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(No197) 京都・らくご博物館【秋】 〜紅葉寄席〜 鑑賞記 その1
          

 平成22年10月22日(金)、ハイアットリージェンシー京都で開催された落語会の鑑賞メモ。

 



桂 小鯛 「兵庫船」

 自分で立って名びらを返す。

 8月まで「とま都」という名前でした。トマトよりきゅうりみたいや言われましたが。
 今回、小鯛を襲名させていただきました。野菜から魚になりました。

 

 讃岐の金毘羅帰りの二人連れ、兵庫の浜から船に乗る。

 「去(い)ぬ、死ぬ、帰る、戻る」などの忌み言葉を連発、
 船の乗り前(スペース確保のため、足を互い違いに伸ばすが股間を蹴られるとか、薬屋が「蛇が逃げた」とウソをつくなど)、
 故郷(おくに)の尋ね合い、
 謎掛け遊びなど。

 「一の字と掛けて」「あげましょう」「これをもらいますと、感心な小僧さんと解く」「その心は?」「しんぼうしたらじゅうじになります(辛抱して修業したら住持(住職)になる。心棒(縦棒)を入れたら十の字になる」

 整ってますねぇ。

 


 


桂 吉坊 「七段目」


 「可愛らしい子ぉが出てきたなぁ」という感じで場内が華やぐ。

 お茶汲み人形みたいなんが出てきました。

 「おいくつですか?」って訊かれるんですね。なかなか「何歳ですか」って漢字で訊いてもらえない。

 こう見えても・・・・・・・どう見えてるか分かりませんが、そこそこの歳なんですよ。

 こないだの落語会で、前に座ったはるおばあちゃんがいっこも笑(わろ)てくれへんのです。何や心配そうな顔してはる。
 それで、何とか笑てもらおう思て頑張って噺したんですが、逆に段々顔が曇ってくる。

 私も気になってしゃあないので、後でその方に訊いてみたんです。私の落語、面白なかったですかって。
 そしたら、ちゃうねん。あんな小さな子ぉがちゃんとしゃべれるんか心配で、心配で・・・・。

 「七段目」は、もう何度も聴いているので内容は繰り返さない。

 しかしながら、何度聴いてもうまい。ミエを切って「寄り目」をすると場内から「ほぉ〜〜」と感心するような声もあがった。


桂 九雀 「親子酒」

 走りこむような格好で高座へ。
 着物ではなく、はかま姿であった。大柄なので、なかなか格好がよい。

 ここの会場、楽屋が遠いんですわ。まだや思て安心してたら、マネージャー来て、「もう、出囃子鳴ってます」。

 走ってきたんです。・・・・ちょっと休ませてもらいます。


 酒は百薬の長てなことを言いますが、それは呑むもんの言い分で、呑まんもんに言わせると命を削るカンナとか言いますな。
 命、削ってるんです。しゅっ〜〜っと。

 まあ、適量やったらええんですが、その適量ゆうんが難しい。私ら、30年以上人体実験して確かめようとしてるんです。

 お医者さんに言わせると、適量はお酒一合か、ビールなら中びん1本、ウィスキーなら水割り1杯。

 これは「OR」ですからな。「AND」やない。

 ところが、この量でも毎日飲むとしたら多すぎるそうです。 


 ちゃんと根拠があるんですよ。WHOが言ってるんです。それによると日本酒でいうと五勺。つまり0.5合。別の言い方で言うと、90ミリリットル。もっと分かりやすうゆうと、大さじで6杯です。

 ですから、会場の皆さんもおうち戻って、ご主人会社から帰ってきたら、こうゆうてください。「お帰りなさい。はい、これでストレス発散してください」ゆうて、スプーンで6杯。よけいストレスたまります。


 
 年寄りと若者の酔態の違いを描いて、まずは父親の方から。
 続いてせがれの酔っ払いが帰って来る。屋台のうどん屋に、足が汚れたので湯をくれと言って「ああたにあげるために、高い炭使(つこ)て沸かした湯ぅやない」と断られるが・・・・・

「おい、こら、うどん屋!誰がお前に火ぃ起こしてくれ、湯ぅ沸かしてくれて頼んだ?はは〜ん。こないだの火事起こしたんお前やなぁ!ご近所の皆さぁ〜ん!!」
「ええ〜??大きな声出しなはんな。お湯やったら、あげまっさかいに」
「くれんの?何や悪いなぁ。結果としては脅し取ったみたいな形になって。いくら?」

