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(No189) 笑う亭あさひ寄席  鑑賞記 その1
          

 平成21年8月21日(土)の午後6時から旭区の区民センター大ホールで。

 この落語会、足かけ8年、計22回になるそうだ。

 歴史あるんやなぁ。



桂 福丸 「月並丁稚」

 昭和59年生まれ。何と京大法学部卒だそうだ。
 
 
  インターネットで名前を検索しますと、人気歌手や俳優さんですと、何千、何万と出てくるんですね。
 私も芸能人の端くれですから、一度検索してみますと、「桂福丸日記」というのが出てきたんです。・・・・・・・私、そんな日記、書いてへん

 これは私のファンが書いてくださっているのか・・・・・又は「なりすまし」というやつですね。

 一度、その日記を読んでみました。

「○月×日 最高でした。」 ・・・・・・・ファンの方なんでしょうか。

「×月○日 今日も最高。アジの刺身がおいしい」・・・・・?。

「□月△日 今日も大漁。海の恵みに感謝!」・・・・・・兵庫に桂福丸(けいふくまる)という漁船があって、そこの50うん歳の船頭さんの日記なんです。
 しかも、第1桂福丸、第2桂福丸って2隻持ってはる。
 私より先なんです。いわば、私は第3桂福丸

 こまっしゃくれた丁稚が用事を言い付かる。
 どう生意気かというと、「何べん呼びよるか数えといたろ」と主人が呼ぶのを無視し、「百っぺんも呼んだのに!」と叱る主人に「わずか五へん」と返してみたり、口上で主人に敬称をつけ、注意されるや「そんな、大恩ある旦さんのこと呼び捨てにしたりしたら罰(ばち)があたります」と殊勝ぶってみせ、「今日はよいのじゃ」と言われるなり佐兵衛、佐兵衛と連発したりする。

 用事とは、月並みの釜をかける、つまり月例の茶席を設けるので・・・というお誘いの伝言。

 ところがこの丁稚、物忘れの癖があり、伝言先の店に行くなり口上を忘れてしまう。
 いつも、お尻をひねってもらうと思い出しまんねんと店先で尻をまくる。
 番頭さんが尻をつねるが、ひねられ慣れてるのか全く効かない。

 たまたま店に来たひいきの相撲取りにひねらせるが、「こそばい」と一蹴され、やはりダメ。

 今度は、金物屋の老人が挑戦する。
 「年寄りの手ぇは冷たいなぁ」と感想を述べたものの、相撲取りでさえ無理だったものを・・・・と馬鹿にしていた丁稚だったが、思いのほか効く。

 何でかいなぁ?と振り返ると、老人は商売ものの釘抜き(L字型の棒状のタイプではなく、おそらくペンチのような形のものであろう)でひねっているのであった。

 顔をゆがめ、苦悶の表情から、ついにすらすらっと、よどみなく口上を述べてみせる。

 感心した相手の店の主人が「よぉ絞り出したなぁ」に「いえ、釘抜きでひねり出した」がサゲ。

 


 


桂 よね吉 「天災」


 高座につくなり「まばらな拍手をありがとうございます」と皮肉を。

 これには理由がある。こうゆう落語会では、専門のお茶子さんがいる場合を除き、最初に出た若手が座布団と名ビラを返し、見台、膝隠しを用意する。

 よね吉は、どうも福丸の配置が気に入らなかったらしく、正面に来た時すぐに座らず、ちょっと首をかしげ、座布団の位置をずらす。
 座った後も、見台や膝隠しの位置を直す。
 最後は、位置だけじゃなく、見台を横にして、拳でがんがん叩き、板の噛み合わせまで直した。

 福丸は出てきて、すっと座り深々と頭を下げたので我々も一斉に拍手できたのだが、よね吉は所作が落ち着かなかったので観ているこちらも拍手のタイミングを測りかねたのである。 

 あと、いかついのか、長いのんしか出てきませんから。

 私の師匠は吉朝なんですが、大師匠は米朝師匠でして、もう85歳やのに、この暑い中生きてるんですよ。

 悪い歯ぁ1本も無いですからね。・・・・・・・・・総入れ歯ですから。

 国宝の夫婦喧嘩て、ご存知ですか?旭区の方だけにお教えします。

 吉朝の弟子は、米朝師匠の家に内弟子に入って住み込みで修業させてもらうんです。私が内弟子になった時は、まだ普通の人やったんですが、入って半月ほどで人間国宝にならはった。

 偉いもんで、それまで普通の布団で寝てはったんですよ。めくったら「西川」って書いたぁる。それが国宝になったとたん「桐の箱」に入りはった。

 米朝師匠は酒好きなんですが、奥さんは甘いもん好き。師匠、よぉ十三(じゅうそう。大阪の地名)へハリ治療に行きはるんですが、そこの名物の500円玉くらいの大きさの焼餅をお土産に買うて帰りはる。
 奥さんも喜んで「ちゃあちゃん、おおきに!」て、ここまではよろしい。問題は、いつ食べるか、ですねん。

 お酒呑む人は、酒呑んでる横で甘いもん食べられるのんが一番むかつくらしいですな。
 米朝師匠が晩酌したはる時に、ぱくぱく焼餅食べ始めはったんです。まあ、無視してTV観ながら呑んではった。そしたら、奥さんが「あ〜、おいしい!これやったら、100個でも食べれるわ!」て言わはったんですが、これが、師匠、ぶちっ!と来はったんですな。でも、大きな声出したりしはりまへんで。
 後ろ向いて、にこ〜っと笑って優しい声で「・・・・・・・食べられへん」。

