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(No166) 上方演芸ホール TV鑑賞記         

 2009年10月11日(日)くらいの放送かな?




笑福亭晃瓶 「上燗屋」

 

 「瓶」の字から分かるように、笑福亭鶴瓶の二番弟子らしい。一番は笑瓶かな?

 
 師匠の鶴瓶の落語も、私は、ついこないだ初めて聴いた。

 この晃瓶も全く初めてである。

 

 ちょっと受ける印象がいかつい。

 噺自体は、酔っ払いが屋台の酒屋(上燗屋というのは、上燗の酒を飲ませますよという符丁のような屋号だろう)で、燗がつきすぎて熱すぎるから冷や酒でうめろとか、酒の肴の付け合せで「これだけではお金はもらえません」というものばかり食べたり・・・・・・という、いろいろな噺にまたがるシチュエーション。

 ただ、最後で、「ややこしいけど、とりあえず25銭だけもろときましょかな?」という主人に対し、細かい金がない客。

「25銭?やっすいなぁ。・・・・・・ちょっとまからんか?
「あの、もしもしもし」
「冗談やがな。ほれ、これで」
「すんまへん。おつりに渡す細かいもんがおまへんねん」
「ほな、ええがな。つけといて」
「いやいや、今晩初めてのお客さんやさかい。ああ、そこで夜店出し、してまっさかい、そこで崩してきます」
「いや、そんなん、わいが行くがな。・・・・・・・・・ん?お前、わいが、わずか25銭ばかりで呑み逃げすると思てんのか?」

 縁日の店をのぞく客。
 古道具屋で、仕込杖に目をとめ、それを買う。

 で、その仕込杖を抜き放ちながら、あの上燗屋め、おれを呑み逃げすると疑いやがって、この刀で成敗してくれる・・・・と息まきながらも、何か訳が分からんようになって「上燗屋、みんなでいったい何ぼやったかな?」というのがオチ。


 顔で決め付けてはいかんのだが、どうも酒乱の客を「演じて」いるときの目がすわっている感じで「酒乱」くささが、くささを通り越し、マジで怖い。

 さて、この「上燗屋」という噺には続きがあり、脇差を買った男が、「成敗する!」とゆうたもんの、さすがに上燗屋を斬るわけにもいかず、勘定して家に帰る。

 しかし、どうも誰か斬りたくて仕方ない。で、たまたま忍び込んできた盗っ人の首をズバッ!

 首を斬られた盗っ人が、おりから火事があって、行き交う人にどん!と押されて自分の首を落としてしまった。その首を拾って、提灯よろしく前に押し出した・・・・・・・・・というのが落語「首提灯」。

 まあ、晃瓶さんには今後とも修行していただきたいとだけ言っておこう。
 悪いんだけど、屋台なんで安手のだいたい1合ちょいくらい入るガラスコップで日本酒を入れるのかな?と思うのだが、ぐぴぐぴぐぴ・・・と、あない延々とのどを鳴らされると、このコップ、いったい何ぼほど入るねん?と感じてしまう。


 以前、枝雀師を懐古する番組で、内弟子の雀々に稽古をつけているシーンが流され、(「始末の極意」という噺で、木の枝にぶら下がるところを演じている雀々の「手」の形や視線に注文をつけ)「そこが、あかんねん。落語ゆうのは、全体がウソのもんなんやけど、そこに至るまでの細かいとこにウソがあっては、お客さんがついてきてくれんのよ」と指導しているシーンがあった。

 まさに、そのお言葉を晃瓶氏に進呈したい。

 


桂枝光  「紙入れ」

 「光」とあるが、「桂」なんで、当然笑福亭鶴「光」の弟子ではなく桂文「枝」の弟子である。

 若い頃(前座名「桂小つぶ」時代)は、少年っぽい風貌や声で人気を博したそうだ。

 ただ、その後お子さんが喘息で、空気の良い北海道に引っ越したため、あまり東京や大阪では活躍しなかったとのことである。

 

