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(No223) NHK 新人演芸大賞〜落語部門〜 TV鑑賞記 その1
平成22年11月6日(日)放映のいわゆる新人落語家コンクール。
笑福亭 由瓶 「阿弥陀池」
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持ち時間の制約があるので、マクラは無理だし、再構成が必要。由瓶は、ずばっ!と甚兵衛さんの謎解きのところから入った。 |
「で、その阿弥陀が行けて、何だんねん?」
「そやから阿弥陀が池に強盗が入って、誰が行けゆうたんや?へえ、阿弥陀が行けて言いました・・・・・・・でや、この洒落。笑い」
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笑い・・・・・と甚兵衛さんがすすめるところでは、両手を左右に広げる。
心臓を心ネコと間違えるところでも両手を広げて「ニャ〜」。心「象」では「ぱぉ〜ん!」とやかましい。
「体をかわす」のところで「かわすもんちゅうたら何や」「口づけか?」「そう!ぶっちゅ〜!!」と大げさ。
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あてが外れて驚くところでは、これまた大げさに座布団から外れんばかりの勢いで斜め後ろへのけぞる。
「頼む、ウソやゆうてくれ」「うっそでぇ〜す」とゆうところも両手を広げる。ここは、(とゆうか噺全体が)前に聴いた雀五郎とほぼ同じなのだが、雀五郎の方が所作は抑え目。
だから、最後にぶわぁ〜っと両手を広げて「うっそでぇ〜っす」と雀五郎が言うと場内がどっと沸いた。
由瓶の場合は翼を広げっぱなしなんで、当然最後もそうゆう所作をするだろうと思っていた。だから爆発感というものがない。
「熱演」としか評価しようがないが、空回りに終っていた。 |
春風亭 一之輔 「初天神」
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出番前のインタビューでは「とにかく落ち着いて演りたい。だから寄席でも一番落ち着いて演れるネタを選びました」と言っていた。
一之輔も「演る前に・・・・・まず汗を拭かせていただきます」と言って舞台の上を手拭いで拭いた。
もちろん自分の前の由瓶の「汗」をかいての熱演を皮肉っている。
過去のコンクールで古今亭菊六って噺家も、前の桂よね吉の「七段目」(芝居道楽)を皮肉って「あたしの方は、あんなドタンバタンはありませんので、ご安心ください」と皮肉ったことがあった。
あっしらは粋な江戸の噺家だ。上方のぜいろくどもの噺みたいに大仰なヤボじゃねえ・・・って思ってるんじゃないかと、ついついヒガミ意識かもしれないが、そう感じてしまう。
一之輔も、少しだけマクラを振った上で、本編は、導入部をズバッ!とカットしていた。 |
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私にも子供がいるんですが、今日も大変でした。
「どこ行くの!連れてけ!」
「いや。NHKで新人コンクールがあるんで、今日は勘弁してください」
「ふ〜ん。優勝しなきゃ、帰ってこなくていいからね」
えらいことになってまして。どうぞ、私を帰らせてください。
「嬉しいな。おとっつぁんと一緒に出かけられるなんて。おとっつぁんと一緒に出かけるのが嬉しいってのは、あたいが、おとっつぁんが大好きだからだよ」
「・・・・・そうかぁ?俺ぁそれほどでもないけどな」 |
「そんなことゆうけどね。かくばかり偽り多き世の中に子のかわいさは真なりけりってゆうよ」
「うるせぇ!んなこたぁ親がゆうんだ。川ん中放り込むぞ」
「いいよ。あたい、この頃泳ぎが達者になったから」
「川にゃ河童がいて、引きずり込むぞ」
「河童なんて想像上の生き物だよ。あらぁ水木しげるがこさえたんだ」
「じゃあ山ん中に置き去りにする。熊や狼がバリバリかじるぞ」
「熊や狼たって獣だろ?エサやってムチでおどして、おとっつぁんを襲わせるよ」
「前、見ねぃ。女の子、可愛いなぁ。親に手ぇ引かれて。あんなのできるか?」
「できるよ。おとっつぁんが手ぇ引いてくれないだけで」
「そうか、じゃあ・・・・よい、よい、よい!」
「あははは。いいね。新鮮で。もう一回」
