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(No161) 笑福亭鶴瓶 JAPAN TOUR WHITE 鑑賞記         

 2009年11月5日(木)の鶴瓶の落語会のメモ。




 
(右写真は、会場のシアターBRAVAの入り口付近)

 鶴瓶は、まず私服姿で出てきた。

 ヤンタンのなべさんの見舞いに、スタレビの根本要(ねもとかなめ)とポートピアの先端医療センターに行ってきたとのこと。

 「ヤンタン」とはMBSラジオの深夜放送「ヤングタウン」、ナベさんとは同番組の生みの親渡辺一雄氏、スタレビとはスターダストレビューというバンド名である。
 分かるもんだけ分かってくれというところだろうか。

 

 客席最前列が二つほど空いており、鶴瓶のトークが始まってからおばちゃんが一人入ってきたので、恐縮するおばちゃんに「待ってましてん!気にしなはんな」と客いじり。

 残りの一人が入ってきた時も「あっ!おたくでしたか?」といじっていた。

(左写真は、ロビーにて。伊藤園がスポンサーということでポスターの前にずらっとお茶が並べてある。

 どうぞご自由にお飲みください・・・・・・というシステムではなかった)

 続いて、落語家のタイプということで、きっちりやりたいタイプとどっちゃでもええタイプがある。

 それと、「落語家」、落語を話す人と、落語に出てくるような人物とがあるという話へ。 

 鶴瓶が言うには「落語に出てくる人物」の典型は桂春之輔とのこと。

 彼女の家の前で交通事故に遭った。脳が腫れて、集中治療室に入った。そのまま頭を切って手術してたら死んだけど、阪大の先生が名医で切らずに冷やしたんで命をとりとめた。命の恩人や、ゆうから名前聞いたら「忘れた」・・・・。

 また、「らくごのご」(ざこばと鶴瓶が中心で三題噺をする番組)のロケでイタリアへ行った。
 それもちゃんとしたホテルに泊まるのではなく、現地でホームステイしたのだが、なぜか春之輔は最初から最後まで「ホームレス」と言っていた・・・・・。


 春之輔は、現金からパスポートから一切合財セカンドバッグに入れ、常に持ち歩いていた。
 危ないからホテルに預けなはれと言っても、「イタリア人は、みんな泥棒や」といって、きかない。

 ざこばが
「お前のバッグ見てたら、気になってしゃあないんや!

 この辺のなぁ!イタリア人、みな、お前のそのバッグ狙
(ねろ)とんねんぞ!」

「え?ほんまですか?」

「当たり前じゃ!おい!(ある人を指差し)お前、こいつのバッグ狙てるやろ!!

・・・・・・・ほれ見てみい!逃げていきよった」

 
あら、ざこば兄さんが気色悪くて逃げ出したんや・・・・・。

 そんだけ肌身離さず気ぃつけてたけど、ある時、バイクに乗ったイタリア人が後ろから近づいてきて、さっ!とそのセカンドバッグ盗って、逃げていきよった。残ったんは、バッグの取っ手だけ・・・・・・・・・・。

 しゃあないから、春之輔、ざこば兄さんとこ行って、

「兄さん、すんません。バッグ、ひったくられてしまいました」
「・・・・・・・せやから、ゆうたやろ?まあ、しゃあない。俺の忠告、きかんかったんは許したるから、代わりに、今回のことをおもしろおかしく、30分しゃべれ


 せやけど、春之輔、構成力がないから
「バッグ盗られて、とっても驚いた」

 5秒で終ってしもた。

 あと、鶴瓶は同期の仁福のことを少し話し、本日のゲスト、花緑のことを
「若いのに、何やの?こいつ。品あるねん。品・・・・・・。15万くらいやったら、買おうか思うねんけど」
 
などと語る。

 そして、こんな独演会のゲストなら普通一席やけど、今日は花緑に無理ゆうて、二席演ってもらいます。まず私がやって、花緑。中入りはさんで、花緑、私です・・・と本日のメニューを紹介して、袖に引っ込む。