 今回も、久々の大都会での落語会ということなのか、他の噺家以上に観客のウケ具合とか、もろもろを気にしている感じである。

 落語界の・・・・・・・・えなりかずきでございます。よろしくお願いします。

 私、こないだ前世を占ってもろたんですけど・・・・・・・・・・私、前世はピーマンやったんですって。はははははははは・・・。 

 ・・・・・・・ピーマン?そんなもん、畑、行ったらなんぼでもあるがな。・・・・・ああ〜あぁ。生まれ変わっても園芸かぁ?
(石野註 蛇足だが、「演芸かぁ」のシャレ)

 

 まあ、うちの娘なんかも、携帯のメールばっかりチェックしてますなぁ。

 たまに、思い切って注意してやるとゆうと・・・・・・・「超ムカツクぅ〜〜」。

 昔は「むかつく」ゆうたら、もっぱら胃ぃやったけど、この頃は、腸がむかつきますねんなぁ。


(石野註 急に舞台正面に向き直り、真顔になって「ちょっと、反応が遅いです・・・・・・」)

 うちの嫁はんら、近所の方々とビアガーデンとか行きますからね。

 両手で持ちゃあええのに、大きなジョッキを片手で持って、ここの辺、力こぶがでけたぁる。ぐぐぐっと飲み干し、唇の端についた泡を、プワっ〜!!・・・・・・お前、ただの「おっさん」ちゃうんか?


 お前、いったい何様やねん?ゆうたら「奥様や」って・・・・・・・・・・。

 

 ま、特に大阪の「おばはん」方は怖ろしいですからなぁ。生命保険なんかでも、他の都道府県では、「毎月の掛金は?」なんてことが質問されるそうですが、大阪だけは違うらしいです。

 訊かれるのは、ただ「死んだら何ぼ出んの?」

 
 こんな話があります。ご夫婦でゴルフのコースに出た。ショートホール、165ヤード、パー3。

 ゴルフ不慣れな奥さんが、思い切って打ったら、みごと1オン。夫婦揃ってグリーンに見に行ったら、奥さんの球、ピンそば、2mのとこにあった。
 それ見た奥さん、大感激。

「いや〜ん。私、もし、このバーディ取れたら死んでもええわぁん

 そしたら、旦那が「じゃあ、OK!」・・・・・・・・・・・・・。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・もう少し分かりやすい話、しましょか?

 ある日、ご亭主が家帰って、コートを脱ぎながら、ポケットに入ってたもんをテーブルの上に出していってたら、こないだ、ちょっと浮気したときに行ったラブホテルのマッチが出てきてしもた。

 あ、まずい。こんなん嫁はんの目に入っては・・・・。何とか誤魔化さんと・・・・・・・・と、そう思てたら、奥さんが慌てて、そのマッチを自分のポケットに仕舞いこんだ・・・・・・・・・・・・・。


 もうちょっと分かりやすい話、しましょか?こればっかりや。

 夫婦で寝てたら、明け方、嫁はんの方が、「あわわ、あかん!主人が帰ってきた!」ゆう寝言をしゃべりよった。そしたら、横で寝てた亭主が、慌ててズボン履いて、出て行きよった・・・・・・・・・・・・・。

 

  今日のお噺は、不倫の噺でして、ある奥さんが貸し本屋のしん吉という男を引っ張り込みまして・・・・

 と、年増の女房が若いツバメを誘惑するところで「んんぅ〜〜んん」とか色気を出してみせ、ふと真顔になって「ほとんど病気ですな」、「やってる自分も恥ずかしい」、「前の人が、『あいつ、アホか?』てな顔しておられますが・・・・・これがお仕事なんです」などと言う。

 で、「いよいよクライマックスとゆうところで」、旦那が帰ってきた。

 しん吉はウロが来てしもて(狼狽してしまって)慌てて、逃げ帰ったが、うっかり、紙入れを忘れてしまった。

 拍子の悪いことに、その紙入れは、その家の旦さんからもらったものであり、さらにまずいことには、今回、奥さんから「今日、旦那が出張で留守だから泊まりに来て」という誘いの手紙が入っている。

