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(No180) 京都・らくご博物館【春】〜新緑寄席〜 鑑賞記 その1          

 京都国立博物館が主催する落語会。今回の会場は、博物館向かいのハイアットリージェンシー京都 地下のドローイングルーム。




桂 雀太 「道具屋」


 開口一番は、雀太。
 
5年後が楽しみ・・・・・と将来を嘱望され、5年が経過した男。

 


 会場のドローイングルーム、それほど天井が高くない。
 そこへかなりの高さの高座をしつらえたものだから、雀太は、頭を気にしながら高座についた。

 声がかすれている。

 マクラは、前座お定まりの携帯電話の注意。
 それと、「オチが分かっても、先にゆうたり、『ゆうと思たわ』とか言わないで下さい」など。

 「道具屋」は、典型的な前座噺の一つで、これまでもよく聴いた。

 今回の「道具屋」の特徴としては、

(1) 夜店に着いた時、目についた店を並べ立てるのだが、リンゴ飴、射的、ベビーカステラに続き「白鯛焼き」と言った。

(2) 本屋の善さんの所に行く前に、延々と、子どもに金魚すくいのコーチをする場面が続く。もっとも、子どもが指導を請うた訳ではない。

(3) 主人公の男は、「佐兵衛さんとこの甥子さん」と身分、続柄を明らかにしている。

(4) 元帳まで店先に並べ「そんなもん出してどないしまんねん」と叱られる。

(5) 「道具屋」のオチは何種類もあるが、今日は、1万円と請求し、「足元見やがって」「いえ、手元を見ております」というもの。

 

 かなりの「熱演」ではあったが、それだけか? 


 

桂 三若 「私がパパよ」

 寝起きのジュリーです。

 先日、子どもが生まれまして。(会場から拍手)うわぁ、拍手来んのんなんて初めてや。やっぱ、京都の人は違うなぁ。

 大阪やったら、拍手なんか飛びまへんで。飛んで来るのは1万円札・・・・・。

 ざこば師匠の娘さんのまいちゃんと結婚しまして。
 披露宴には豪華なゲストの方が来てくれました。

 中条きよしさんとかね。顔、ちっさいですな。見てたら、顔、胴、足、足、足、足・・・・ゆう感じ。

 歌
(うと)てくれはったんが、「うそ」。あんまり、披露宴に相応しい歌とは、思えませんが。

 ざこば師匠も歌いはりました。ざこば師匠の場合、顔、顔、顔、顔、胴、足でんな。

 歌いはったんが、「娘よ」。
 イントロ流れた瞬間から号泣ですわ。何、ゆうてるか分からんまま、3番まで歌いはったけど。

 

 この後は、5メートルからある鯉のぼり買(こ)うてくれはった。うち、賃貸マンションやのに・・・というマクラの部分から本編に至るまで、前回の上方らくごまつりで聴いたのと同じなので、省略する。

 



桂 ざこば 「子は鎹(かすがい)

 高座につくなり羽織を脱いで、「こないすぐ脱ぐねんやったら・・・・」というのは、いつもの通り。

「子どもが可愛いゆうても、赤ちゃんの時分だけでしょう」と、ちょっと照れ隠しのような台詞。


 後は、「この頃のお若い方に、かすがいゆうても分からんやろから・・・・」と持参の鎹を示すのもいつもの通り。

 「後ろ、見にくいですか?」と訊いて、大きな鎹を示すのもいつもの通り。

「さよか?分かりました。ほな、この家、出ていきます」というお花さんの台詞から始まる本編も、いつもの通り。

 
楽しみにしてる「まくら」がなくて、いつもと同じ「子は鎹」を聴かされても・・・・って感じ。何やったら「まくら」だけでもかめへんねんけど。



桂 こごろう 「野崎参り」

 大胆な名前でございまして。幕末の英雄と同じ名前。いわば、二代目でございます。先代同様、よろしくお願いします。

 関西のおばちゃん、ゆうのはおもろいでんな。どこ切っても、おもろい。
 おもろさの金太郎飴

 とにかく、人の話に割り込んでくる。
 そうゆう途中入場の時に必ず使う台詞が、
「何?何?何ゆうてんのん?」

 あと、別の言葉も、ございます。これは、少し、その話の内容を知ってる時に使います。

「分かるわぁ〜」
 

 中には「分かるわぁ〜・・・・・・・話、変わるけど」て、話、変えてまう時もある。変えるんかい!