「いや、そんな、湯ぅだけで、お金やなんて」
「そやかて、あんだけぼやいた高い炭使て沸かした湯ぅ、ただでもらわれへん。いくら?」
「せやったら、おうどん、一杯食べてもらえまへんか?」
「何?湯ぅの金はいらんけど、その代わりにうどん食え?そら、いわゆる抱き合わせ商法ゆうやつやな。

 こないだ、同じ会社の武田君ゆうやつと一緒に東京に出張したんやけど。わい、実を言うと東京行ったん初めてやねん。感激したなぁ。ついに、うちの歴史が箱根を越えた

 ここだけの話、よそで言いなや。・・・・・・東京にもうどん屋あるで

 びっくりしたんは、ダシが真っ黒やねん。うどん落としたら探すのん難儀する。

 うちの武田君、五七五ゆうのんやんねん。知ってる五七五?」
「首相の暗殺でっか?」
「そら五・一五や!えらいアカデミックやな、お前。

 江戸帰り ダシの色見て ほっとする・・・・・・・・・・でや、上手いやろ。わいも作ってんで。江戸帰り かかの顔見て ぞっとする。・・・・・・・・笑えや!

 あ、でけた?こうやって、客が苦労して間ぁつないでんねんから。(うどんの鉢を受け取り)そう、このダシの色。ほっとするねぇ。あれ?うどん屋、箸が1本しかないよ。どうやって食うの?木ぃのへらみたいにすんの?

 え?この箸が割れる?そんな細工が施されてんの?匠の技やねえ

 僕にもできる?(両端を持って二つにへし折ろうとして)こうやない?たて?割りにくい方向に?すごいなぁ。
 お前が発明したん?」
「そんなん、前からありまんがな」

「・・・・・・おもんない奴やなぁ。へえ、三日三晩寝んと発明しましてん。んなアホな。うわぁ〜〜ゆうて盛り上がるんやないか。客の言葉に乗らな。
 この割箸で中国の森林が伐採されんのやで。とんがらしがないで!あ、これ?竹の筒。しゃれたぁるなぁ。せやけど、これで京都の竹林が・・・」
「それ、さっきで分かりました」
「おい、うどん屋。出ぇへんで」
「ああ、そら、詰め、取ってもらわんと」
「あ?この詰めか。最初からゆうとけ!・・・・・・ぺっ!
(口で噛んで詰めを取って、横に吐き出す)
「ちょ、ちょっと、そんなことしてもろたら!」
「余裕を持てよ。
(拾い上げて)こんなもん吹いたら、ええねん」
「あ、お客さん。それ詰め替えたとこで上まで一杯詰まってまっさかい、とん!とん!と振ってもろたら出ますんで」

「ん!言葉にそつがない。親切な。
え?丼の上で?アホに物ゆうようにゆうな。うどんにかけんねや。

(とんとんと振るが、とんがらしが目に入る)
そつあったね!”どんぶりのうえで”なんて8文字も費やしやがって、何で”したむけて”の5文字を惜しむねん!
ことによったら、訴えるで。

 あ!出た!うどん屋、しゅっと出た!やったぁ〜!!(と、左手でガッツポーズ)

・・・・・・・・・愛想のないやっちゃなぁ。そうでっか?花火でも上げまひょか?って何で言わへんねん!
(文句を言いながら振り続ける)

「お、お客さん。そないかけたら毒でっせ」
「何?身体に毒?中国製?」
問題発言せんように
「せやけど目にしむで。メタミドホス?
(うどんをつまみ上げ)赤いうどんや。赤いきつねは知ってるけどな」
「染まってまんねん。食べれまへん」
「あほ、辛いと感じるいとまを与えんかったらええのや
(と、食べるが)水ぅ〜!!人殺し!火付けぇ〜!!

(ようやく落ち着き)何ぼや?・・・・そんだけしか食べてへんけど。まあ、とんがらしと湯ぅ代や思たら腹も立たんわ。

 つりはええで。わいはなぁ、ゆうことはゆうけど、することはする男やで」
「そない大層な。わずかなつりでっせ」

「・・・・・・・・・愛想のないやっちゃなぁ!え!そうでっか!ほたら、これで家、買う足しにしまっさ!て何で言わんかなぁ。この呼吸(いき)覚えときや」

 

 九雀は、この頃、ほんまにええと思います。

 



 

 どうも、お退屈さまでした。いつものことですが録音はしてません。殴り書きのメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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