 こらいかん、あきらめてどこかに高飛びしようか?とも思ったものの、いや、まだばれたと決まったわけやないと未練も残る。

 次の日、旦那の家の前を「どうしたものか?」と悩んで行ったり来たりしているうちに、当の旦那から声がかかった。

「え?誰かと思たら、しん吉やないかい。今日はどないしてん?」
「いえ、実はおなごのことで、ちょっと旦さんに相談が・・・・・」

「ええ?そら珍しいこともあるもんやな。
 せやけど、何やろ。若
(わこ)ぉて男前のお前さかい、相手も若ぉて、ええおなごなんやろなぁ?
 どやねん?玄人か?素人か?」

 そやけど、これだけはゆうとくで。亭主のある女にだけは手ぇ出したらあかん」
「・・・・・・・それが、手遅れでんねん」

「何?アホやなぁ、お前。昔からゆうやろ?人の女房と枯木の枝は、ちょっと乗るのも命がけ・・・ゆうて。

 で、どこの嫁はんやねん?」

「お宅の・・・・・。いや、いや、実は、いつも世話んなってる旦那の奥さんでんねん」

「よぉある話やないかい!

 昼間は旦那に世話になって、夜は、嫁はんに世話してもらう・・・・ちゅうやっちゃ。色男やな、お前は。

 いっぺん紹介してくれや」

「で、実は、その奥さんから、今日、旦那が出張で一日留守にするさかい、家に泊まりに来てくれゆう手紙をもらいまして・・・・」

「ええ?何と大胆な嫁はんやなぁ。で、旦那もちょっとは気付かんかぁ?

 普通、気付くでぇ?そんなボォ〜っとしてる亭主の顔、いっぺん、見てみたいもんやなぁ

 で、お前、そこの旦那に見つかったんか?」

「へぇ・・・・・・・見つかりましたか?

「おかしな言いようすな。わいが訊いてるんやないか。

 何?旦那が急に帰ってきて、紙入れの忘れもんしたぁ?その中に手紙を?アホやなぁ、お前。そんな手紙、普通、焼くとか破るとかして証拠残さんようにせなぁ。

 で、その手紙、相手の亭主に読まれたんか?」

「へぇ・・・・・・・・読まれましたか?

「せやから、その言い方、やめぇって。まるで、わしが、そこの旦那みたいやないか。(奥さんを見かけ)おお、ちょうど、ええわ。お前も一緒に聞いてくれたら」

「へえ、へぇ。何ですて?しん吉さんが、そんなやらしいこと?いややわぁ。私には信じられへん
・・・・・私には、今のこの状況の方が信じられへん


「いや、私には何も分かりまへんでぇ。分かりまへんけど、あくまで、私が想像して思うに・・・だっせぇ?

 旦那の留守に若いツバメ引っ張り込んで、おいしい思いしょう、てなおなごやさかい、きっとしん吉っつぁんが心配なさるようなことはないんちゃいまっか?

 きっと、私は、ぬかりがないと思うでぇ。

 第一、男とイチャイチャしてるとこに旦那が急に帰ってきても、ウロ来て、慌てたりはせんと思う。いや、せんかった・・・・・・・・・・。

 きっと、そのおなごは、亭主がいきなり帰ってきたとしたかて、落ち着いて周りを見渡して「忘れ物ないか?」とよ〜っく見てまわった思うし。せやから、何の心配がない、思いまっせぇ(と、ふところに回収済みの紙入れをチラッとしん吉に見せる)

 ほれ、この通り・・・・・
(と、大胆にもしん吉にその証拠品の紙入れを渡す)なあ、旦さん?」

「ははは、お前のゆう通りや。よしんば、手元にその紙入れがあって、目の前でその間男に渡されたとしても、そんなボォ〜としてる奴のこっちゃ、目の前で渡されても気がつかん思うでぇ」

 

 



 ちょっと前回の「風呂敷」と不倫つながりで、だいぶ前に聴いた「紙入れ」をアップすることにしました。

  


  どうも、お退屈さまでした。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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