 今まで私服の洋装だったから、着物に着替えなければならない。

 その時間を稼ぐ意味もあって、降りた緞帳をスクリーンにして、スライド風の画像を次々に映写し、両者のプロフィールなどを紹介していく。

 その中で、鶴瓶は花緑の著した『落語家はなぜ噺を忘れないか』という本を読んで「これは俺のために書かれた本だ」といたく感動した。
 鶴瓶といえば、さんまのように落語をしない落語家として有名だったが、真剣に落語に取り組むようになったきっかけが花緑の書いたこの本だ・・・・・・・・・ということが紹介された。

 私は鶴瓶が花緑をゲストとして選んだ理由は、まあ東京の若手・中堅落語家で、人気も実力もある気になる奴(他は、志の輔、談春、昇太)として選んだだけだろうと勝手に推測していたが、思いもよらぬ深い縁があったようである。




笑福亭鶴瓶 「厩火事」
 緞帳が上がった。

 鶴瓶は緑の着物を着て、登場。

 両肘を脇につけ、両手を前に突き出したまま、身体を揺するような格好で高座まで歩いてくる。

 例えは古いが、「8時だよ!全員集合」のオープニングで、ドリフターズの面々が法被を着て踊っていた時のような感じ(←分からんか?)


 僕ね、昔から、もう一人の自分がおるようなとこあるんです。

 タクシー乗っててね。けっこう、タクシー代、TV局で出すか、スポンサーが出すか、マネージャーが出すかとかややこしい時があるんです。
 前もね、僕とマネージャーと、あと会社の人と乗ってて、メーターが8400円やったんやけど、これをマネージャーと会社の人が「うちが出しますわ」、「いや、そうゆうわけいかへんから、うちが・・・・」ってなってた。

 せやから、僕が「もうええがな。乗ってるもん、みんなで割ろ!8400円やから・・・・2100円ずつで」

 そしたら、運転手さんが「・・・・・・・何で私が払わな、あかんのですか!

 あん時は嬉しかったね。分かってもらえた思て。

 タクシーて、おもろいこと多いね。前、かわら長介(台本作家)と乗ってたら、途中で、えらい・・・・・臭いんです。僕ちゃいますからね。せやから、僕、長介に「お前、臭いやないか!」ゆうて。
 そしたら、長介、「僕ちゃいますよ!」て言いよる。

「お前、僕ちゃうて・・・・そしたら・・・・あほ、お前じゃ!」
「ちゃいますよ!僕、ちゃいます!」
「何ゆうてんねん!お前じゃ!」

 そんなやり取りしてたら、運転手さんが後ろ振り返って「わしや、おまへんで」・・・・・・。

 ・・・・・・・まあ、僕は運転手さんや、思ってるんですけど。

 

 運転手さんもね、夜中走ってたら、何や怖い話をしてくる人がおるんですね。何か、髪の毛の長い女の人を乗せたとか、その人が途中でおらんようになって・・・・とか。
 前、乗った時の運転手さんもそんな人で、僕、今、女神山ゆうけっこう山の中に住んでるんですけど、いろいろゆうてきはるから、頭の中のもう一人の自分が、「黙ったろ」って思てね。
 返事せえへんようにしたら、運転手さんも「何や変やなぁ」思てる感じやけど、そしたら、また、別の自分が「バックミラーから消えたろ」って、こう、座席の下の方に小ちゃくなって、隠れたった。

 そしたら、「つ、つるべさん?つつ、つるべさぁん??」

 
ごめん、ごめんゆうて出ていったんですけど。


 で、その家の近く、甲東園の森耳鼻科ゆうところがあるんですが、ここに通ってるんです。僕、耳の中に水がたまるんですわ。
 いつも、鼓膜に注射して水、抜くんですけど、鼓膜に針、刺すんでっせぇ。そら、やかましいし、痛い。

 もう堪らんようになって、「せんせえ、これ以外に方法ないんですか?」「あります」・・・・・・・・・・・・ほな、最初からやってくれ、ゆうねん。

 麻酔うちますから・・・・ゆうことで麻酔してもろて、ほんで終ったんです。そしたら、三半規管が麻酔で麻痺してたんでしょうね。意識ははっきりしてるんですけど、何か、身体が生まれたての馬みたいになって、ぐにゃぐにゃして立たれへんのです。

