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(No225) 新春蔵出し!丸ごと立川談志 TV鑑賞記 その1
一昨年、2009年の正月にやってた番組だが、長いこと観てなかった。
立川 談志 「やかん」
まずは延々とマクラ。
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失業率ってのは何なのかねぇ。職安行った奴がね、
「仕事探してるんです。子ども14人もいるもんで」
「・・・他にできる仕事は?」
最近、勇気あることしたんだ。新聞、やめた。なもの、合ってるのは日付だけだからね。
酒や煙草は・・・やめない。酒が人間をダメにすんじゃないんだ。人間はダメなのを再確認するのが酒なんだ。
「この肉ぁ硬いね」
「並ですからね」
「ふ〜ん。じゃあ、上だと柔らかいのかい?」
「いや、肉は同じなんですがね。よく切れるナイフがついてんですよ」
電車ん中で化粧してる女ぁ腹立つね。ああいう奴ぁ、そのうち、電車ん中でタンポン取り替えるよ。 |
「こんにちは」
「ああ、八っつぁんかい。おあがりよ」
「今日は、ご隠居にちょっと訊きたいことがありましてね」
「ああ、いいよ。訊くは一時の恥。訊かぬはマッタケの恥てぇからね」
「そりゃ末代じゃないんですか」
「言葉を変えるのをウィットってゆうんだよ」
「ああ、そうですか。でも、面白くありませんね」
「そりゃ、ウイットの失敗てんだよ。
一意専心・・・・一瀉千里・・・一路邁進・・・一路真輝(元宝塚のスター)・・・」
「何です、それ」
「いや、ボキャブラリの多いとこ、分かってもらおうと思って」
「一番大きい動物って何です?」
「何だ、試しに来たのか?そりゃ象だろ」
「ええ?もっと大きな動物いませんか?」
「いるよ。大きな象だ」
「もっと大きいのは?」
「もっと大きな象だよ!思考ストップだよ」
「鯨の方が大きいんじゃないですか」
「あら、魚じゃねえか。ランチュウに似てる」
「哺乳類でしょ?」
「哺乳類ってのは牛とか馬じゃねぇか。え?牛が潮吹くか?
でぇいち漁業で扱ってるじゃねぇか」
「雷ってのは電気だそうですね」
「何でだよ。なもの、雷は電気のねぇ時分、ランプやローソクの頃からあったんだぞ」
「人間てな偉いそうですね。万物の霊長とか言って」
「そうかねぇ?動物の方が偉いよ。余計なことしないもん。不精なんだな。
おめえ、鳥は何で飛ぶんだ?」
「羽があるからでしょ」
「何で羽があるんだ」
「飛ぶためですよ」
「そうゆうことだよ。とりあえず飛んだんだ」
「キリンは何で首ぃ伸ばしてるんです?」
「伸ばしちゃったんだよ。魚か鳥か迷ってる奴ぁいけないんだよ。民社党みたいなもんで。そうゆう奴がトビウオになる。
エスキモーに冷蔵庫売った奴がいるらしいね。決めちゃったんだよ。そうプログラミングされてるの」
「プログラムって何です?」
「独演会でくれるじゃねえか」
「じゃあ、走って、泳いで、飛んだら・・」
「プロデューサーがいてね。陸海空はダメって。
パパイヤの肉しか食わないってのは死ぬんだ。俺ぁペンギン鳥でいいって奴は生き残るんだよ。
人間なんてろくでもないよ」
「でも人間は知恵があるでしょ?」
「知恵じゃないよ。好奇心だけだね。好奇心を止めるのは恐怖心だけだよ」
「雨は何で降るんです?」
「天気が悪くなったら降るんだよ。雲があっち行ったり、こっち行ったりするだろ?雲がこぉフワ〜っと集まったら、こう、風神がフェ〜っと吹くってぇと、雨がパラパラって」
「聞いてると全部感嘆詞ですね」
「いいんだよ、それで。おめえ、やってる時、ああ、快感がペニスから脊髄へ・・・・なんてゆうか?ああん!それでいいんだよ」
「それで降るんですか?」
「現に降ったじゃねえか」
「地球は丸いそうですね」
