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(No182) 日本の話芸 TV鑑賞記           

 平成22年3月16日(火)頃放映の笑福亭松喬。




笑福亭 松喬 「花筏」


 まくらは、フィットネスブームでプールにたくさんおばさん方がいるが、やせようとする意志がない。泳がない、歩く・・・なんて話。太った提灯屋につなげるためのマクラか。

 


 地方巡業で目玉となる大関の花筏が急病になった。前金ももらっているので花筏を連れて行かない訳にはいかない。

 ただ、田舎のことで花筏の顔が知られていないので、似た背格好の提灯屋の徳さんを代役に仕立てようということになった。

 徳さんは、もちろん相撲なんかとれないと断るが、取組をしなくても顔だけ見せればいい、それで礼金は、日にニ分・・・・・と言われ、受ける。

 最終日の前日、明日の取組を聞いて驚いた徳さん。

「千鳥が浜には花筏」と行司が読み上げたのだ。

 千鳥が浜とは、地元の網元の息子。素人ながら相撲自慢で、これまで負けなしだった。

「待っとくんなはれ。命まで預けた訳やおまへん。相撲は取らん約束や!」
「そこまで言うなら、こっちも言わしてもらうが、徳さん、あんたにも悪いとこないか?旅館の親父から、あの花筏関、ほんまに病人でっか?飯、日に三升食うて、酒、日に五升呑んでまっせ言われたんや。

 わいもしゃあないから、あら病人やから、そんだけなんや。元気やったら飯は五升、酒七升呑んでるとこやとごまかしたんやが、ごまかしようのないことが、あったそうやないか?え?徳さん、あんた、おとといの晩、女中部屋に夜這いに行ったそうやないか?

 そない元気があんねんやったら、たかが素人相撲、最後の一番くらい取ってもろてもバチは当たりまへんやろ?言われたら、わいも断りようがないやないか?」
「・・・・・・・・・・そうでっか。身から出た錆。わいが死ぬのはしゃあないけど、後に残される三つの嫁はんと二十四のせがれがふびんで・・・・・・・」

「あべこべや。まあ、わいも徳さんの命まで取る気やない。実はな・・・・」

   立ち上がったとたんに、ぼ〜んと相手を突いて、自分から尻餅ついて転んでしまえ。大関ともあろうものが、あない無様な負けようをするとは、よっぽど病気が重かったんやろう。こら悪いことをしたな、と同情が集まるから・・・と説得した。

 一方、千鳥が浜は、いよいよ大坂相撲の大関と取れると思うと気持ちが高揚して仕方ない。

 それを諭す父親。 

「お前、ほんまの力で勝ってきたと思っておるのか。お前は地元の勧進元、網元のわしの息子。わしが金を出しているから関取衆は仕方なく勝ちを譲ってくれておったのじゃ。
 大坂で何年も血のにじむ稽古を続けてきた関取衆が、何でたかが素人のお前におくれをとろうか。勝ちを譲ってどれだけ悔しい気持ちをしてきたか、お前に分かるか。
 第一、お前、花筏関が本当に病気や思てるのか。宿の親父に聞いたら、日に飯三升、酒五升くらうゆうぞ。それに、こないだ女中部屋に夜這いまでかけたらしい。そんな病人が、どこにおる。

 こんな田舎相撲に、アホらしいて出れるか思てたんや。それが何で明日の取組だけ出るのや?

 いよいよ巡業も明日で終わり。明日の相撲が終れば、こんな田舎に次にいつ来るか。これまでの怨みを晴らすため、お前を土俵にめりこまして、命奪うために出るんやぞ。

 せがれ、必ず、明日の相撲は取るんやないぞ!」

 父親に約束した千鳥が浜であったが、太鼓の音を聞いてしまうと抑えがきかず、気がつくと土俵に立ってしまっていた。

 一方、徳さんは、筋肉隆々たる千鳥が浜を見ると、とても「ウソ負け」なんか出来そうにない。わずか日にニ分の金に目がくらみ、むざむざ命を落とすのかと思うと、思わず涙が流れ、「南無阿弥陀仏」と唱えてしまう。

 千鳥が浜も、徳さんの念仏を聞き、やっぱり俺の命を取るので念仏を唱えているのかと、我に返り、ああ、父親の意見を聞かずにここで命を落としてしまうのか。親不孝の私をお許し下さいと、思わず涙を流して「南無阿弥陀仏」と唱えた。

 びっくりしたのは行司でして、軍配を返そうとしたら、取組の相撲取り、二人とも涙流してる。

 え〜い!ままよ。はっけよい!と軍配を返すと、徳さん、教えられたとおり、無我夢中でぼ〜んと手を前に突き出した。怖い、怖いと固まっていたので、突かれたとたんごろ〜んと後ろに転がる千鳥が浜。

「おい、えらいもんやなぁ。あれだけ、強かった千鳥が浜も、大関花筏にかかったら、何もでけへん。さすが、大関、張るのがうまいなぁ」

 うまい筈や。提灯張る職人でございます。




 

 どうも、お退屈さまでした。録画してますが、再確認はしておらず、殴り書きメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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