移動メニューにジャンプ

(No241) 日本の話芸&上方演芸ホール&扇町寄席 TV鑑賞記   
          

 話芸(ざこば)は平成23年2月15日(火)、上方(米紫&出丸)は27日(日)深夜、扇町(千朝)は3月6日(日)の放映分。・・・・・・多分。

 



桂 ざこば 「肝つぶし」


 一番弟子である塩鯛(元の都丸)の弟子入り当時の話がマクラ。
 
 33年か、34年前でしたか。都丸が弟子入りに来ましてね。私、15年目でまだ30歳でした。

 おかしいでしょ。まだ、私も一人前になってへんねんから。何で師匠の米朝とこに行かへんかってんて訊いたら、行ったけど、今、弟子が二人おるからゆうて断られた、て。・・・・・・私、ムッとしましてね。
 ほな、一番弟子の枝雀兄ちゃんとこに行ったらええやないか、ゆうたら、行ったけど、今、雀々ゆう弟子を取ったとこやから、ゆうて断られたて。ほんで、枝雀兄ちゃんに、朝丸とこへ行け言われて、来たらしいんです。
 そん時「ええ?朝丸?」ゆうたらしい。

 もう、頭きてね。分かった。俺が米朝師匠とこ行って、君を弟子に取るよう頼んだるゆうて連れて行きました。

 せやけど、やっぱり米朝師匠は自分とこでは弟子に取れんて言わはってね。そしたら、都丸が「ちぇっ!」て舌打ちしよった。今度は、わたい、真横で聞いてたからね。「いやな奴やなぁ」て。

 師匠、わたいに「朝丸。お前は頼んない人間やけど、ちゃんと都丸をいろんなとこへあいさつ回りに連れてくんやで」て言わはった。

 ほんで、都丸に「心配せえでも、落語はちゃんと私が教えたげる」

 そしたら、都丸「良かったぁ」(と、ざこば、悔しさのあまり、両手で涙をぬぐう。吉本新喜劇の池乃めだか師匠の芸のようだ) 

 まあ、おかげさんで都丸も塩鯛ゆう名を襲名させてもらいまして、先日も、ある方が塩鯛の高座を聴いて私にこう言いはりました。
「ざこばさん、抜かれましたな」

 私は、心から喜んでます。本当ですよ。私が20年前、米朝を抜いた時も、きっと米朝は・・・・(会場、大爆笑なので)何がおかしいんでんねん?

 この噺は、大恩ある人の息子の病気を助けるため、可愛い妹の生き胆をえぐらねばならなくなった男の苦悩。

 可愛い妹に包丁を突き立てるなんて、できよう筈がない。これが、嫁はんやったら、ぷつ!ぷつ!ぷつ!ぷつ!(と、派手に突き立てる)

 ・・・・・・などと言って、いつもの「嫁はん不仲ネタ」で笑いをとっていた。

 



桂 米紫 「おごろもち盗人」


 何か、聴き始めると妙にネタがかぶるというか、いろんな噺家で「おごろもち盗人」を聴いている。 
 
 やはり、松喬は貫禄で一日・・・というか相当の長があるようだ。

 米紫は、そろばんをいれる時の「ちょっ!ちょっ!」という音を口真似するところで、妙に拍手をもらうことを意識しているのか、強調しすぎな感じがする。

 松喬は実に自然な音だったのが、米紫の場合、変に浮いてしまっていた。

 あと、何か力みすぎというか、例えば、寝転んだ状態の盗人の形のままで、次の台詞に移ってしまうので、寝そべった状態で主人が「かか!」と言ってる感じになって流れがおかしくなってしまっていた。

 



桂 出丸 「二人癖」


 言葉の癖をお互いに直し合おう。1円の罰金付きで・・・という噺。
 
 片や「詰まらん、詰まらん」が口癖。もう片方は「こら呑める」が口癖。

 どちらかと言うと「呑める」君の方が攻撃的というか、積極的に攻めるのだが返り討ちにあう。

 知恵をつけてもらって、「小さい樽に大根百本詰まろかな?」、「そら詰まらん」といく筈が直前に気づかれ「入りきらん」とかわされる。逆に「かか、羽織出せ。兄貴とこのの新築祝いや」「おっ!そら呑めるな」と1円取られる。 

 
 今度は詰まりそうで詰まらん詰め将棋でみごと「詰まらん」と言わせるが、「こら、見事にやられた。倍の2円やるわ」「ありがたい。一杯呑めるわ」「それで差し引きや」がサゲ。

・・・・・・・申し訳ないが、特に印象というか、特筆すべき点なし。



桂 千朝 「肝つぶし」


 いつも通りのねっちょり、ねっちょりしたしゃべりぶり。 

 この頃のカップルは平気で人前で毛づくろいみたいなことをする・・・てなマクラから、恋患いで寝込んでいる吉松を見舞いに・・・という本編へ。
 
 その口調が、ぼぉ〜っとした「よしま」(吉松)には合っている。

 さらしを7尺(六尺ふんどしと布巾)買いに行ったが、番頭が着物を買っている上得意にかかりきりでほったらかし。少し催促したら「わずかさらし7尺ばかりで・・・」とバカにする。

 それを店のお嬢さんが叱りつけ、すぐに大いにおまけしてさらしを測ってくれ、しかも反物を差し出し、これでお詫びの印に着物を・・・という申し入れ。出来上がったらお届けしますと住所を訊かれたが、その日の夜中に、そのお嬢さんが汚い長屋に訪ねてくる。 

 叱った一件以来、番頭が根にもち、私に無理な縁談を持ち出し、ついに、仮祝言を・・・・と強要する。母親も、父親を亡くし、商売は番頭が切り盛りをしているので強い態度に出られない。
 逃げ出してきたので、今晩泊めてくれ、かくまってくれ。吉松は断ったがお嬢さんは強引に布団の中へ。すると番頭の手の者がやって来て、いやがるお嬢さんを強引に連れ去ってしまった。
 わしに、腕に覚えがあったなら・・・と情けなさに悔し涙を流したところで目が覚めた・・・・というところで「何や、夢かい!」とがっくりする主人公。

 よくよく聞くと、連れ去られたとこだけでなく、最初の呉服屋へ行ったところからすべて夢。このような夢の中の女への恋患いは、年月揃った女(例えば辰年の辰の月の辰の日の辰の刻に生まれた女)の生き胆を服まんと治らんらしい。

 妹お花は実は年月揃ぉた女だった。「よしま」には何の恩義もないが、幼い兄と妹が両親を亡くした時、実の子同様に育ててくれたのが吉松の父。何の恩返しもできないまま、吉松の父は死んだため、ここは吉松に報いねばならない。
 寝付いたお花に包丁を突き立てようとするが、肉親の情。思わず落涙し、それでお花が目を覚まして驚く。慌てて芝居の稽古とごまかすが、お花は「肝をつぶしたわいな」。

 「なに?肝をつぶした。それでは薬にならん」というのがサゲ。

 それでは薬にならんというのを「ああ、これで殺さんで済む」と安心した風に言うのが、人の情というところだろうな。

 


 

 どうも、お退屈さまでした。殴り書きのメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

inserted by FC2 system