「バカゆうな。お使いだってまっつぐ行って帰れるじゃねえか。第一、丸かったら下の奴ぁ落っこちる」
「だから引力が・・・」
「引力ってどこにあんの?バカじゃない?」
「地球儀は丸いですよ」
「おめえは文房具屋で売ってるようなもんを信じてるのか?」
「太陽の周りを地球が回ってるそうですね」
「またそんなバカなことを言ってんのか?だいたい太陽ってのもバカなんだ。昼間出たってしょうがないじゃねぇか。明るいのに。
日がのぼる、日が沈むってゆうだろ。じゃ、向こうが動いてるって証拠じゃないか」
「海は何で広いんです?」
「狭いと池になるからだよ」
「池は何で池ってゆうんですか?」
「周りに池田さんだの小池さんがいるからだよ」
「じゃあ沼は?」
「沼田さんや大沼さんがいるんだよ」
「沼と湖はどう違うんですか?」
「気持ちいいのが湖で、気持ち悪いのが沼なんだよ」
「そんなんでいいんですか?」
「どこが悪いの?」
「海はなぜ塩辛いんですか?」
「シャケがいるからだって何で分からないかなぁ」
「シャケは、何でシャケってゆうんです?」
「シャケは寒いとこにいるんだよ。だからしゃっけぇ」
「ホッケは?」
「ほっけぇどうにいるからだよ」
「ニシンは?」
「西んの方にいるからだ。『北北西に進路を取れ』って知らない?エバ・マリー・セイントと・・・」
「それでいいの?」
「どこが悪いの?」
「コチは?」
「こっちにいるからだよ」
「あっちにいる奴は?」
「向こうにいるのは関係ないんだよ。」
「鯛は?」
「隊をなしてるだろ」
「へえ。じゃあ、先頭を泳いでるのがタイ長?」
「そうだよ」
「その後をついてるのが兵タイで、はぐれてるのが愚連タイ?」
「だいぶ分かってきたじゃねえか」
「ブリは?」
「ブリブリしてるからだよ」
「ぷりぷりじゃないの?」
「じゃあ、お前だけプリって呼べよ!それでおめえがどう呼ばれるかは別問題だけど」
「シャコは?」
「自分で考えろよ!車エビが入ってくんだよ」
「ウナギは?」
「急に変わったね。パパラスマンボ!ウッ!てね。ペリー・コモ知らねぇ奴ぁだめだ」
「何でウナギを焼いた奴は蒲焼ってゆうんですか?」
「あら、バカな魚でバカ焼き」
「じゃあ何でカバ焼きって?」
「ひっくり返さねぇと焦げるだろ」
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とんでもないハイテンポのやり取りの末に、いよいよサゲへ。 |
「勝利の宴で安堵感に浸ってるとこ襲われてな。かぶろうにも兜がねえんだ。で、仕方なく水沸かしを・・」
「湯沸かしじゃねえんですか?」
「湯ぅ沸かしてどうする。水を沸かして湯にするんだろ?
その水沸かしをかぶったところに矢が当たって、カァ〜ンって」
「ここへ来るんですか。円歌と変わらねぇ。
修羅場聞くとは思わなかったな。やかん頭・・・。何人の名前・・・寿限無といい勝負だよ」
「蓋は口にくわえて。注ぎ口は耳で聞くために開いてる」
「何で片っぽだけだの?」
「片方は寝る方だ」
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さかんに首を傾げながら高座を下りる。
納得してない感じ。
『談志の落語(一)』(静山社文庫)では「引っくり返す」云々でサゲになっていて、以前は「矢に当たって」とか「注ぎ口」まで演っていたとあった。
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どうも、お退屈さまでした。殴り書きのメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。
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