 あと、こんなんもおまっせぇ。

「ゆうたろか?」

 何も頼んでへんのに、妙に恩に着せるんでんなぁ。

 こないだも、私、近所を散歩してました。ぶらぶら歩いてたら、えらい大きな更地ができてまして。

 誰にゆうともなく、「えらい広い空地やなぁ。何ができるんやろか」て独り言、ゆうたら、たまたま、横、歩いてたおばちゃんの耳に入ったんでしょうなぁ。
 全く見ず知らずのおばちゃんなんですが、近づいてきて、

ゆうたろか?イオン、来んねん」

 そんなん急に言われても、ねぇ?
 そしたら、「ほんまやで。ウソちゃうで」

 別に疑ってる訳ではないんですが、どうしても信用させようとする。

 で、そのうちに言葉が変わってくるんですなぁ。

「ゆうといたるわ」

・・・・・・・何か、向こうの方が優位に立ってるような。

「ゆうといたるわ。見とってみ。イオン建つから。・・・・・・・・・・知らんけど

 知らんのかい!ゆいたなりますけど。

 

 という、「大阪のおばちゃん」ネタのまくらから、「春のお噺でございます」との一言で「野崎参り」へ。

 後で、身長差が話題になるためか「喜六という背の高いしっかり者、清八という背の低いうっかり者」とキャラクター設定をしっかり説明してから「片町、徳庵堤・・・・」といった情景描写にかかる。

 喧嘩相手に「(夫婦で)羨ましいやろぉ〜!」と言われ「羨ましいですぅ〜!!」と答えたり、「汚いもん、踏んだぞぉ〜」となじった相手に「馬の糞、踏んだら背が高なるんじゃ!」と言われ「ええこと教えていただいて、おおきに、ありがとうございましたぁ〜」と頭を下げ、喜六に怒られたり、妙に礼儀正しいところが、春團治師匠などの「清八」と微妙に違って、面白い。

 長台詞を喜六から教え込まれるが「それ、誰がゆうんですか?」とか「何や、わい、脈、早(はよ)なってきた」とか、頼りなさの表現も効果的。

 ラストは、背の低さをからかわれた清八が、喜六に
「大は小を兼ねるといえども、箪笥、ながもちゃ
(長持は)枕にゃ、ならん。
 大きな牛はネズミ一匹よぉ取らん。
 江戸浅草の観音さんは身の丈一寸八分なれど、十八間四方のお堂に収まってござる。
 山椒
(さんしょ)は小粒でヒリリと辛い・・・・・・と、こうゆうたれ!」とはっぱをかけられるのだが・・・ 

「おい!こら〜!」
「物ゆうねんやったら、立って言わんかい!」
「もう、立ってますけど?

 小さい、小さいて、あんまり人を選別すな!」
「小さいのを選別て、お前はリンゴか!」

「選別?いや、軽蔑すな、ちゅうとんのじゃ!

 大は、小を・・・・兼ねるぞ」
「ほな、大でええやないか」
「?・・・いやいや、大は小を・・・・兼ねると言えども、や。

 箪笥、ながもちゃ・・・・・・・嫁入り道具じゃい。・・・・・・・わいは何ゆうてんねん?
 牛は・・・・・・・・牛肉。卵、つけたらうまい。・・・・・・・・何で、こうなるの?

 江戸はドサクサ・・・・・・いや、浅草の観音さんは、身の丈十八間なれど、一寸八分のお堂に収まってござる」
「そんなもん入るかぁ!」
「皆で押し込めぇ〜!

 山椒はヒリリと・・・・・・辛いわ〜い!」


「うぉ〜い 教えてもろたんやったら、教えてもろたようにしゃべれ〜
 小粒が落ちてるぞ〜〜」

 

 清八の「どこに〜?」がサゲ。

 少し線の細さは感じるが、こごろうは最近なかなかいいと思う(少し前は「何や、『動物園』しか演らへんなぁ」と思っていたのだが)。



 



 ここまでは、今まで聴いたことのある噺ばかりだったので、どちらかというと「まくら」が楽しみであった。

 次回の噺(トリの千朝)は、初めて聴く噺。

 



 

 どうも、お退屈さまでした。毎度のことですが、録音はしてません。殴り書きメモとうろ覚えの記憶で勝手に再構成してます。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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