移動メニューにジャンプ

(No238) 笑ろう亭あさひ寄席 鑑賞記 その1  
          

 平成23年2月19日(土)、旭区民センター小ホールにて。お代は800円也。

 



笑福亭 呂竹 「牛ほめ」


 髪の毛は極端に短い。会場でもらったパンフでは、プロフィール欄の自己コメントに「よくムキ卵といわれますが、卵はあまり好きではありません」とあった。

 冒頭のあいさつで「笑福亭呂竹(ろちく)といいます。どうぞ、よロチクとしゃれていた。
 先日の二乗もそうだが、きっと毎回言ってるのだろう。まあ、名前を覚えてもらうには良いことだ。
 
 「繁昌亭では持ち時間が10分。松竹芸能の仕事では7分ということもある。1日の労働時間が7分ですよ。若いのに。
 仕事は楽やけど、生活は苦しい
とも。

「おまはんにちょっとした銭儲けを。源蔵町で・・・」と始めて、
「すいません。うっかり間違えました。今から真剣にやります」と言った。

 ぶらぶらしてる若い者に小遣い稼ぎで職を世話する噺は「道具屋」などもそうだが、源蔵町といえば「米揚げ笊」(こめあげいかき)であろう。

 「牛ほめ」なのに、うっかり「米揚げ笊」でスタートしてしまったようだ。

 先日の二乗の「普請ほめ」では池田の叔父さんは、「焼けたら一晩」には怒らなかったが、「木の鼻で首くくれる」で怒った。
 今日の叔父は「焼けたら一晩」で早速怒る。拳骨振り上げ追いかけるので慌てて逃げたら玄関先ででぼちんを打つ。
「そないゲンくそ(縁起)悪いことゆうさかい、早速バチが当たったんじゃ」と毒づく叔父に、「バチやのうて、入り口が狭いさかい打ったんじゃ。こない狭いと後々難儀するぞ」と言い返す。
 その理由を訊ねる叔父に「叔父(おっ)さんの葬礼(そうれん)の時、棺桶が出にくいとえげつない返し。

 むっ!と来たが叔父さん、大戸(おおど)のカンヌキ外して、大きく開け放ち、「どうじゃ、これでも出にくいか!」と勝ち誇ったようにミエを切ると、「叔父さんだけやのぉて、おばはんのんと2つ並んで出れるわ」


 家のついでに牛も誉めてこいと言われ「牛ほめは前にやって懲りてるねん。牛は色が黒ぉて骨太いのんがええて聞いたから、うっかりお茶出してくれた向こうの娘さんに『叔父さんとこの娘さんもええ娘に育ったな。色が黒ぉて骨太い』とゆうてしもた。娘さん、茶ぁ放り投げて泣き出すし、叔父さん、拳骨振り上げて怒るし、わいはそれ見て笑うし、上戸が3人(泣き上戸、怒り上戸、笑い上戸)揃てしもたという言い回しが面白い。

 札を貼る知恵を見せ「こら、ええこと教えてもろた。おおきに、おおきに」とおじぎをする叔父さんに「おおきに、はどうでもええ。心を示せ」と催促。


 サゲは粗相をした牛の尻に「秋葉はんのお札を貼っときなはれ」のみ。「穴が隠れるうえに屁(火)の用心になります」というつまんないサゲより、よっぽど良いと思う。

 スタートこそつまづいたが、後はなかなか良かったと思う。

 


 

桂 阿か枝 「錦明竹」


「名前が”阿か枝”なだけに、明石出身で、今日も神戸から通てきました。千林大宮の駅でね、帰りの切符を先に買うとこと思て、運賃表見上げてたら、大阪のおばちゃんは親切ですねぇ。

 全く知らんおばちゃんが近寄ってきて『これ使い』ゆうてフリーチケットくらはった。・・・・・・それだけです。別にオチはありません。事実を淡々としゃべってるだけです」というマクラで始めた。

 最近、土日に600円で1日地下鉄乗り放題のフリーチケットを売っている。実は私もその日買っていた。

 その阿か枝にチケットをくれたおばちゃんは、「私はもう乗らへんけど、まだ今日いっぱいは乗れるから、これから買うんやったら・・・」ということだったのだろう。気持ちは分かる。

 続くマクラは、学校落語で児童生徒に聴かせる前の先生の解説が余計だ・・・という話。

 小学校で「皆さんも休憩時間に友だち同士で他愛無い話をしたりするでしょう?落語というのは、そんな話をお金を取ってすることです」

・・・・・・・・私らは、休憩時間と同じかい!

 中学で別のパターンもあったらしい。

「校長先生が、『落語とは300年の歴史を持つ伝統芸能で、社会知識や社会生活の機微を学ぶことができます。今日の落語を、明日からの人生に役立ててください』 

・・・・・・そない、大層なもんやない

 水をまかずに表を掃いて旦那に怒られた定吉が、二階の掃除をする時に座敷に水をまいて叱られたりする。

 前半部では、見知らぬ人に傘を貸してしまい、主人から「あいにくの長雨で、骨は骨、紙は紙とバラバラになってしもて・・・・焚き付けにでもしようと仕舞(しも)てます」と断れと教えられる。

 次に、ネズミ退治に猫を貸してくれと言われ、「骨は骨、皮は皮とバラバラになってしもたんで、焚き付けにでもしよ思て」と言ってしまう。

 猫の断り方は「野良が一匹おりましたが、こないだからサカリがつきまして、飛び出したきり帰ってきません。こないだ三日ぶりに戻ってきたか思たら、どこぞでごみ箱でもあさって、腐った海老のアラでも食うたとみえて、毛ぇが抜け、腰も抜けたんで、奥でマタタビなめさせて寝せてます」と教えられる。


 十七屋という道具屋が主人に「目利きしてくれ」と頼みに来る。当然ここは主人にサカリがついた・・・・としなければいけないのに、「こないだの長雨で骨は骨、紙は紙・・・・」と言ってしまう。痛恨の失敗。

 

 後半は旦那の留守中に仲買人の弥市という男がやって来て、べらべら早口でまくし立てるのを、定吉もおかみさんも聞き取れないというくすぐり。
 例えが古くて申し訳ないが、夢路いとし・喜味こいし師匠の兄であるいとしさんが「グリコがっちり買いまショー」という番組で、早口で「10万円、7万円、5万円」と言いながら口の周りを小刻みに動かすという定番のギャグがあった。
 弥市の口上で、同じようにスピードが乗ってくると阿か枝も、小刻みに動かすギャグを入れていた。

 江戸落語では、聞き慣れない上方弁と早口と、知識のない古道具の専門用語という三重苦(与太郎が側でげらげら笑ってるという四重苦もあり)で聞き取れないのも自然なのだが、上方落語ではややつらいか。

 サゲは、「どこかまともに聞いたとこはないんか?」「弥市は死んだ!」「ええ?」「買わずに飛び込んだ」。

 弥市の口上の中に「古池や 蛙(かわず)飛び込む 水の音」の一節があったのだ。

 呂竹は冒頭だったが、阿か枝は「さあ、これから・・・・」ってとこでのミスだっただけに最後まで引きずっちゃった感じ。

 

 


 

 どうも、お退屈さまでした。殴り書きのメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

inserted by FC2 system