 うわぁ、どうしよう、立たれへん、困ったなぁって思いながら、もう一人の自分が、こら、おもろいなぁ、またどっかでゆうたろって思てるんですねぇ。

 これも、その病院でのことなんですけど、待合室で名前呼ばれるでしょう?そしたらね、○○さん、××さん、△△さん・・・・・ゆう中で「Mr.Xさぁん!」て、呼びはったんですよ。

 どない思いはります?Mr.Xさんでっせ。そんなん、普段、Mr.Xさんには、なかなか会えまへんで。
 で、それが見たとこ、普通の女性ですねん。

 森耳鼻科ゆうとこ、よぉ流行ってて、看護婦さん、みんな忙しそうにしてはりますねん。悪いなぁ、悪いなぁ思てんけど、とうとう辛抱たまらんようなって、ある看護婦さん呼び止めて、

「あのぉ、ここ、MR.Xさんゆう患者さん、いてはるんですか?」
「・・・・・ニシダエツコさんです!

 

 僕の高校ん時の友達で、一人、ホクロに生えてる毛ぇとか、眉毛とかがやたらちぢれてる奴がおって、女の人、ごめんなさいね、あだ名が「チン毛」てゆうたんです。
 ほんで、こないだ、たまたまタクシー乗って、運転手さんの名前見たら、その「チン毛」と同姓同名なんです。年格好もおんなじくらい。

 あれ?「チン毛」かな?て思たんですが、まあ、「チン毛」やないんですよ。それやったら、まあ、乗ってすぐに「ああ、駿河(石野註:鶴瓶の本名は駿河学)か?どや?元気してるか?」とかゆう筈ですから。それを言わんゆうことは、「チン毛」やないんです。
 でも、あんまりある名前やないけど同姓同名やし、年格好もよぉ似てる。しやけど、後ろからやから、顔とかはよぉ分からんのですね。
 ふと気ぃ付いたら、運転手さんの首とこにホクロがあって、そこに毛ぇが生えてる。

 ほたら、頭の中のもう一人の自分がささやくんですね。

「試せ」

  ええぇ?そんなんでけへん、でけへん。他人やったらどないすんねん?いきなり、そんなこと。

「抜け」

 あかん、あかん、あかん!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「抜け」が勝ったんです。

 信号待ちで止まったとこで、いきなりぶちぃ!

 運転手さん、「いったぁ!!
(痛い)
「隠してもあかんぞぉ!お前、チン毛やろ!!」
「覚えててくれたん!?」

 
 「覚えててくれたん!?」と運転手さんが感動のあまり泣き伏せたところで、その伏せた顔を上げるなり、いきなり「厩火事」の、おさきさんが「仲人」の「兄貴」に相談してる場面につながったので、ちょっと唐突すぎる違和感あり。

 鶴瓶の「厩火事」で気付いた点を列挙して終る。

(1) 姉弟子の手伝いをしたのに「どこをのたくり歩いてた!」と叱られ喧嘩になるシーンでは、灰皿を投げられたので、金ダライを投げ返し「痛ぁ・・・・・」ゆう声を背中に聞いてここ(相談)に来た・・・・とかなり戦闘的な設定。

(2) 兄貴から別れろと言われ「別れ、別れて、そんな簡単なもんですやろか」と言われ、兄貴が「はあ?」と逆ギレする。

(3) おさきさんが本心は別れたくない、優しいところもあるという説明で、
身体冷えてるやろ、俺が温めたろ・・・・・・やなんて・・・・恥ずかし!
 などと、ちょっと際どい描写も。

(4) 「さる旦那がな」「嵐山の?」「猿が旦那になるかいな」「バッタかて殿さんになりまっせ」という小ボケ。

 

 マクラは面白かったが、本編としては特筆すべきものがあまり感じられなかった。

 


 


 


  どうも、お退屈さまでした。聞き違い、記憶違いはご容赦ください。  
 



 

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