 そしたら、それで奥さんがぶちっ!と来はったんです。「食べられる!」
 「食べられへん!」、「食べられる!」・・・・・・・・・・・・・・・小学生の喧嘩ですわ。

 そしたら、しまいに米朝師匠、きれてしまいはって、「食たら、ええがな!食たら!ほんで、食うて死ね!・・・・・なあ、よね吉!」って、こっちに振ってきはった。

 そして「去り状!早幕で二本!」と本編が始まる。

 あらためて、師匠の吉朝の「天災」のメモを読み返すと、よね吉は師匠の噺を正確に受け継いでいるのが分かる。
 おもしろいな、と思った
(1) 「(母親を)殴ってどうする」「そうでしょうな」「蹴り倒すんや」
(2) 「押入れから三味線出して調子合わせんかい!」
(3) 短気(タヌキ)、いらち(イタチ)
(4) 「木もない、店もない」に「後から言うな」
(5) 「あきらめられますか?て、他にどう『られる』ねん?
(6) 「目ぇから魚落ちた」「ウロコでしょ?」「そんなちっちゃいもんやない」
・・・・というようなとこは、吉朝の噺にあった。

 一方、よね吉独特の演出も多く、
(1) 自分の母を提灯ババと呼び、横にシワがあるから。縦にシワがあったら唐傘ババというのは同じだが、縦横のシワを吉朝は「縮緬ババ」と呼んだが、よね吉は現代風に「ワッフルばば」と表現。
(2) 心学の先生が手紙を読む時、メガネをかけるのだが、そのメガネはきっちりツルのあるタイプではなく、輪ゴムのようなものを耳に引っ掛けるタイプ。
(3) 手紙を読みながら八五郎を見る時には、中指でメガネの中心、鼻のところを押し上げながら見上げる。
(4) 答えに窮した八五郎に先生が「オイ!」と大声を出すのは同じだが「気合入れるな。わい、こう見えてもビビリなんやから」と弱音を吐く。
(5) 堪忍の・・・の言い間違いを「ケンミンの・・・・・袋破って焼きビーフン。炒めては食い、炒めては食い。・・・・・お分かりか?」。


 よね吉が高座を下りても、しばらく場内がどよめいていた。
 実に悪達者とも言えるくらい、場内の雰囲気を自在に操り、どっかんどっかん笑わせていたので、皆口々に「面白かったなぁ」などと言い合っていたのではないか。

 

 


 

桂 春若 「一文笛」

 上方落語には珍しく、湯呑茶碗が出てきた。春若はしゃがれ声。白髪が目立つ。
 今、上方落語で人数が250人くらいいてますが、先ほどのよね吉君がまあ、一番の男前と言ってよいでしょう。

 と言うことは、後は、それ以上のもんは出てこんとゆうことです。

 どうぞお力落としのないように。

 それと、最初に出た福丸君。彼は何と京大法学部卒ですからね。

 灘中、灘高、京大ですから、まあ、関西ではこれ以上の学歴はない。ということは、まあ、他はそれ以下やゆうことです。

 この後の伯枝君なんか、大工大高校、今でゆう常翔学園高校ゆうんですか?それがどのくらいのレベルなんか私には分からんのですが。

 こないだ、ワールドカップ、盛り上がりましたな。

 南アフリカのスタジアムも一杯やったそうですが、ある人の横の座席がずっと空いている。気になった人が、その人に訊いたそうです。

「あのぉ・・・横の座席はどうして、空いてるんですか?」
「実は嫁はんと一緒に来るつもりやったんですが、嫁はんが亡くなってしまいまして」
「・・・・そうやったんですか。そら、すいませんでした。でも、せやったら、せっかくの切符やねんから、どなたか友達や親戚の方に、その切符、譲りはったら良かったんちゃいますの?」
「へえ。確かにそうですねんけど、今、友達や親戚は嫁はんの葬式に出てまんねん」

・・・・・・・・私、こんなんが好きでんねん。

 こないだ新聞に「愛妻弁当泥棒」ゆう事件の記事が出てましたなぁ。コンビニ弁当は盗りまへんねん。建築現場なんかで愛妻弁当を5個盗みよったらしい。ほんで、どっかの公園か何かでその弁当、食うてたところを捕まったそうです。で、新聞記事では被害額ゆうのが出るでしょ?ほたら1000円相当て出てました。1個200円ですわ。コンビニ弁当より安いんでんなぁ。

 窃盗の被害額の平均て12万円くらいやそうです。ということは、泥棒側からゆうと1回あたりの収入が12万円ゆうことですなぁ。
 とゆうことは、週1回働いたら年収600万。

 スリに言わせると、自分らは泥棒やない、ゆうらしいですな。自分らは職人や、と。いわば、技術者、エンジニアやと。
 腕のええスリやと、いったんすった財布を金だけ抜き取って、元のポケットへ返すらしい。
 もっと腕のええスリやと、その中に領収書まで入れるとか・・・・・・。

 「これは米朝師匠が創りはった噺で、あまり笑いは少ないんですが・・・」と本編に入る。

 あの「茶」は、いつ呑むんやろ?と思ってたら、兄貴分が、「煙草入れゆうたら、そこばっか狙ててもあかん」と講釈を垂れている秀に「えらい売り出してるやないか」と皮肉る場面で茶をすすっていた。

 噺の筋は、以前千朝で詳しくメモしたので省略する。

 ここで中入りへ。

 

 

 


 

 

 どうも、お退屈さまでした。いつものことですが録音はしてません。殴り書きのメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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