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(No17) 平成紅梅亭 上方落語vs江戸落語!! 鑑賞記その2 

 平成17年11月1日(火)午後6時30分より大阪読売TVにて収録された平成紅梅亭の鑑賞記の2回目。
 



(1) 春風亭 小朝 「桃太郎」

 
小朝が登場する。東京の、TVでしか見たことがない有名人を、ほんの5、6m先で見れるというと興奮してしまう。
 茶髪・・・というか黄色の髪の毛をQPのようにとんがらせて登場してきた。 
 「高座は一段高いので、客席の様子は、ほんとよくわかるんでございます。
 そちら、端に座っておられる男性、やせて色黒で、ひげをたくわえてらっしゃるんで、落語聞き
ながら、自爆テロでもするんじゃないか、と。

 真ん中の女性、ずいぶん厚化粧してらっしゃるけど、皮膚呼吸できるのか心配になります。
 10代の女の子なんかウィンクが上手なんですが、おばちゃんがすると顔面神経痛か、と。
 ベッドから男性を手招きしても、(ちょっと古いが、夏木マリの「絹の靴下」のように指を順番に曲げる)ああ、リハビリかな、とね。」

 「久しぶりにきれいに寝化粧して、白いネグリジェなんぞを着てベッドに横になってると、ご主人が枕元でそれを見て、こう(と、両手で)鼻に脱脂綿をつめちゃう。で、つい、拝んでしまう。強い願望が表れるんでございます。
 スイミングスクールに通っても、おめでた?と聞かれ、クロールしてても、溺れてるのか、と思われる。髪に、艶も腰もないものだから、シャワー浴びると落ち武者みたいになっちゃう」

 「私の義理の弟が先日、9代目の林家正蔵を襲名したんですが、よく、名前が人を変えると申します。 ありゃ、本当ですね。何より『眼』が優しくなりました。慈愛に満ちたまなざしでね。正蔵というより、仏像みたい。
 『こぶ平』といってた頃は甘ったれで、私んとこ来ちゃあ(高い、バカっ調子で)『おにいちゃん、おなかちゅきまちた。なにか、たべるもの。ハンバーガーとはちみちゅ・・・』なんて言ってましたが、最近は違いますよ。(低く落ち着いた調子で)『おにいちゃん、おなかちゅきまちた』」

 「同じ時期に歌舞伎の方じゃ勘三郎さんの襲名がありました。あちらとうちの方と何が違うか、と言うと何よりお客様の質が違うんですね。入場料も、あちらは歌舞伎座で22000円。うちは一番高いとこで2800円ですからね。
 猿之助さんだって、15000円出してるから、『おもだか屋っ!』とか、宙乗りだ、すげえなってことになるんで。あれが1500円だと、(不審げに上の方を見上げて)『いい年して何やってんの?』てな風に思われる。」

 「歌舞伎の世界じゃ『大向こう』ってものがありますね。木戸御免てんで無料(ただ)で入って、「ぬぁくぁむぅらぁやっ!」とか、何食ったらあんなマヌケな声が出るんだろうてな声出す人がいて、でも、あれで盛り上がる。終わって楽屋に行くってえと、また、いくらかの小遣いになるというんで。
 落語界でも盛り上げるために、そうゆう人を雇おうかという話も持ち上がったんですが、やっぱり3000円だか5000円だかのお金を渡さなきゃならない。そうすると我々の寄席の出演料より高くなるからやめようということになりました。」

 「また、口上が素晴らしい。あちらは人間国宝など含んで、四十人ほども居並ぶ。そこ行くってえと、こちらは、一番大きな上野の鈴本(演芸場)でも6人ぐらいしか並べない。
 そこに落語協会の幹部が並ぶんです。円歌、馬風、木久蔵、小三治、小せん・・・。幕が上がった時、口上だか、病院の待合室だかわかりませんでした」

 「いろいろなものが進歩してまいりまして、たとえば携帯。
 昔は、病院の廊下の端にピンク電話。カーディガンひっかけたお母さんが『たかしちゃん、お父さんが危篤なの』『そうか、わかった。お母さん。心配しないで』って、ここに家族のドラマがありますね。
 今では、(バカ声で)『ああ、たかしちゃあん?お父さん、危篤なのぉ。うん、今、画面見せるね』(と、携帯のカメラをベッドで寝ている父親の顔の上にかざす。 と、息子もバカ声で)
 『うん、わかったぁ。じゃあ、ボクも、心配そうな顔を送るねぇ』(と、のけぞって自分の顔を携帯のカメラに写す)
 ここには家族愛が生まれる余地がない」