「そうか。(段々ノッてきて)よい、よい、よい!よぃとこらせぇ〜」
「おとっつぁん、無邪気だね」
「おとっつぁん、飴屋だよ」
「そうだな。あらぁ、きっと小さい頃から飴屋になりたくて、ついにのぼりつめて、あすこに店を構えたんだな。だから、店どかせだの商売替えしろっても、おとっつぁんには、そんな力はねえぞ」
「・・・・・あたい、地上げの相談をしてるんじゃないよ。飴、買ってほしいんだよ」
「って、今日は何も買わない約束で来たんじゃねえか」
「・・・・約束なんて正直どうでもいい」
「買っとくれよ!おとっつぁんさぁ〜、おとっつぁんさぁ〜、おとっつぁんさぁ〜、おとっつぁん、おとっつぁん、おとっつぁん!!さぁ〜、さぁ〜さぁ〜!!!」
「おめえ、おとっつぁん売りに出してるのか。競りぃ始まったのかと思ったよ。うるせぇな。じゃあ、買ってやるよ。飴だけだぞ。男と男の約束だぞ。
おい、飴屋!」
「へい!坊ちゃん!(と、左手の上腕部を右手でぽん!と叩いて)いい腕してる」
「赤ぇのは?女の子みたいでいや?青いのは?毒々しい?人工的で身体に悪そう?全部人工的に出来てます!勝手にぴょこっと出来たんじゃねぇ。ハッカは?辛い?(と、飴を取るたびに指をピチャピチャなめる)」 「(ヒステリックな高音で)それやめてくれません!売りもんになりません」
「雨降ったんで、下に水たまりがあるよ。下見て歩け。手ぇ振るな?おめぇはなぜ周りに愛想振りまいてんだ?誰もそんなこたぁ求めてないよ。下見て歩け。下に水たまりがあるってんだ。下に水たまり・・・・親の話を聞け!(と後頭部を叩く)」
「(両手を目に当て)えぇ〜〜〜ん・・・・・と泣くと思ったら、大間違いだぞ、この野郎!
下に水たまりがあるって当たり前じゃないか。水たまりが上にあったらアベコベだよぉ。
・・・・・・・飴、買え」
「今、買ったじゃねぇか」
「おとっつぁんが急に叩くから落っことした」
「うかつに叩けねぇな。すぐ拾えば食えるだろう。ん?ねぇぞ。どこに落とした?」
「おなかん中」
「食ったんじゃねぇか!」
「おとっつぁん、団子屋だよ」
「そうだな。あらぁ団子屋の三男坊だな。上の二人は、夢を追いかけて家を飛び出したんだな。で、仕方なく家を継いだんだ」
「・・・・・そんな空想上の身の上話はどうでもいいよ。団子買っとくれよ」
「おめぇ、飴以外は買わねぇって男と男の約束・・・」
「あたい、本当は女なの」 「ばかやろぉ!買わねぇよ!」
「八五郎さん、さぁ・・・」
「名めえで呼ぶな!友達じゃねえんだ。買わねぇってんだろ」 「あのねぇ。おいらは、団子屋ごと買ってくれとか、千本も万本も買ってくれってるんじゃないんだよ。
団子、1本買ってくれたらいいんだ。団子1本買うと、うちの屋台骨は揺らぐかい?おとっつぁんの稼ぎはそんなに少ないの?
買った方がいいぞ」
「脅かすのか?何でもしろ」
「皆さぁ〜ん!!この人、ひとさらいでぇ〜す!!」
「おいおい!(周囲を見回し)違いますよ!(息子に)うちの子だろ!」
「知らないおじちゃんが・・・」
「仕方ねぇな。買ってやるよ。・・・・・・うちぃ帰ったら、籍、抜いてやるからな。 おい、団子屋!」
「へい!(息子に、親指を立てて)坊ちゃん!グッジョブ!!」
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あんこか蜜か。親父は汚れるからあんこと言うが、息子は蜜を望む。「人殺しぃ〜」と叫んで、仕方なく親父は「無実です!・・・・・蜜、ください」
上方落語では、「つけ焼き」にしたら土産などできるのに・・・・とするが、今回は「あんこ」なんだな。
上方落語では、いろいろ親父に店が汚いとか、ひげを剃れとか文句を言いながら蜜をすすりこむが、今回は、あまり文句を言わない。
さらに、「ごめんね。なめすぎちゃった。何とかするから」と素直に謝る。
で、蜜壷に漬け直す。で、これまた上方落語では、子供も同じように団子屋に文句を言いながら蜜をすすりこむのだが、親父自身が文句を言わないので息子も純粋に蜜をなめる。
そして、息子も同じように壷に漬ける。
「親子でやってらぁ」がサゲ。
なかなか新鮮な「初天神」であった。 |
どうも、お退屈さまでした。殴り書きのメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。
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