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(No240) 笑ろう亭あさひ寄席 鑑賞記 その3  
          

 平成23年2月19日(土)、旭区民センター小ホールにて・・・・の続き。

 



桂 文也 「高津の富」


 初めて聴いた噺家さん。
 
 せっかく最初の3人がとちったとゆうのに、春蝶君がその流れを止めてしまいました。

 楽屋に帰ってきた時に「空気の読めん奴っちゃ!」とゆうたら、「人生、とちってますから」てゆうてました。

 こちらに出していただくのは初めてでございまして。ここへ出るのが長年の夢でした。

 もうしばらくの我慢ですので、おつきあい願います。 

 こちら見てますと、なかなか平均年齢がお高い・・・・・いえ、悪いゆうてるんとちゃいまっせ。なかなかゆとりがありそうな。
 どうしても、落語ブームゆうてもご年配の方が多いんです。天満天神繁昌亭の昼席などもお客さん、平均年齢が高
(たこ)うございます。

 わたし、落語界の将来のこと考えて、日頃からアンケート調査やってまして。こないだ、繁昌亭に女子高生か・・・女子大生のような方がいらっしゃいましてね。その方に「いかがでしたか?落語、面白かったですか?」と訊いたら、一言「微妙!」

 ・・・・・・・・確かに微妙な芸では、あるんですけどね。ワンセンテンスゆうのは、どうか、と。でも、まあ落ち込んでてもしゃあないので、気を取り直して「また来てちょうだいね」てゆうたら、「無理!」

 上方の噺家ゆうのは戦後、四天王、米朝、松鶴、春團治、小文枝ゆうてた頃は、ずいぶん個体数が少のうございまして絶滅寸前でした。しかしながら、最近は増えてきましてね。保護行政とってる訳ではないんですが。増えすぎでね。間引かな、あかん

 私、これでもキャリアが38年でして。入門当時、私、上から数えて50番目でした。先日、あらためて数えてみたら・・・・・35番目でした。38年で15人しか死んでない勘定でして。死なない業界なんですな。ちょっとほかとはスピードが違う。

 噺家ゆうのは、確かに激しく体力を使うゆう訳ではないんですが、大きな声を出すゆうのは、なかなかええ運動になります。それで頭は使います。適度な運動と脳トレで長生きする訳で。

 今日の噺は、富くじ、つまり宝くじの噺でして。(両手を合わせて、激しく祈りながら)「神様!お願いですから・・・・」

 と、春若のジョークを繰り返そうとして、客席や楽屋袖に「え?やった?」と確かめる。

 これは、もちろんうっかりミスで春若と同じジョークをやりそうになったのではなく、あくまで計算されたギャグである。

 「高津神社で富くじをやっていたというのは史実でございまして、おかみが正式に認めていたのは、後、東京の方の湯島天神ぐらいしかなかったそうです」といううんちくを披露。

 泊まりに来た客は身なりはみすぼらしいが、「わずか2万両ばかりの取引にわざわざわしが出てこんでええんやが、大坂見物がてら出てきた」とか「故郷(くに)では物持ちとか、金持ちとか言われてる」などと自慢。
 枝雀師匠では「ほぉ〜っ、ほぉ〜っ、ほぉ〜っ」と1回ずつ引き伸ばして笑うのだが、文也は「ふっふっ〜、ふっふっ〜」と2回ずつ小刻みに笑う。
 いつもながら、私は「枝雀スタンダード」なんで、ちょい違和感を覚える。


 で、決定的だったのは、春蝶が「とちり」の連鎖反応を断ち切ってしまったのをみごと引き戻した点。

 「一番富やのぉて二番富の五百両がわいに当たりまんねん」という松っちゃんという男が出てくるのだが、この男が自分のくじを「虎(寅?)の851番」と言う。
 あれ?と思ったのだが、その後、抽選の時、その男が「たっちゃろう!(龍(辰?)だろう!)と声をかける。

 千両富が「子の1365番」、二番が「辰の857番」、三番が「寅の1050番」。干支頭(えとがしら)に竜虎・・・・・・というのが決まり台詞。
 しかし、最初に自分のを寅と言ったのに、後で「辰やろう!」と言うから、場内がおかしな空気になった。 

 なお、二番くじのところでは、「いち番か〜?」「ひち(7)番!」というギャグがある。ただし、『桂米朝コレクション(4)』ちくま文庫でも『桂枝雀爆笑コレクション(3)』ちくま文庫でも、松っちゃんが持っていたのが85「7」番で、当たりが85「1」番で演じる。
 それから、三番くじの当たり番も両書では「1040」番であった。

 もっとも、番号なんて別にどっちでも、本人の好きなようにやればいいと思うし、二番くじが寅でも別にいいのだが、それなら最後まで二番が寅で三番が辰・・・・なり、統一してほしかった。
 内心動揺していたのか、どうも番号が三番くじにしても安定していなかった(繰り返すたびに違っていた)ように思う。

 いずれにせよ、非常に珍しい体験ができたと思う。

 

 


 

 どうも、お退屈さまでした。殴り書きのメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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