 「いま、若い女性の間で流行ってるのがプチ出家。二泊三日くらいでお寺行って座禅するんです。
 こないだ女性週刊誌で特集してたんですが、なぜプチ出家するんですかって問いに、あるOLさんが『自分を見つめ直したいから』って答えてました。写真見ますと、この方は見つめ直しちゃいけない顔なさってました。
 でも座禅てゆうと厳しい感じがするでしょ。そこはお寺も考えてまして、コピーが柔らかいです。『イケメン住職がつくる南仏プロヴァンス風精進料理』とか」

 「ブランドなんてのも変ってまいりました。昔は魚沼産のコシヒカリというだけでブランドになったんですが、今は『高橋さんのコシヒカリ』と言わないとブランドにならないんです。
 誰なんですか、高橋さんって。写真見たら、ただの日に焼けたおじさんなんですよ。これが有名人ならまだわかります。栗原はるみのお節料理とか平野レミのめちゃくちゃレシピとかね。どうせなら、ちゃんと履歴書つけてほしいですね。高橋まさる、56歳、独身。ただし、フィリピンに現地妻ありとかね。そのうち出てきますよ、室田さんのしめたニワトリとか」

 「若い人の言葉使いも変ってきました。
 お医者さんなんかでも、
『これが、こないだのレントゲンなんですけどぉ、ざっくり説明しますね』
『あの、じっくりとお願いします』
『ここ、やな影があるでしょお?』
『えっ?先生、手術しないといけませんか?』
『ボク的にはいいんだけどぉ、しないと、ブッチャケ、死にますよ』
『ええ!?で、その手術は先生がしてくださるんですか?』
『ボクって、血が苦手な人じゃないですかぁ』
『知りません、そんなこと』
『肺とゆうと、前から切る方法と、後ろから切る方法があるんだけどぉ、前からでよろしかったでしょうか?』
『それは先生にお任せしますが、どうなんです、手術すれば助かるんですよね?』
『う〜ん・・・微妙』って、こんなのは、やです」

 「こないだね、生まれて初めて、腸カメラってのを経験いたしました。
 前の日に強烈な下剤をかけられて、それから溺れるほど水を飲む。だんだん腸の中がきれいになってきて、そのうち、真水みたいなのしか出なくなる。私の腸ん中で愛が育ってるんじゃないかと思うくらい」

 「病院で着せられるのが青いうわっぱり。で、お尻んとこがぱっくり割れている。誰だってわかりそうなもんなんですが、不思議と何人かに一人は、これを前後ろ逆にはくそうです。
 そういう人に限って無駄に大きいものだから、ツチノコみたいなのをむき出しにして歩いて、病院中をパニックにしたりする」

 「『はい、息吸って〜』とか言って安心させといて、先にぬるぬるしたものを付けて、いきなり入れるんです。これで、私は、私の中に女がすんでいたことに気づきました。ほほを伝う一筋の涙。ああ、もうお嫁に行けない」

 「驚いたのは、お尻の方です。何せ彼が今までしてきたことと言ったら、とにかく、いらないものを外に出して、その後はアスタリスクを閉める。そういうことしかしてなかったのに、こんなのが入ってきたんですからね(と、手をビラビラさせる)」

 「看護婦さんとかは、私のことを知っていたんですが、肝心のお医者さんが私のことをご存じなかった。それはいいんですが、悪いことに、検査の途中で気付いちゃったんですよね。こんな不幸が許されていいんでしょうか。
 モニターがあって、それ見ながら検査するんです。『ああ、きれいな腸だ』なんて言いながら。で、そのうち、『あれ?あっ、あなた小朝さんじゃないですか?小朝さんですよね?』
 お尻にカメラ入れられたまま、世間話するのが、どれだけつらいか。
『うち、女房があなたのファンなんです。で、今日は一体どうしたんです?』って。
 私、思いました。奥さんが私のファンだって言ってたから、今晩、絶対、奥さんに話をするんだろうなあ、今日、小朝にカメラ入れたんだぞうって。
 で、あのカメラを抜く時の快感ったらありません。つい、ヘナヘナ〜ってなっちまって、私、思わず両手を揃えて(女形口調で)『せんせぇ、どうもありがとうございましたん』って。皆さんもぜひ、あの快楽に溺れていただきたいと思います」

