ)。そうすりゃあ死骸も波で運ばれて、分かりゃあしない・・・と侍に先に中州に降りるように勧める。

 心得た!と袴の股立ちを上げ、中州に降り立った侍。一方、船頭の熊は、侍を降ろした反動も利用し、一心に船を漕ぎ出す。

 「馬鹿野郎!娘さんを斬った後に、どうせ俺も口封じで斬るつもりだったんだろうが、そうはいくか!」と、「返せ!戻せ!」と叫ぶ侍を尻目に船宿に戻った熊。
 娘さんの親元から「これはお礼に・・・・」と金の包みを託された。
 それを確かめ「ひゃ、百両・・・・・」

 と、階下の船宿の主人が、「熊の野郎、また、夢みてやがら」

 結局、この武勇伝、そしてご褒美で大枚の金子をいただいたのも全部夢だった・・・という夢オチの噺。

 さん喬は、淡々と演じていたと思う。

 



三遊亭 圓歌 「品川心中」


 圓歌も、私は、昔「山のあな、あな・・・・・あなた、もう寝ましょうよ」なんて言っていた「歌奴」が、ずいぶん最近は大物になっているんだなぁという感覚しかなかったのだが、現在はすごい重鎮のようだ。

 
 
 「『品川心中』てのは、おじさん扱いの彦六師匠と上下に分けて演(や)らせてもらったことがあるんですが、彦六が品川の「おさめ」と言ってしまいましてね。

 でも、そりゃ「おそめ」なんです。

 落語の上下で、名前が変わっちまう。仕方なくおそめで演りましてね。貸し本屋の・・・」なんて内幕噺がマクラであった。

 「品川心中」という、いわゆる大ネタである。
 品川宿の女郎の板頭(いたがしら。吉原で言う「お職」。看板のトップという意味で、いわゆるNo1のこと)のお染だが、栄枯盛衰で、これまでトップを極めたが、若い新興勢力に押されている。
 衣替えの時期には、贔屓衆から派手に祝ってもらうのが常だが、最近ではそれもままならない。とは言え、トップを張った立場上、みっともないこともできず・・・と悩み、惨めな姿をさらすくらいなら、誰かと心中の浮き名を流そうと相手を探す。
 ○○は、最近所帯を持ったばかりで気の毒だ、△△は、いい人だし・・・などとふるいにかけて、結局、貸し本屋の金蔵という男に白羽の矢が立った。要は、金蔵が死んでも別に大した影響はないだろうという判断である。 

 

 これから死ぬ・・・てぇのに、「剃刀傷は治りにくい」なんて言ってしまい、お染から「真心」を疑われる金蔵。

 金蔵はバカ正直に品川の海に身を投げたが、お染は、「これまで贔屓にしてくれていた旦那が、あなたの手紙にほだされて、○○両を・・・・」と後を追ってきた店の者から事態の好転を告げられ、さっさと帰ってしまう。

 飛び込んだものの、思いもかけず浅瀬だった。濡れ鼠になったが、命は無事。世話になった兄貴分のところへ顔を出した金蔵。

 兄貴分の家では、人目をはばかってバクチをしていた。金蔵の姿に最初は手入れか、そして化けて出たかと大騒ぎになる。慌てたある男は、漬物樽で股間を強打し、「俺はもうダメだ。○○が身体から離れちまった」と嘆くが、「ああ、○○だと思ったら、なすの古漬けだった」とボケる場も。

・・・・・・・・・・飄々とした感じの「品川心中」。

 
 



 どうも、お退屈さまでした。殴り書きのメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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