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(No164) 新春吉例 米朝一門会 鑑賞記 その1         

 2010年1月2日(土)のサンケイホールブリーゼであった米朝一門会のメモ。




桂ちょうば 「時うどん」

 「・・・・・・・・・すぐに終りますから」という冒頭の一言が「つかみ」。

 
 最近は学校で落語をやらせてもらうことが多いんです。それも特に小学校。

 何でも、最近では教科書に「寿限無」が載ってるそうです。

 ですから「ジュゲム ジュゲム ゴコウノスリキレ・・・・・・」。

 僕は言えないんですが・・・・・・・・・・。

 落語ゆうのは、想像力の芸ですから。今日、お越しの皆さんでしたらええんですが、小学生には伝わりにくい。

 「これ、何やってるとこですかぁ〜?」と、筆で字ぃ書いてるとこやっても「扇子の先を手拭いにこすりつけてるとこ」とか言われますからね。

 「いや、違いますよ。もういっぺん、ちゃんと見てくださいね」ゆうて、やったら、今度は「しゃぶしゃぶ、食べてるところぉ〜」。

 釣りもそうです。今はリールがありますが、昔はなかったから、糸は竿に巻きつけてあった。それをまず、クルクルとほどくんですが・・・・・。

(石野註)
 と、左手は「テグス」を持ち、右手をクルクル回して糸をほどく格好をするが・・・・・

 小学生は「サランラップ、はがしてるとこ・・・」とか言いますからね。

 あと、分かりにくいのがタバコ喫
(の)むとこ。

(石野註)
 と、タバコ盆を手に提げ、煙管(キセル)で火をすいつけ、プカプカとふかしては、ぽん!と雁首を叩いて火ダマを落とす身振り

 

 これ「麻薬を吸うてるところぉ〜」て言われますから。

 

 で、噺は本題の「時うどん」に。

「ゆんべ(昨夜)とおんなじように演(や)るんや」という主人公の思いを、何度か口にする。

 で、「見てみい。うどん屋、笑(わろ)てるがな」という台詞に「いえ、笑てまへん。どっちかゆうと気色悪い」というような、うどん屋が批判する台詞に「いや、ゆんべとおんなじようにやってるだけやねん」と説明し、極度の不自然さからは逃れている。


 最後、いよいよ小銭で勘定しようとする時、「勝利を予感した」アホは、こみ上げてくる笑いを抑えられず「うどん屋・・・・。お前、可哀想やなぁ」ともらすが、「あんたの方が可哀想・・・」

 最後はさらっと「3文、損しよった」とサゲたが、全体として、うまくまとめていたと思う。

 

 

 



桂吉弥 「七段目」

 今回の落語会は、珍しくパンフに演目が印刷されていた。

 「当日のお楽しみ」にすると、落語会終了後、手書きのメモが会場に掲示されるケースが多い。その手間を省いたのだろうか?

 私個人としては、「当日のお楽しみ」の方が好きだが、行くか、行かないかを決める段階なら「あ、これはまだ聴いたことのない噺だな」とか、「この噺は、○○の十八番だから、是非行こう!」とか参考になるケースもあろう。
 でも、当日配布のパンフに載ってるか、終了後の会場掲示か、なら、別に違いはない。(掲示してもらわなくても、ほとんどは分かるし)

 今回のケースで言うと、「あ、吉弥の『七段目』か・・・・・・・」と知った段階で、私にとっては「ときめき」感は皆無となってしまい、むしろマイナスであった。

 
 歌舞伎なども、よく観せていただくんですが、最初、横の人が「掛け声」を掛けはったん聞いたときはびっくりしました。

 突然、「あ〜・・・・ああん!!」。ひきつけでも起こしはったんか、と。まあ、その人は実際にひきつけやったんですが・・・・。

 屋号で声掛けたりするんですな。中村屋!とかね。

 いま話題の海老蔵さんなんかですと、成田屋!。

 私、前、名古屋で落語会あった時、帽子かぶって、マフラー巻いてたんですが、私も目がグリグリってしてますでしょ。
 周りの人が「おい、海老蔵、いてるで」

 どないしょうかな?思てると、別の人が「海老蔵にしたら、肥えてるで」

 噺家も、たまに声が掛かったりするんですね。ただ、噺家は屋号はないんで、特に東京なんかじゃ、住んでるところで声が掛かったりする。

 先代の桂文楽師匠ですと「黒門町!」。まあ、これも住所によりましてね。声の掛けにくい住所もある。

「尼崎センタープール前!」・・・・・・・・・・・。早よ、引っ越してくれって言いたい。
 噺家は住所で声が掛かるが、「尼崎センタープール前」では声が掛けにくい・・・・というのは、そこに住んでいた吉弥の師匠である桂吉朝の持ちネタである。

 私は吉朝が大好きなので、吉弥が(ドラマ「ちりとてちん」で有名になった)徒然亭草原に改名したいとか、今回のように「尼崎センタープール前・・・・・早く引っ越せ」などと吉朝師匠を揶揄するようなギャグを飛ばすと、狭量なのは分かっているが、吉弥に対して腹が立つ。


 本編の「七段目」であるが、最近、噺を聴くたびに、人気が出て忙しすぎるせいなのか、えらい芸が荒れてるなぁと感じていた吉弥なのだが、今日は「さすが、上手いなぁ〜」と感心する良い出来であった。

 気がついたとことしては、定吉が「お軽」をやらせてもらえると分かったところで、比較的平然としているのと、「いやぁ、わたい、お軽やらせてもらえまんの?」と喜ぶのと2通りの演出は今までも聴いたことがあったのだが、今回の吉弥は、さらにオーバーに「わぁ〜〜良かったわぁ〜〜」とオネエ風の仕草も交えて喜ぶ点が目新しかった。

 あと、気付いた点としては、吉弥は、艶やかで張りのある声だと記憶していたのだが、妙に低くなって、ややしゃがれてるとも感じた。

 単に疲れ気味とか、年齢の関係なら良いのだが。 

 

 

 

 


 

 

 


  どうも、お退屈さまでした。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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