 「最近は小学生の間でお化粧が流行っているそうで、『小学四年生』とか雑誌にも『秋色化粧(メイク)で担任はメロメロ』なんて特集が組んでる。
 小学3年生が『昔は良かった』とか、幼稚園児が『俺の若い頃は・・・』なんて言ったりする
 昔はね、寝る時に親が童話なんぞをお話してやると、(父親が、母親を手招きする格好)『ほら、見ねいな。寝ちゃったよ。子供ってのは無邪気だねえ』なんて、親の方が癒されたものでございますが・・・」

「金坊、金坊!」
「僕はね、父ちゃんに名前呼ばれると死にたくなるんだよ。うちのクラス行って、調べてごらん。今はね、みんなしゃれた名前なんですよ。翔とか翼とか。中には、宇宙と書いて”そら”とかね。
 それが僕だけ金造。しかもうちの苗字が金倉ですよ。金倉金造。何でこんな思い切った名前を付けたの?もし、僕が女の子だったらどんな名前を付けたの。麗美とか?」
「そんなキャバクラ嬢みたいな名前をつけるかよ。う〜ん、”美女江”かな?」
「”美女江”?一度父ちゃんの頭ん中開いて見てみたいね。ネジとバネしか入ってないんじゃないのかな」
「TVゲームばっかりしてないで、少しは勉強しな」
「勉強しろといっても、父ちゃんは高校出てすぐ大工になっただろ。母ちゃんは短大といっても狸小路女子短期大学だよ。成績の悪い者同士の間で生まれたんだから、おいらに期待してもだめだよ。
 早い話、裏の空き地のぬかるみに標準米まいても、魚沼産のコシヒカリはできないだろう?」
「そりゃ、わかりやすい例えだな。で、お前、何か将来の夢とかないのか。イチローみたいなスポーツ選手とか」
スポーツ選手の末路は居酒屋の親父と決まってるんだよ。おいら、将来は区役所に勤めたいな。倒産はないし、銀行も公務員ならローンをばんばん貸してくれるそうだよ」
「そんな将来のことまで考えてるのか」

「そりゃ将来は、若者一人で老人二人を養わないといけないんだよ。
 父ちゃんなんて高い所で仕事してるだろ。うっかり落ちて寝たきりになってごらん。おいらを学校に行かせるために、母ちゃん、昼はコンビニでレジ打ち、夜はスナックでバイトだよ。
 母ちゃん、まだ若いからね。たまには、グチを聞いてもらいたくなるだろ。そしたら、こんな中小企業の社長(ハゲでちょびヒゲの格好)が『さえこさん、相談に乗ろうか』なんて。
 父ちゃん、気をつけないと、相談だけじゃなくて、母ちゃんにまで乗っちまうんだよ」
「危ないことを言うなよ」
「母ちゃんは社長の愛人の途を選ぶから、後に残されたのは、おいらと父ちゃんじゃないか。
 おいら、朝、父ちゃんのシモの世話してから小学校に行くんだよ。
 で、生計を支えるために原宿のクレープ屋でバイトするんだけど、このイケメンだから、どうしたってスカウトされるよね。ジャニーズ事務所だよ。
 でもね、あそこはデビューする時、社長と一緒に合宿しないといけないんだよ。父ちゃん・・・おいら、怖い!」

「じゃあ、もう寝ろ。何かおもしろいお話でもしてやろうか」
「前から一度言おうと思ってたんだけど、父ちゃんのおもしろいお話ってやつ・・・・・おもしろくないよ
   何だっけ、鯨の腹ん中で暮らす鼻の長い少年の話。ピノキオ?今は、捕鯨禁止の時代だよ。
 それと、こないだの浦島太郎という話もひどかったね。少年たちによる亀への集団リンチから始まって、鯛やヒラメによるショーパブでの強制労働

「今日のお話はタイトルがすごいぞ。ピーチボーイだ」
「危ないタイトルだね。父ちゃん、ひょっとして、それ、桃太郎じゃないのかい。
 でも、父ちゃんは、親は昔話を話してやらないといけないと頑なに信じてるんだろ。僕、父ちゃんのそうゆうとこ嫌いじゃないよ。
 聞いてあげるから、語ってごらん」

「昔々、ある所におじいさんとおばあさんがいました。
 ある日、おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました・・・・昔々ある所って、いったいいつのどこなんだとか聞かないのかい?」
「それは昔話の様式美じゃないか、僕はそうゆう伝統は否定しないよ。でも2点だけお尋ねしていいかな?いったい、この二人はどうやって生計を立てていたの」
「退職金の残りと年金かな」
「それとこの二人、キャラが立っていないから顔が浮かんでこないんだ。ドラマで配役するとしたらどうなるだろう」
「藤岡琢也と赤木春恵かな」
「まんま石井福子ファミリーじゃないか」
「じゃあ、思い切って、おじいさんがおすぎで、おばあさんがピーコ
「それじゃ両方おばあさんになっちまう。どうだろう。斬新なとこで、えなりかずきと安達祐美なんかどちらも若さがない
 それにさ、山に柴刈り、川に洗濯って、それじゃまるっきり環境破壊じゃないか。せめて、おじいさんは山へ植林へ。おばあさんは川へシャケの稚魚を放流にって、これくらい夢のあることは言えないかい」

「おばあさんが川で洗濯していると、大きな桃が流れてきて、家に持って帰って庖丁で割ってみると中から赤ん坊が・・・・・ここまでで何か質問があるか?」
「あのね、流れてきた桃は、その時点で拾得物だよ。切ったりしたら、器物破壊だよ」
「おめえ、どこでそんな難しいこと覚えたんだ?」
「TVで丸山弁護士が言ってたよ。
 それにさ、桃から赤ん坊が生まれたら、フルーツパーラーの周りは赤ん坊だらけになるじゃないか。 何か桃に似たものが流れてきたんだとは思わなかったかい。おじいさんがね、若い女と浮気したんだよ。MEGUMIみたいな子と」
「MEGUMIかあ、あの子はいいなあ」
「父ちゃんはそういうけど、MEGUMIなんて巨乳なだけだよ。MEGUMIから巨乳を取ったら、ただのソフトボール部員だよ
 そいつが妊娠しちまって、このままじゃおばあさんにばれるってんで、殺して、身元がわからないように服をはいで川に流したんだよ。
 うつぶせで流れてきたから、お尻が桃みたいに見えたんだ。
 ところが、運悪くそれをおばあさんが拾っちゃって、するとその女が源蔵命なんて刺青をしていて、しかも妊娠していて、はっと後ろを振り向くとおじいさんが立っていてこれを知られたからには生かしちゃおれないって、するとそれを止めたのが地井武夫の刑事で・・・」
「おめえは想像力が豊かだなあ。
 それで、桃太郎が、鬼ヶ島で大立ち回り。鬼をやっつけて、宝の山を持って帰った・・・金坊、金坊!おい(と、母親を手招きして、息子を指差し)・・・・寝ない。寝ないねえ、お前は」

「第一、根本的な疑問があるんだけど、鬼は一体、なに悪いことをしたの」
「なに悪いことをしたって、おめえ、顔が赤くて角が生えてりゃ悪い奴だろう」
「ええ?父ちゃん、いつも人を見かけで判断しちゃいけないってゆうじゃないか。あれは、父ちゃんが教えてくれた唯一正しいことだと思ってたのに。
 あっ、わかった。鬼ヶ島ってのは、たくさん資源があるんだよ。だから桃太郎は、この利権を手に入れようとしたんだ。けど、いきなり攻めるわけにもいかないもんだから、あいつらは悪いやつだって噂を流したんだね。
 あ、ということは、桃太郎はブッシュ大統領と同じなんだね。じゃあ、小泉内閣は犬、猿、雉か。
 ああ、だから、小泉さんはアメリカのポチって言われるんだね、父ちゃん。・・・父ちゃん?あっ、寝ちゃってる。親なんてのは、無邪気なもんだ」

 写真は、小朝公式HPにて。(写真は「六人の会」。小朝は向かって左から二人目)

 何か、マシンガンのようにショートコントというか、ギャグを連発していく感じの噺でした。

 それと、11月16日深夜(17日早朝?)の放送分を観ると、ジャニーズ事務所の社長と合宿のくだり、それとMEGUMIがソフトボール部員で、殺そうとすると地井刑事が止めて・・・ってくだりはカットされてました。時間の都合だけじゃなく、いろいろ差し障りも考慮してるんでしょうねえ。



 どうも、お退屈さまでした。いつものことですが、録音等してませんので、聞き違い、記憶違いはご容赦ください。
 



 

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